マネジメント・インタビュー

高収益体制の確立に向けて


統合効果を最大限に引き出し、 グループシナジーを発揮することで 技術力の向上、収益力の拡大、経営基盤の強化に努め、新たなる成長を遂げていきます。




Q: 円滑な経営統合により好スタートを切ったJFEグループ。成功の要因はどこにあったと思われますか。

A: 両社の経営統合が決定したとき、私たち2人は「この統合を、競争相手を減らし、規模の拡大で原材料などの購買力を高めるという、単なる生き残り策にはしない。世界の鉄鋼業界をリードできる強い企業を創り上げていこう」と、固い決意を交わしました。世界的な鉄鋼会社再編や国内の鋼材価格低下などの市場動向に対して、自社だけでなく日本の鉄鋼業全体に非常に強い危機感を抱いていましたから。そして、新会社がスタート時から成長に向かって歩めるよう、統合前から新会社の利益・発展につながる体制整備を行うことを互いに確認したのです。
  重要かつ喫緊の課題は2つありました。まずは、どのように経営基盤を立て直し、収益性を高めるか。そして企業風土の異なる2社の社員の意識をいかに早くひとつにまとめるかということです。それらの実行のため、JFEの収益拡大を企図したさまざまな施策を打ち出しました。真っ先に決めたのが、製鉄所にとって象徴的な設備である高炉の休止です。JFEグループにとって何が最適かという視点で選定した結果、休止する2基の高炉は、両社均等の痛み分けというかたちではなく、川崎製鉄側の高炉のみとなりました。これは内外に相当なインパクトを与え、両社内全体に改革の決意とJFEグループとしての意識が浸透しました。
 その後は、下工程の生産ラインについても統廃合がスムーズに決定されました。鉄鋼メーカーでは、たとえ設備稼働率が50%の商品でも顧客がいる限り設備を止めてしまうことはできません。しかし、統合相手に同じようなラインがあれば、どちらかを休止して一方に集約することができます。すなわち、余剰設備を減らし、設備の生産性を上げることができるのです。
 今後3年間で休止が予定されている生産ラインは計15基、生産能力にして約350万トンに及びます。
 また、人事・組織面においては、出身会社の慣習や文化を統合後に引きずらないために、融合策を先行して進めました。まず、隣接する千葉・京浜、倉敷・福山の製鉄所をそれぞれ1人の所長がマネジメントする一体運営体制を構築しました。そして、東西2つに再編した製鉄所で生産ラインの部長を大幅に入れ替える人事を2003年4月に実施しました。この施策は、慣習・文化の融合のみならず、お互いが築き上げていた生産ノウハウの共有によるコストダウンの前倒し、深掘りという点でも期待以上の効果を上げています。
 以上のように、JFEグループにとって何が最適かを最優先に、完全統合後の設備、人事・組織体制といった重要課題から早い段階で決めていったことが、スムーズな統合の最大の要因となったと思います。

日本の経営史上かつてないスムーズな統合を成し遂げたと、資本市場をはじめ各方面から高い評価をいただきました。

Q: JFEグループの組織体制を紹介してください。

A: JFEグループは、2002年9月、国内大手製造企業として初めて持株会社制を導入しました。  2003年4月からは、NKKと川崎製鉄両社が保有する各事業を、事業分野ごとに「JFEスチール」「JFEエンジニアリング」「JFE都市開発」「川崎マイクロエレクトロニクス」「JFE技 研」の5つの事業会社に再編し、持株会社「JFEホールディングス」の傘下に置く新体制をスタートさせています。
 事業分野ごとに会社組織を設立した大きな目的は、事業特性に応じた最適な業務執行体制を構築することにあります。事業会社には事業経営にかかわる権限が大幅に委譲されるため、事業ごとの市場動向や顧客ニーズに即した戦略策定や投資判断決定などをスピーディーに展開していくことが期待できます。また、権限と同時に経営責任も課せられることになりますから、採算性・効率性も今まで以上に重視されるようになります。これら5事業会社を「JFEホールディングス」が統轄し、JFEグループ全体の戦略策定を行うとともにリスク管理と対外説明責任を負う、スリムなグループ本社としての業務を遂行します。

持株会社制の導入により、事業特性に応じた最適な戦略を遂行できる業務執行体制を構築しました。

Q: 2003年4月からスタートした第1次中期経営計画についてご説明ください。

A: 第1次中期経営計画は、2003年4月から2006年3月まで3カ年の事業運営の指針と達成目標を掲げたグループ初の経営計画で、JFEグループの将来の方向性をはっきりと示す内容になっています。
 先にも触れたとおり、JFEグループの最重要課題は「強固な経営基盤を構築し、収益性を高める」ことです。これを計画の役割・意義と位置づけ、課題解決に向けて、生産設備稼働率の向上等による収益力強化と遊休資産の売却および設備投資厳選によりキャッシュ・フローを極大化し、有利子負債を大きく削減することに計画の主眼を置いています。財務目標として2006年3月期に、グループ全体で連結経常利益を2003年3月期対比2倍強の2,500億円、ROSを10%、ROAを9%に高め、社債・借入金残高を2003年3月期対比4,500億円減の1兆6,000億円に圧縮することを掲げ、達成に向けてグループ総力を挙げて取り組んでいく方針です。
 グループ全体の共通施策として、「グループ連結経営の強化」「技術立社」「人事・労働施策の推進」「購買費用の削減」「環境経営の徹底」「ITの積極的活用」の6項目を策定し、事業分野ごとの特性に応じたマネジメントの確立や、オンリーワン(他社にない)/ナンバーワン(最高の技術競争力を有する)商品の倍増、人員・コスト削減などを行います。
 具体的な施策については、グループ全体の共通施策をベースに、5つの事業会社それぞれが独自に策定を行いました。(各事業会社概要をご参照ください)。
 JFEグループは、全員が一丸となって第1次中期経営計画を着実に遂行しながら、新たな成長の歴史を創り上げていく決意です。


全員が一丸となって同じ目標をめざすことで、グループ意識は大きく高まるでしょう。
 ●第1次中期経営計画財務目標(連結ベース)
  2003年3月期(実績) 2006年3月期(目標)

経常利益 1,046億円 2,500億円
売上高経常利益率(ROS) 4.3% 10%
総資産金利前経常利益率(ROA) 3.7% 9%
社債・借入金残高 2兆571億円 1兆6,000億円

Q: 財務目標算定の前提条件となる鋼材価格や為替レートなどの変動要因は、どのように設定されていますか。

A: 財務目標算定の前提条件は、かなり厳しいレベルで設定しています。鋼材価格については今後上昇が見込まれていますが、2003年3月期下期の水準を適用しています。またJFEグループは、1年で15億米ドル前後の輸出超過ですが、為替レートについては、1米ドル=110円と足下よりも厳しいレートを用いています。さらに、有利子負債に大きく影響する金利率に関しても、2003年3月期から年0.5%ずつ上昇すると仮定して、2006年3月期のTIBOR*1 (6カ月)を1.5%、長期スワップレート*2(5年)を3%に設定しています。

*1 TIBOR(Tokyo Interbank Offered Rate):東京における銀行間短期資金取引において資金の出し手側銀行が提示する利率。変動金利による資金調達の基準金利となります。
*2 長期スワップレート:金融取引市場において、一定期間の変動金利と交換される固定金利。固定金利による資金調達の基準金利となります。

Q: JFEグループをどのような企業グループに育てていきたいとお考えですか。

A: JFEグループを「技術立社」すなわち、優れた技術を基盤としたものづくりの会社として、これまで以上に成長・発展させていきたいと考えています。
 現在、鉄に限らず、市場ではグローバル化が進み、価格競争がますます激化しています。そのなかで日本の企業が成長を遂げていくには、誰にも真似のできない「技術力」をもって高機能商品を数多く、かついち早く市場に投入していくことが必要不可欠です。今後、製造業を営む企業にとって、「技術力」はこれまで以上に重要な資産になっていくでしょう。
 
 JFEグループは、日本の発展を長年にわたり支えてきたNKKと川崎製鉄の優れた技術力を受け継ぎ、数多くのオンリーワン/ナンバーワン技術・商品を保有しています。薄板においては高張力鋼板や表面処理鋼板、厚板においては世界最速の冷却技術、エンジニアリング分野では無公害のごみ焼却を実現した高温ガス化溶融炉、さらに、DMEプロジェクトをはじめとする次世代の新エネルギー開発技術も非常に高い評価を受けています。

 今後は、これらの技術を融合・発展させながら、第1次中期経営計画にも掲げた、「オンリーワン/ナンバーワン技術・商品のさらなる創出」「リーディングテクノロジーの開発」「環境・エネルギー分野等の新たな事業分野へのチャレンジ」にグループの総力を挙げて取り組み、グループの企業理念のとおり、常に世界最高の技術をもって社会に貢献してまいります。


JFEグループならではのオンリーワン/ナンバーワン。
突出した技術を数多く持つことで必ず大きな成長を遂げると確信しています。

         

JFEホールディングス会長
江本 寛治
1958年
川崎製鉄入社
1995年
代表取締役社長
2001年
代表取締役会長
2002年
JFEホールディングス
代表取締役会長(Co-CEO)
川崎製鉄取締役
2003年
JFEホールディングス
代表取締役会長(Co-CEO)
       
JFEホールディングス社長
下垣内 洋一
1958年
NKK入社
1997年
代表取締役社長
2002年
代表取締役会長
2002年
JFEホールディングス
代表取締役社長(Co-CEO)NKK取締役
2003年
JFEホールディングス
代表取締役社長(Co-CEO)