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 事業会社概要 

JFEスチール株式会社
 JFE Steel Corporation

「挑戦。柔軟。誠実。」
常に希望をもって臨み、高い目標に対し果敢に挑戦し、世界の最高峰をめざしていきます。

 JFEスチールは、「東日本製鉄所」「西日本製鉄所」という世界最大規模の2大臨海型製鉄所と「知多製造所」を生産拠点に有し、JFEグループのコア事業である鉄鋼事業を展開しています。
 第1次中期経営計画の最大の課題は、収益性を飛躍的に向上させることであります。そのため、シェアの拡大ではなく、利益の拡大を最優先とし、最適な事業形態を追求しています。製品の品種セクター制の導入もその一環です。セクターは、営業部とは別に、品種別に販売・生産・物流といった各部門をくくり、部門横断的に戦略策定や収益管理を行う組織です。この体制によってオーダーごとの収益性を把握でき、収益改善のポイントを明確にすることが可能となります。同時に、この体制のもとで、高度化する顧客ニーズを的確に把握し、マーケティング機能の充実を図ります。
 世界の鉄鋼需要が、アジア、特に中国を中心に大幅に拡大すると予想されるなかで、JFEスチールは、高度な技術力と高い生産性を武器に、グローバルプレーヤーとしての飛躍をめざします。
品種セクター制



JFEスチールグループ 第1次中期経営計画
 JFEスチールグループでは、安定した高収益力の確保と財務体質の改善をめざして、最適生産体制の確立、生産設備の統廃合、オンリーワン/ナンバーワン技術・商品の開発、グローバルアライアンスを活用した輸出拡大、および傘下のグループ会社の再編・統合を骨子とするJFEスチールグループ第1次中期経営計画を策定しました。
 これを着実に遂行することにより、2006年3月期において、JFEスチール連結の経常利益を2,300億円、売上高経常利益率(ROS)を11.0%、総資産金利前経常利益率(ROA)を9.0%に高めていきます。



●生産設備の統廃合と最適生産体制の確立

 設備の統廃合を計画するうえで最も重要なポイントとなったのは、粗鋼生産量の設定でした。JFEスチールでは、品種構成や増産時の増分コストを考慮したうえで、グループにとって最も利益率が高くなる生産量を2,700万トンと算定し、2006年3月期の粗鋼生産量として設定しました。
 設備の統廃合計画は、この粗鋼生産量を基本に策定しています。上工程においては、2基の高炉(合計年間生産能力390万トン)を休止し、稼働高炉9基体制とします。
 下工程においては、15ライン(年間生産能力350万トン)の設備休止を計画しており、そのうち7ラインについては、2003年4月までに前倒しで休止を実行しました。このほか、NKK、川崎製鉄の設備それぞれで製造していた共通商品の生産集約も実施し、これらの設備集約・生産集約により、下工程の設備稼働率は、従来に比べ10%以上向上します。
 同時に、さらなる設備稼働率向上をめざして、下工程におけるロット集約を可能にする製鋼過程での製造規格の統一と、下工程設備の最大生産能力を大幅に高める新たなプロセス技術の開発にも取り組んでいます。


●コスト低減策
 設備集約に伴う償却費・修繕費の削減、生産集約や生産ノウハウの共有化による歩留まり・原単位の改善のほか、購買費用や人件費の削減にも取り組みます。
 JFEスチールグループが購入する原料は、統合によって、鉄鉱石が4,500万トン、原料炭が2,500万トン、金額にして4,000億円の規模となっています。こうしたスケールメリットを活かして原料および資材の購買に関するコスト低減を進めていきます。原料については徹底した安価原料の使用拡大や原料系グループ会社の有効活用、原料輸送に最適な船型の導入などの施策によりコストを削減し、資材についても使用材の統合を進め、一括購入によるメリットを追求し、3年間で250億円のコスト削減を実現します。さらに、ITを活用した購買システムの整備や、製鉄所間の技術移転による原料および資材の共通化など、一層のコスト削減に向けた取り組みも開始しています。
 また、要員については、設備集約、本社部門等重複部門のスリム化、JFEスチール傘下のグループ会社の再編・統合等の合理化により効率化を図ります。具体的には、JFEスチールグループ全体の人員を3年間で約4,000人削減し、人件費の抑制を図っていく方針です。なお、これにより、2006年3月期における1人当たり粗鋼生産量は、2003年3月期に比べ20%向上し、2,100トンとなります。




●オンリーワン/ナンバーワン戦略
 業界で唯一の(オンリーワン)または最高の(ナンバーワン)技術に基づき、収益性にも優れる商品を継続して開発・販売していくこと──、それがオンリーワン/ナンバーワン戦略です。グローバルプレーヤーとして持続的な成長を達成するためには、技術面での独自性・優位性ゆえに対抗商品との価格競争にさらされることなく高い収益性を享受できる商品の構成割合を上げていくことが必要です。JFEスチールでは、オンリーワン/ナンバーワン技術・商品の増強と拡大を重要戦略と位置づけ、積極的な取り組みを開始しています。
 現在、JFEスチールは、優れたプロセス技術をもとにした、ナノハイテン*1、熱延TMCP利用高加工性鋼板*2、HISTORY鋼管*3などのオンリーワン商品・技術と、高耐食性クロメートフリー鋼板、Super-OLAC(新オンライン加速冷却システム)を活用した高品質な厚板、高合金油井管などのナンバーワン商品・技術を保有しています。
 2003年3月期における、これらオンリーワン/ナンバーワン商品のJFEスチールグループ売上高に占める割合は6~7%ですが、さらなる技術開発や商品開発に注力することにより、2006年3月期には15~20%まで高めます。
 オンリーワン/ナンバーワン技術・商品の掘り起こしと開発は、薄板から鉄粉まであらゆる分野で進めていますが、特に自動車用の高張力鋼板および表面処理鋼板などの商品分野で積極的な取り組みを行っています。表面処理鋼板については、従来にない高い加工性や表面外観に優れた新商品がすでに開発され、間もなく市場投入される段階にあります。また、高張力鋼板(ハイテン)については、高強度化、高加工性、省資源をさらに追求した新商品を開発し、自動車用鋼板のハイテン比率の一層の向上をめざしています。このほか、電磁鋼板やシームレス鋼管、UOE鋼管、クロム系ステンレスなどの商品分野でも、収益性の高いオンリーワン/ナンバーワン商品の開発・販売を強化していきます。



*1  ナノハイテン:世界で初めてナノメートルサイズの微細析出物を鋼中に均一分散することにより、高強度化とプレス成形性能を両立させた薄板鋼板
*2  熱延TMCP利用高加工性鋼板:新加速冷却法の適用によって金属組織の微細粒化、炭化物の微細分散を図り、加工性能が大幅に向上した高炭素鋼板
*3  HISTORY鋼管:HISTORY=High Speed Tube Welding & Optimum Reducing Technology
鋼管の縮径圧延を用いた新インライン加工熱処理技術により製造する高強度・高加工性鋼管


●グローバル戦略
 1999年まで約20年にわたり年間7億トン前後で推移してきた世界の鉄鋼需要は、2000年に8億トン、2002年に9億トンに達しました。数年後には、10億トンを突破することが予想されています。
 こうした環境のもと、JFEスチールグループでは、価格の変動が激しい海外市場に対して、スポット市場向けの輸出量を増加するのではなく、アジアおよび北米の信頼できるアライアンス先を通じて輸出量を増やし、安定的な収益の確保を図っていく方針です。  JFEスチールグループは、2003年3月期において約1,000万トンの鋼材を輸出しており、アライアンス先向けはそのうち約400万トンを占めています。第1次中期経営計画では、アライアンス先への年間鋼材輸出量を、韓国、中国、アセアンなどに対して80万トン以上、北米に対して50万トン以上増やし、合計で130万トン以上増加させる計画です。これにより、輸出比率は2003年3月期の43%から2006年3月期は46%へと高まります。
 今後は、アライアンス先を厳選したうえで、高級自動車用鋼板や環境対応商品など戦略商品の提供を行っていくほか、今後さらに鉄鋼需要が拡大することが予想されている中国については、通商リスクを考慮し、慎重な直接輸出を継続しながら、並行して直接投資による垂直分業についても検討を進めていきます。




●グループ会社の再編・統合
 グループ各社の機能を明確化したうえで、重複する機能の再編・統合を進めることにより、グループシナジーを最大限発揮する体制を構築していきます。
 2003年4月には、川鉄コンテイナー(株)と鋼管ドラム(株)を統合した「JFEコンテイナー(株)」、川鉄建材(株)と日本鋼管ライトスチール(株)を統合した「JFE建材(株)」、アドケムコ(株)と川崎製鉄の化学事業部を統合した「JFEケミカル(株)」の3社を発足させました。2004年3月期中には知的財産、技術情報や研究支援、検査分析の分野で、2004年4月には物流や鉱業・スラグ、設備保全などの分野においてグループ会社の統合を計画しています。



●設備投資計画
 第1次中期経営計画で、2004年3月期から2006年3月期までの3年間において、減価償却費の範囲内の設備投資(JFEスチール単体で総額2,400億円、スチール連結で総額3,200億円)を計画しています。主な設備投資として、西日本製鉄所・倉敷地区の第2高炉、東日本製鉄所・京浜地区の第2高炉などの生産設備の更新を予定しています。

スチール研究所
 JFEスチールでは、鉄鋼分野の研究機関として世界最大級の規模を誇る「スチール研究所」を社内に置いています。同研究所では、鉄鋼にかかわる製造プロセス技術の革新に向けた研究と、素材の可能性を追求した商品開発を推進しており、その技術・ノウハウは、化学をはじめとする鉄の周辺分野や環境関連の研究開発にも活用されています。また、生産部門や営業部門、さらにはグループ各社との連携によって、顧客ニーズや生産性、収益性を的確に把握した研究開発にも取り組み、第1次中期経営計画の重要戦略であるオンリーワン/ナンバーワン技術・商品の創出に大きく貢献していきます。

総合リサイクル事業センター
 地球環境に対する意識の高まりとともに、循環型社会の実現に向けた法整備が進んでいます。その一方で、資源をどのようにリサイクルするかが、大きな社会的課題になっています。JFEスチールは、鉄鋼業のインフラを活かした先進的なリサイクル技術を有しており、総合リサイクル事業センターを通じて、使用済みプラスチック高炉原料化をはじめとする独自技術を駆使して、循環型社会の実現に大きな役割を果たしています。同時に、このように廃棄物を鉄鋼原料として活かすことは、鉄鋼製造におけるCO2の削減にも役立っています。