特集2:中国の鉄鋼需要動向とJFEスチールの対応

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拡大する中国の鉄鋼需要
中国は今日世界で最も鉄鋼需要が伸びている国のひとつです。中国は1991年より一貫して7%以上の実質GDP成長率を維持しており、2003年はSARSによる一時的落ち込みにもかかわらず、GDP実質成長率は9.1%と1997年以降では最高を記録、一人当たりGDPも1,000ドルを超えました。経済発展に合わせて鉄鋼需要も順調に拡大してきました。今日、中国の一人当たり粗鋼見掛消費は、日本の60年代、韓国の80年代と同水準にあります。日・韓両国がオリンピックを契機に大きく鉄鋼需要を伸ばしたのと同様、中国も2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博に向け、鋼材消費のさらなる拡大が予想されます。

世界の鋼材見掛消費推移
  百万トン
                    予測 予測
1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005
欧州 158.7 147.5 164.5 173.6 170.5 181.4 176.5 176.5 182.1 187 191
NAFTA 116.9 124.4 134.5 144.1 139.9 146.6 129.8 132.8 130.6 139 141
アジア・オセアニア 296.8 303.4 313.9 282.6 308.5 328.2 353.6 399.4 453.4 488 518
  うち中国 87.4 97.3 103.2 110.6 122.6 124.6 153.4 185.6 232.4 263 290
その他 78.9 77.8 85.1 81.1 79.7 91.4 94.7 96.1 97.6 103 108
世界計 651.3 653.1 698.0 681.4 698.6 747.6 754.6 804.8 863.7 917 958
(出典:IISI)

一人当たり粗鋼見掛消費の推移

一人当たり粗鋼見掛消費の推移

中国の金融引き締め策
しかしながら一方で、建設ラッシュによる中国経済の過熱も懸念されるようになってきました。そこで中国政府は経済の持続的成長のため、2004年に入って矢継ぎ早に金融引き締め策に着手しました。これまでに、(1)公定歩合引き上げ(3月25日実施、3.24%→3.87%)、(2)預金準備金比率引き上げ(4月25日実施、7.0%→7.5%)、(3)投資抑制に関する国務院通達(4月27日)が行われました。国務院通達により、投資プロジェクトを実施するための要件となる自己資本比率の下限について、鉄鋼では25%から40%へ、アルミ、セメント、不動産では20%から35%へとそれぞれ引き上げられました。これは、建設ラッシュによって生じた脆弱な経営基盤の鉄・非鉄メーカーの乱立状態を抑え、供給体制の健全な発展を目指すことにもなります。

JFEの鉄鋼輸出への影響
2003年から急速に伸びた建設投資関連事業は、一連の金融引き締め策の影響を受け、棒鋼、線材等の建材については、すでに一時的な市況下落が発生しています。
 しかしながら、JFEスチールの中国向け輸出の大部分(約80%)は、需給・市況変動の影響を受けやすい汎用品分野ではなく、自動車、家電、缶用、造船用等に使用される高級鋼板です。これら製品分野でのサプライヤーは限定されており、需給・市況環境は今後も逼迫していくものと考えられます。
 市況下落が見られた建材については、2003年度実績でJFEスチールの中国向け輸出全体の8%とごく少量であり、しかも中国国内メーカーは供給できない特殊な極薄高級建材(亜鉛メッキ鋼板用極薄冷延コイル)に限られているためサプライヤーは限定され、一般建材で見られるような市況下落の影響は受けません。

中国鋼材消費におけるJFE鋼材の位置付け
  -中国の鋼材消費量全体に占める、JFE輸入鋼材はごく一部(1%)

  中国鋼材需給(2003年)
      百万トン/年
  鋼材見掛消費
(うち建材用が50%超)
  266  
   ・国内生産   236  
   ・輸出    
   ・輸入   37  
    うち日本からの輸入
  8  
    うちJFEからの輸入   2  
  *見掛消費=国内生産+輸入-輸出
(出典: 中国鋼鉄工業協会)

グラフ

中国鋼材需要の内訳
中国の鋼材見掛消費総量は2001年より3年連続20%台の増加率で、全体の鋼材消費は急激な伸びを示していますが、今日、総鋼材需要に占める建材の比率は50%を超えるものと推定され、急増した部分の多くは建設用途と考えられます。そのことは、産業分野別の活動水準を見るとより明確にわかります。建設投資の伸びに比べて、工業生産は比較的安定的に成長しています。 従って、今回の引き締め策によって、建材分野で需要、供給ともに調整局面を迎える以外は、今後とも堅調な需要が継続するものと考えられます。実際にこのことは、最近のタイプ別鋼材市況の変化に表れています。棒鋼、線材が2004年4月以降価格下降基調にあるのとは対照的に、薄板等は依然堅調な価格で推移しています。JFEスチールの主要供給先である自動車、家電、造船等の分野は、数年来安定成長を続けており、顧客の在庫が常に下限状態という慢性的材料不足の状態が続いています。今回の金融引き締め策によっても、今のところこの基調に変化はありません。

広州JFE鋼板
増大する中国の自動車用鋼板需要に応えるため、JFEスチールは広州鋼鉄企業集団有限公司との間で合弁会社「広州JFE鋼鉄有限公司(JFEスチール51%所有)」を設立、2006年4月の稼動を目指し、建設工事を進めています。広州JFEでは年間40万トンの溶融亜鉛メッキ鋼板(GA、GI)を生産する計画です。その原板となる冷延コイルについては、高品質なものが要求されるため、JFEスチールが主として供給することになります。

中国鋼材見掛消費の伸び中国鋼材見掛消費の伸び

中国主要産業活動水準

中国主要産業活動水準

中国鋼材市況推移
中国鋼材市況推移

中国自動車用溶融亜鉛メッキ鋼板需要予測
中国自動車用溶融亜鉛メッキ鋼板需要予測