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JFEグループのTCFDへの対応

持続可能な社会を実現するため、JFEグループは世界最高の技術で気候変動問題への対応を進めるとともに、レジリエントな社会の構築に貢献していきます。また、JFEグループは、気候変動問題のリスクと機会への対応について、シナリオ分析をはじめとするTCFD提言に沿った情報開示を進めていきます。

JFEの気候変動問題への取り組みと今後の対応

大量のCO₂を排出する鉄鋼製造プロセスを抱えるJFEグループにとって、気候変動問題は事業継続の観点から極めて重要な経営課題です。グループのCO₂排出量の99.9%を占める鉄鋼事業では、これまでにさまざまな省エネルギー・CO₂排出削減技術を開発し、製鉄プロセスに適用することでリスクへの対応を進め、世界で最も低いレベルのCO₂排出原単位で生産を行っています。今後さらに環境負荷低減プロセスの開発を進めるとともに、これまで培ってきたさまざまな技術をグローバルに展開することで、これを機会と捉え、気候変動問題の解決に貢献していきます。

JFEグループは、お客様の使用段階で省エネルギーに寄与する高機能鋼材、再生可能エネルギーによる発電など、多数の環境配慮型商品や技術を開発・保有しており、これを機会と捉え気候変動問題の解決に貢献しています。今後ますます自動車の軽量化や電動化が進むと予測される中、JFEグループの持つ高張力鋼板や電磁鋼板などの機能をさらに高めることにより、これらの実現に貢献していきます。また、再生可能エネルギーのさらなる普及に貢献するとともに、リサイクル事業や省資源への取り組みを通じて、CO₂削減に貢献します。

今後もパリ協定長期目標(2℃目標)達成に向けて、引き続き必要な技術の開発と普及に努め、地球温暖化防止に貢献するとともに、すでに顕在化しつつある気象災害の激甚化に備えるため、社会インフラ向け鋼材の供給や建設により、国土強靭化にも貢献して参ります。


詳細は以下をご参照ください。

気候変動問題への対応:気候変動(地球温暖化防止)

CO₂排出削減関連の技術・製品:環境配慮型プロセス・商品の開発と提供

JFEを取り巻く世の中の動き

1997 COP3京都会議「京都議定書」採択
2008 日本鉄鋼連盟「自主行動計画」開始
2013 日本鉄鋼連盟「低炭素社会実行計画」開始
2015 COP21にて「パリ協定」採択
2018 日本鉄鋼連盟「長期温暖化対策ビジョン(ゼロカーボン・スチール)」公表
2020 日本経済団体連合会「チャレンジ・ゼロ」プロジェクトをスタート


「チャレンジ・ゼロ」(チャレンジネット・ゼロカーボンイノベーション)は、(一社)日本経済団体連合会が日本政府と連携し、「パリ協定」が長期的なゴールと位置付ける「脱炭素社会」の実現に向け、企業・団体がチャレンジするイノベーションのアクションを、国内外に力強く発信し、後押ししていく新たなイニシアチブです。

JFEグループは、「チャレンジ・ゼロ」宣言に賛同し、さまざまなイノベーションに挑戦していきます


JFEグループの具体的な取り組みの内容は、以下の特設ウエブサイトに公表しています。

チャレンジ・ゼロ

TCFD提言に沿った情報開示

JFEホールディングスは、2019年5月27日、TCFD最終報告書の趣旨に対する賛同を表明しました。

※ G20財務大臣および中央銀行総裁の意向を受け、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」。

TCFD提言とは

気候関連のリスクと機会は中長期的に企業の財務に大きな影響を与えます。TCFDは、金融市場が不安定化するリスクを低減するために、G20からの要請で金融安定理事会が立ち上げたタスクフォースです。TCFDは、金融市場が気候関連のリスクと機会を適切に評価できるような情報開示方法を検討し、最終提言書として公表しています。

投資家等が財務上の意思決定を行うに際し、気候関連のリスクと機会が投資先の財務状況にどのような影響を及ぼすかを的確に把握していることが重要であるとの考えに基づき、組織運営における4つの中核的要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する情報を開示することを推奨しています。


TCFD対照表は以下をご参照ください。

ガイドライン対照表

ガバナンス

JFEグループは、「JFEグループ企業行動指針」の中で、地球環境との共存を図るとともに、快適な暮らしやすい社会の構築に向けて主体的に行動することを定めており、環境保全活動の強化や気候変動問題への対応等の「地球環境保全」は持続可能な社会を実現するうえで非常に重要な課題として認識しています。

従来から取り組んできた製鉄プロセスにおけるCO₂削減や環境配慮型商品の開発と提供等の取り組みについて、円滑にPDCAを回し適切にマネジメントを推進するために、2016年度に「地球温暖化防止」をCSR重要課題(マテリアリティ)として特定しました。

これらの取り組みについては、JFEホールディングスの社長が議長を務める「グループCSR会議」のもと、グループを横断する「グループ環境委員会」を設置し、目標の設定、達成状況のチェック、グループ全体のパフォーマンスの向上等について議論することにより、監督・指導しています。

特に気候変動問題など、経営にとって重要なテーマについては、グループ経営戦略会議でも審議し、さらに取締役会への報告を行っています。取締役会は報告を受けた気候変動問題等の環境課題について議論することを通じ、監督しています。

取締役会に報告し、議論された気候変動問題に関する事案の例

  • TCFD最終報告書の趣旨に対する賛同表明
  • TCFD提言に沿った情報開示(シナリオ分析など)

グループ全体のガバナンス体制/ESG課題に関する取締役会における監督の現状について述べた社外役員座談会に関しては以下をご参照ください。

コーポレートガバナンス体制
環境マネジメント体制
JFEグループレポート2020「社外役員が語る“JFEグループの価値創造基盤としてのESG”」

気候変動関連課題のモニタリング方法

「グループCSR会議」、「グループ経営戦略会議」または「経営会議」は、経営に影響を及ぼす可能性のある課題についてモニタリングしています。モニタリング方法としては、各事業会社の環境委員会等で審議した気候関連問題について四半期に一度報告を受けており、対策を講じています。グループ環境委員会ではリスクに関する情報の集約と管理の強化を行い、リスクの発生頻度や影響の低減を図るだけでなく、機会の最大化に努めています。

モニタリングをもとにした対策

  1. グループとしての方針審議
  2. 方針の浸透状況の監督
  3. 議題や発生した問題への対処事例などの情報共有

リスクマネジメント体制に関しては以下をご参照ください。

リスクマネジメント

戦略

気候変動問題に関わるさまざまなリスク・機会は、JFEグループの事業戦略に以下のように統合されています。JFEグループは、2018~2020年度の事業運営の方針となる「JFEグループ第6次中期経営計画」を策定し、持続的な成長を支える企業体質強化に向けた施策の一つとして、「持続的な社会の実現」への貢献を重要な経営課題と位置付けています。そして、「ESG課題への継続的な取り組み」を主要施策の一つとして取り組むことで、気候変動問題への取り組みを事業戦略に組み込んでいます。シナリオ分析をはじめとするTCFD提言に沿った情報開示を進め、事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、リスク・機会の特定・評価をしています。

JFEグループでは、地球環境の保全を最重要課題の一つと位置付け、製鉄プロセスにおけるCO₂排出削減や水資源・エネルギーの再利用に加えて、環境に配慮した商品・プロセス技術の開発や資源循環ソリューションの提供により、環境負荷低減を積極的に推進する戦略を策定しています。また、気候変動問題や環境保全に関わるさまざまな公共政策について、日本鉄鋼連盟などを通じて当社の考え方、意見を表明するとともに、それらの活動に主体的に参画しています。

シナリオ分析

シナリオ分析とは

気候関連リスクと機会を正しく認識したうえで、現在の事業戦略に及ぼす影響を評価し、将来の事業戦略策定に活用していくものです。当社事業は気候変動の影響を大きく受ける可能性のある事業であるため、以下の2つのシナリオを設定しました。

いずれのシナリオも国際エネルギー機関(IEA)が公表しているシナリオをベースとしつつ、カーボンプライスについては2℃目標達成の実現性を高めるために主要排出国に共通で導入されることを前提として分析を実施しました。

設定シナリオ 2℃シナリオ 4℃シナリオ
参照シナリオ 移行面 国際エネルギー機関(IEA)による移行シナリオ
・「持続可能な発展シナリオ(SDS)」※1
・「2℃シナリオ(2DS)」※2
国際エネルギー機関(IEA)による移行シナリオ
・「新政策シナリオ(NPS)」※1
・「参照技術シナリオ(RTS)」※2
物理影響面 国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による気候変動予測シナリオ
・「代表的濃度経路シナリオ(RCP)」※3
社会像 今世紀末までの平均気温の上昇を2℃未満に抑え、持続可能な発展を実現させるため、大胆な政策や技術革新が進められる。
脱炭素社会への移行に伴う社会変化が、事業に影響を及ぼす社会を想定。
・全世界/産業共通のカーボンプライス※4
・自動車販売に占める電動車比率拡大
パリ協定に則して定められた約束草案などの各国政策(新政策)が実施されるも、今世紀末までの平均気温が4℃程度上昇する。
温度上昇等の気候の変化が、事業に影響を及ぼす社会を想定。
・洪水被害の発生回数増大
・海水面の上昇

※1 出典:IEA「World Energy Outlook 2018」
※2 出典:IEA「Energy Technology Perspectives 2017」
※3 出典:IPCC「第5次評価報告書」
※4 国によってカーボンプライスが異なる場合、CO₂排出規制が厳しい国の産業と緩やかな国の産業との間で国際競争力に差が生じ、その結果としてカーボンリーケージ(厳しい国の生産・投資が縮小してCO₂排出量が減る一方、緩やかな国での生産・投資が拡大してCO₂排出量が増加する)を引き起こすことになります。参照シナリオであるSDSでは、先進国と一部途上国へのカーボンプライス導入が想定されています。当社では、SDSを踏まえ、2℃目標達成の実現性を高めるために、主要排出国に共通でカーボンプライスが導入されることを前提として2℃シナリオを設定しました。

分析対象事業と期間

JFEスチール:鉄鋼事業、JFEエンジニアリング:エンジニアリング事業、JFE商事:商社事業を対象とし、一部グループ会社の事業も含めてシナリオ分析を実施しました。また、分析対象期間は2050年までとしました。

日本鉄鋼連盟「長期温暖化対策ビジョン」との整合性

JFEグループの鉄鋼事業会社であるJFEスチールが所属する日本鉄鋼連盟は、2030年を目標年次とする低炭素社会実行計画の達成に向けて取り組んできました。それに加えて、2018年11月には2030年以降の「長期温暖化対策ビジョン」を策定し、公表しました。JFEスチールはこの長期ビジョンの策定に中核的な立場で参画しました。「長期温暖化対策ビジョン」は、2100年までを見据えた最終的な「ゼロカーボン・スチール」への挑戦を意味するものです。一方、当社グループのシナリオ分析は、長期的な挑戦の途中段階において、当社グループの事業戦略の強靭性を確保していくことを企図しています。

長期温暖化対策シナリオにおけるCO₂排出量の推移

※1 BAUシナリオ:BAU(Business as Usual、成り行き)シナリオ
※2 BAT最大導入シナリオ:BAT(Best Available Technology、先端省エネルギー技術)最大導入シナリオ

長期温暖化対策ビジョン達成に向けた取り組み

事業に影響を及ぼす重要なリスク機会・要因の選定プロセス

STEP1: 対象事業に影響を及ぼす要因をバリューチェーン上で俯瞰して整理
(バリューチェーンにおけるリスクと機会の詳細:JFEグループのバリューチェーン

STEP2: 要因を網羅的に俯瞰したうえで、「要因に与える影響度」と「ステークホルダーの期待と懸念」を勘案し、特に重要な要因を選定

2℃シナリオ 4℃シナリオ
調達への影響 ⑤気象災害多発による原料調達不安定化
直接操業への影響 ①鉄鋼プロセスの脱炭素化
②鉄スクラップ有効利用ニーズの高まり
⑥気象災害による拠点損害
製品・サービス需要への影響 ③自動車向け等の鋼材需要の変化
④脱炭素を促進するソリューション需要の拡大
⑦国土強靭化
影響度
ステークホルダーの期待と懸念
重要な要因の選定

重要な要因の選定軸:●影響度(リスク機会が発生する可能性×発生した場合の影響の大きさ)●ステークホルダーの期待と懸念

シナリオ分析結果

シナリオ分析の評価概要

FOCUS 重要な要因① 鉄鋼プロセスの脱炭素化

世界に先駆けて脱炭素化を実現すべく、革新技術の開発を推進。革新技術の導入による投資に耐えうる財務基盤を維持し、脱炭素社会への移行に大きく貢献。

JFEスチールでは従来から省エネルギー技術開発による製鉄プロセスの高効率化、脱炭素化に積極的に取り組み、世界最高レベルのエネルギー効率を誇る製鉄プロセス技術を確立しています。さらなる脱炭素化を進めるため、水素還元やCCSなどによるCO₂排出量削減が期待される革新的製鉄プロセス(COURSE50、フェロコークス)開発を推進していきます。

COURSE50は水素還元技術で約10%、CCSで約20%、合計で約30%のCO₂排出量削減を目指す技術です。2030年頃までに実機化し、高炉関連設備の更新タイミングに合わせて2050年頃までの順次導入を目指します。フェロコークスは高炉内での鉄の還元効率を改善し、CO₂排出量を大幅に削減する技術です。さらに、最終的な「ゼロカーボン・スチール」の実現を目指して、2030年以降の水素還元製鉄技術等への挑戦も推進していきます。

これらの革新技術の導入を重要課題として国と協力して推進していきます。また、その投資負担に十分耐えうる財務基盤を有しています。

現在、フェロコークス製造量300t/dの中規模パイロットプラント設備をJFEスチール西日本製鉄所(福山地区)に建設し、2020年度から実用化に向けた試験を開始します。

革新技術の開発事例:フェロコークス製造プロセス

カーボンプライスは全世界共通で導入される場合、コスト競争力は維持

世界でさまざまな形で議論・導入されているカーボンプライスが、主要排出国に共通で導入される場合、操業コストの増加分は当然に国内外の鉄鋼製品価格に反映されることになり、当社のコスト競争力は維持されます。加えて、鉄鋼は競合素材の中で生産量あたりのCO₂排出量が最も少ないため、素材間のコスト競争において鉄鋼の優位性を高めます。

一方で、日本など特定の国、地域に偏った形で導入された場合には、JFEグループ、特に鉄鋼事業に大きな影響を与え、当社のコスト競争力が失われる可能性があります。そのため、今後の動向を注視していく必要があります。

FOCUS 重要な要因② 鉄スクラップ有効利用ニーズの高まり

スクラップ利用量が増大する一方で、長期的に粗鋼需要も増大するため高炉による銑鉄生産量(転炉鋼)も増加。また、保有する電炉利用の拡大、電炉一貫施工技術の活用、スクラップ物流の拡大によりJFEグループ全体の機会に。

電炉鋼の原料である鉄スクラップは、鉄の高度なバリューチェーンの中で既にほぼ全量回収され有効に利用されています。2℃シナリオの世界では、鉄はSDGs実現のための基礎素材として活用され鉄鋼蓄積は拡大し、スクラップ利用量も増加していきますが、人口と経済成長に伴って世界的な鉄鋼需要が進展し、持続的な社会の発展を支えるために高炉による銑鉄(転炉鋼)生産も増加すると推算しています(日本鉄鋼連盟:長期温暖化対策ビジョン)。また、現在の技術では転炉鋼でのみ実現可能な高品質鋼材も多数存在します。転炉鋼と電炉鋼はそれぞれの用途に応じて共存していきます。

JFEグループは、電炉鋼ニーズの高まりや世界的なスクラップ発生増大を機会ととらえ、グループの電炉鋼製造を推進するとともに、最新鋭の省エネルギー電炉設備を一貫施工するエンジニアリング技術を活用し、事業機会を獲得していきます。また、そのほかのスクラップ利用技術も開発を進め、鉄鋼業全体でのスクラップ利用を拡大させます。

一方、スクラップ利用の拡大は、それを流通させる物流の拡大をもたらし、JFE商事での物流ビジネス拡大に繋がります。

鉄鋼生産・スクラップ利用量の需給想定

FOCUS 重要な要因③ 自動車向け等の鋼材需要の変化

世界的に自動車販売台数が増加する中、EVモーター用の電磁鋼板需要および特殊鋼需要も増加。自動車用高張力鋼板の高強度化がさらなる軽量化に貢献。

自動車のEV化は、EVモーター用の電磁鋼板の需要を急拡大させます。JFEスチールは既にエコプロダクトの一つとして、モーター用途に「無方向性電磁鋼板JNEシリーズ」を製品化し、高いシェアを得ています。

自動車のEV化によって使用量が減少する可能性があると指摘されているのは、エンジン関連に使用される特殊鋼です。特殊鋼の使用量は、ガソリン車を基準とすれば、HV車で約8割、EV車で約6割と減少します。しかし、2℃シナリオにおいても自動車の販売台数は増加すると予想されており、自動車向け全体の特殊鋼需要は増加していくため、リスクは小さいと考えられます。

一方、EV車においても車体骨格の軽量化が強く求められる状況に変化はありません。JFEスチールは、エコプロダクトの一つとして「1.5ギガパスカル級冷延鋼板」を開発し、自動車用鋼板として実用化しました。この自動車用鋼板は非常に高い強度を有し、車体骨格の大幅な軽量化が可能です。これにより自動車走行時のCO₂排出量が大幅に削減されます。

世界の自動車用特殊鋼需要推計

世界の自動車用電磁鋼板需要推計

縦軸:鋼材需要量(INDEX:2020年の需要推計値を1.00とする)
出典:「自動車新時代戦略会議(経済産業省)」資料より当社推計


脱炭素化に繋がるリサイクル性の高さが再注目され、鋼材需要が増加。

鋼材は高い品質を維持したまま、多様な製品に何度でも生まれ変わることが可能なリサイクル性の高い素材です。今後、社会全体において脱炭素化に繋がる資源循環の促進が想定されます。その中で、鋼材のリサイクル性の高さが再注目されるでしょう。


自動車マルチマテリアル化の影響は限定的。

自動車軽量化のための代替素材として、アルミニウムや炭素繊維強化プラスチックが想定されますが、鋼材と比較して製造コストが高く、またライフサイクルでのCO₂排出量が高いことが指摘されています。したがって、カーボンプライス導入が想定される2℃シナリオでは、鋼材と代替素材の価格差はさらに拡大します。そのため、マルチマテリアル化は高級車では一定程度進展するものの、大衆車では限定的と考えられます。また、仮に高級車のドア等のパネル部品がすべてアルミニウムに置き換わる場合でも、その重量減の影響は高級車と大衆車の全車体材料の5%であると想定されます。これに、自動車生産台数の増加を加味すると、自動車車体向け全体の鋼材需要への影響は限定的と考えられます。

FOCUS 重要な要因④ 脱炭素を促進するソリューション需要の拡大

ソリューション(再生可能エネルギー発電/多拠点一括エネルギーネットワークサービス/リサイクルプラント、省エネルギー鉄鋼技術)の提供で貢献

【再生可能エネルギー発電】

炭素を排出しない再生可能エネルギーを利用した発電プラントの需要は今後ますます増加すると考えられます。JFEグループでは、エンジニアリング領域において、バイオマス※1・地熱※2・太陽光発電※3などの設計・調達・建設・運営を事業として展開しています。

また、資源循環と有効活用の観点から、廃棄物処理施設でも発電量増加への取り組みが進んでいます。JFEエンジニアリングでは、ごみ焼却炉の発電量の増加につなげることが可能な完全自動運転※4に取り組んでいます。

さらに、これら再生可能エネルギーをメイン電源とした電力の小売事業※5、ならびに再生可能エネルギーを活用したエネルギーの地産地消に焦点を当てた「地域新電力※6」の設立・運営の支援にも積極的に取り組んでいます。

バイオマス発電プラント

廃棄物発電プラント


※1 JFEエンジニアリングサイトのバイオマスページ
※2 JFEエンジニアリングサイトの発電プラントページ
※3 JFEテクノスサイトの太陽光発電システムページ
※4 JFEエンジニアリングサイトのオペレーション&メンテナンスページ
※5 アーバンエナジーサイトの小売電気事業ページ
※6 アーバンエナジーサイトの地域新電力支援事業(自治体向けサービス)ページ

【多拠点一括エネルギーネットワークサービス】

これまで一般的であった拠点単位のエネルギー最適化にとどまらず、JFEエンジニアリングでは、複数の拠点を一括管理しエネルギー最適化を提供するサービス「多拠点一括エネルギーネットワークサービス(JFE-METS)※1」を展開しています。複数の拠点でのエネルギー消費実態を分析し、各拠点に全体最適となるエネルギー関連設備を配置、運営し、遠隔地も含めたエネルギー融通を実施することで、総合的に省エネルギー、CO₂削減を実現します。


※1 JFEエンジニアリングサイトの「JFE-METS」

【リサイクルプラント】

リサイクル素材をプラスチック製品の製造に使用し、化石燃料由来原料の新規使用を削減していく取り組みも進んでいます。JFEエンジニアリングはリサイクルプラント※1の設計・調達・建設の一貫施工および運営を、J&T環境はプラスチックリサイクル※2を事業展開しています。

また、製造プロセス等の技術開発のみでは、産業全体での完全な脱炭素を実現することはできません。そのため、CCU・CCS(CO₂有効利用・貯蔵)設備の需要が増加すると考えられます。JFEエンジニアリングは、CCU・CCS設備の設計・調達・建設を一貫して実施することが可能です。


※1 JFEエンジニアリングサイトのリサイクルページ
※2 J&T環境サイトのリサイクルページ

【省エネルギー鉄鋼技術】

鉄鋼業の側面では、世界の粗鋼生産の5割弱を占める中国や、さらなる生産拡大が見込まれるインド等において、エコソリューション(省エネルギー鉄鋼技術)の普及の余地は十分あります。日本で普及している先進的な省エネルギー技術を国際的に移転・普及した場合のCO₂削減ポテンシャルは、全世界で4億t-CO₂超に達します。(エコソリューションによる2030年における日本の貢献は約8,000万t-CO₂と推定されます)

重要な要因⑤ 気象災害多発による原料調達不安定化

代替調達・ソース分散による対応を推進中。

原料の主要調達先である豪州では、台風発生が倍増することが想定されます。そのため、豪州で一定期間生産・出荷が途絶えた場合、生産への影響は避けられず、状況によっては被害を受ける可能性があります。

これに対する対策として、代替調達・ソース分散を進めています。

「代替調達・ソース分散」:

中国港湾在庫からのスポット調達、近距離ソースであるロシア、インドネシアなどからの調達増加や、豪州で被害を受けていない地域の積出し港から別銘柄の購入前倒し・契約増加で対応。また、グル―プ会社であるPhilippine Sinter Corporationでの備蓄および外部ヤードの活用を実施。

重要な要因⑥ 気象災害による拠点損害

洪水・渇水災害対策は既に推進中。海面上昇による浸水影響は対応可能なレベル。

今後、台風や大雨が激甚化し2018年に発生した西日本豪雨レベルの災害発生頻度が増加することを想定して、被害を最小限に抑えるべく対策を進めています。現在、製鉄所の洪水災害対策として約65億円の投資を行い、排水設備の増強等を実施しています。また、既に製鉄所の渇水災害対策として約35億円の投資を行い、海水を淡水化する装置などを一部の製鉄所に導入しました。1994年に発生した渇水災害以降、甚大な渇水災害は発生していませんが、今後、発生頻度が増加した場合でも被害を最小限に抑えるべく対策を進めています。

製鉄所はいずれも海岸部に位置しており、海面上昇による浸水リスクがあります。2050年頃までを想定した場合、海面上昇は20~30cmと考えられます(2100年時点で気候変動影響が最も著しく発現する場合で70cm程度の上昇)。これは、高潮による浸水が生じるほどの海面上昇ではないため、現状の対策で対応可能であると考えられますが、今後の気象災害の状況を分析しつつ、将来に備えていきます。

重要な要因⑦ 国土強靭化

「高強度H形鋼・鋼管杭」「ハイブリッド防潮堤」「鋼製砂防堰堤」等でインフラ強化に貢献。

JFEグループは、国内での近年における気象災害の頻発化・激甚化を重く受け止めています。国民生活が危険にさらされることは非常に大きなリスクであり、国民の生活・経済活動に欠かせない重要インフラの機能を維持するための防災・減災対策、国土強靭化への貢献はJFEグループの使命です。

高強度H形鋼・鋼管杭や鋼矢板等の建設用鋼材を用いた重要構造物の耐震化や決壊が頻発している堤防の補強、ハイブリッド防潮堤※1や鋼製砂防堰堤等の災害対策関連製品、さらにはインフラ更新工事への対応まで、JFEグループの総力を結集して貢献していきます。

ハイブリッド防潮堤

鋼製砂防堰堤


※1 JFEエンジニアリングサイトの鉄構インフラページ

リスク管理

JFEホールディングスが持株会社として、「内部統制体制構築の基本方針」に基づきグループの包括的なリスク管理を担っています。JFEホールディングスの社長が議長を務める「グループCSR会議」を通じて情報の集約と管理の強化を行い、リスクの発生頻度や影響の低減を図っています。気候変動問題などをはじめとするESGリスクの管理についても、担当執行役員などがリスクの認識に努め、必要に応じ適切な会議体において確認・評価し、その対処方針を審議・決定しています。

取締役会は、気候変動問題などのESGリスクやCSRに関する取り組みについて、その重要事項について報告を受け議論することを通じ、監督しています。

気候関連リスクの企業レベルでの特定・評価については、TCFDから提言されたフレームワークに従いシナリオ分析を踏まえて行っています。事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、より詳細な影響を分析することによって将来の事業戦略策定に活用しています。


詳細は以下をご参照ください。
ESGリスク管理を含むCSR推進体制:CSR推進体制
全社リスクマネジメント:リスクマネジメント
気候変動課題を含む環境マネジメント:環境マネジメント

指標と目標

JFEグループは、鉄鋼事業会社であるJFEスチールが所属する日本鉄鋼連盟にて策定された、3つのエコと革新的製鉄プロセス開発を柱とする低炭素社会実行計画を推進しています。この計画では、日本鉄鋼連盟として、2020年度までにBAU排出量(Business As Usual、特別な対策をとらない場合に生産実績に基づいて見込まれる予想排出量)に対して300万t-CO₂削減、2030年度までに900万t-CO₂削減を目標としており、JFEスチールも低炭素社会実行計画の目標達成に向けて、積極的な活動を推進しています。

日本鉄鋼連盟は、これらの取り組みに加え、最終的な「ゼロカーボン・スチール」の実現を目指した2030年以降の「長期温暖化対策ビジョン」を策定し公表しました。JFEスチールもこの長期ビジョンの策定に中核的な立場で参画しました。

また、JFEグループは、鉄鋼事業を取り巻く環境変化に対応すべく事業構造改革を実施していく中で、地球規模の気候変動問題の解決を通じた持続可能性の向上を目指していきます。そして、本年を気候変動問題へのさらなる対応強化の節目の年と位置付け、以下のCO₂削減目標を掲げ、CO₂排出量削減に向けた取り組みを積極的に推進していきます。


■JFEグループのCO2削減目標

2030年に向けて
  • グループのCO₂排出量の大部分を占める鉄鋼事業において、2030年度のCO₂排出量を2013年度比で20%以上削減することを目指して、既存技術やさまざまな革新的技術等を最大限に活用し、実現可能なシナリオの検討を推進します。
  • 日本鉄鋼連盟の低炭素社会実行計画には、これまで同様、主体的に参画しつつ、個社として可能な限りのCO₂排出削減を実現するため、新たにプロジェクトチームを立ち上げ、目標達成に向けたさまざまな施策の検討を開始します。
2050年に向けて
  • 長期的には、社会全体の脱炭素技術インフラの整備が進むことと合わせて、2050年以降のできるだけ早い時期にJFEグループのカーボンニュートラルを実現すべく、取り組んでいきます。
  • 2050年までのできるだけ早い時期に、カーボンニュートラルを実現する新技術のメニューが提示可能となるよう、研究開発を加速させます。

詳細は以下をご参照ください。
低炭素社会実行計画:鉄鋼業界の取り組み
気候変動関連の目標と実績:JFEグループのCSR重要課題
気候変動に向けた取り組み:気候変動(地球温暖化防止)

気候変動問題への対応

JFEグループは気候変動問題への対応を極めて重要な経営課題の一つと捉え、持続的な成長を支えるためのリスクと機会への対応について情報開示を進めてまいります。

JFEグループにとって、気候変動問題への対応は事業リスクの観点だけでなく、持続可能な社会の実現に貢献する機会としても極めて重要な経営課題です。

2017年に最終提言が公表されたTCFDは、「シナリオ分析」という手法を用いて企業の気候変動問題に対するレジリエントな戦略の開示を求めています。JFEグループは2019年5月、TCFDの提言に賛同することを表明しました。CSR報告書2019で初めて、その提言に沿った開示を行い、2℃、4℃それぞれのシナリオにおけるリスク対応だけでなく、革新的製鉄プロセス開発や環境配慮型商品・技術、国土強靭化などによる課題解決への貢献も示しました。そして、本年を気候変動問題へのさらなる対応強化の節目の年と位置付け、JFEグループとして新たなステージへの一歩を踏み出していく考えです。

2030年に向けて、グループのCO₂排出量の大部分を占める鉄鋼事業において、2030年度のCO₂排出量を2013年度比で20%以上削減することを目指し、実現可能なシナリオの検討を推進していきます。また、2050年以降のできるだけ早い時期にJFEグループのカーボンニュートラルを実現すべく、さまざまな施策に取り組んでいきます。

今後も引き続き、事業戦略に及ぼす影響を評価し、将来の事業戦略策定に活用していくべく、シナリオ分析の深化を進めていくとともに、対応すべき施策に積極的に取り組んでいきます。投資家をはじめとしたさまざまなステークホルダーの方にご覧いただき、JFEグループの対応をより理解していただく対話の材料となることを期待しております。

JFEホールディングス株式会社
専務執行役員
藤原 弘之