社長インタビュー
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2004年度の売上高は前期に比べ13.3%増加の2兆8,036億円、経常利益は前期比2.1倍の4,606億円と、収益力は大幅に改善しました。 私は三つの面での努力が実を結んだと考えています。一つは、生産性の向上です。経営統合により、ヒト・モノ・カネという経営資源の効率的活用を一途に進めてきました。高炉2基と下工程の設備14ラインの休止を進める一方で、工夫を重ねて個々の設備の稼働率・生産スピードを引き上げ、生産量を増やすことができました。 もう一つは、独自性が高く、収益性の良いオンリーワン・ナンバーワン商品の開発・生産・販売です。研究開発人員は、統合に際しても削減せず、研究スピードの向上や研究テーマの拡充を推進してきました。500人以上の研究者を配して業界でもトップの陣容を整えてきました。 さらに、当社の鉄鋼事業がグローバル市場を重視した戦略をとっていることもプラスに作用しました。当社は輸出比率の高さを懸念されることがありますが、人口の減少が見込まれる日本国内では、今後量的な拡大は見込めず、海外市場にこそ大きな発展の可能性があります。JFEは国内のみならずアジア全体をホームマーケットと捉え、先手を打って日系メーカーの工場や下工程鉄鋼メーカーなどの安定的なお客様の開拓を進めてきました。私自身は、海外の安定的なお客様比率の高さをむしろ強みと思っています。 今申し上げた3点に加え、世界的な鋼材需要の伸びに伴う販売価格の改善もあって、2004年度は大幅に収益を改善できました。
第1次中期経営計画は2年目を終了しました。当初ターゲットとした主要な連結財務目標(経常利益、ROS[売上高経常利益率]、ROA[総資産金利前経常利益率]、借入金・社債残高、株主資本等)について、1年前倒しで達成することができました。特に、海外の鉄鋼メーカーと競争していくために、ROS10%という目標を掲げていましたが、2004年度でROS16.4%という実績を上げることができました。 しかし、現状に満足してはいません。海外の有力な鉄鋼メーカーは、20%以上のROSを確保しています。JFEはまだ世界のトップに立ったわけではありません。また、エンジニアリング事業、都市開発事業、LSI事業では、目標に到達しておりませんので、引き続き到達に向けて努力する必要があります。経営改革はまだ始まったばかりです。財務体質の一層の健全化をはじめとして、さらなる強靱な事業構造の構築に向けて邁進します。
中期経営計画の進捗状況
世界の粗鋼生産は、1970年代後半から1999年まで7億トン台でしたが、2000年以降飛躍的に伸びて、2004年には、史上初めて10億トンを超えました。中国をはじめBRICs諸国※の成長などで、鉄鋼だけでなく、原油、パルプ、ゴムなどの基礎物資が不足しています。加えて、生活レベルそのものが上がっていますので、いったん伸びた鉄鋼需要は、もとに戻ることはないとみています。 また、世の中が高級志向になっており、日本の自動車など高品質の製品が売れています。鉄鋼でも、製造に高度な技術力が必要な高級品への需要が増えています。かつては高級品だからといっても、それに見合う対価へのご理解はなかなか得られなかったのですが、ここ数年はむしろお客様の方から「対価を支払うので、性能・品質面の良いものを提供してほしい」と言われることが多くなっています。 世界の鉄鋼メーカーの経営統合・再編が進み、購買・販売の両面で交渉力がついてきました。それと同時に、鉄鋼の経営者の意識も大きく変わっています。世界のトップ10に入るような会社でも、過去長らく低ROSに甘んじてきましたが、今の経営者は最低でもROS10%という意識です。かつて鉄鋼業は景気の波に翻弄される産業でしたが、2000年を境に、事業環境をはじめ、収益の構造も、ビジネスの規模も、交渉力も、経営者のマインドもすべて変化し、安定的な収益を確保する下地が整ったということです。
技術力と品質の高さでお客様に選んでいただくことがJFEグループの基本戦略です。高級品はその独自性・技術的優位性ゆえに対抗商品との価格競争に晒されることが少ないため、高い利益率を安定的に維持できます。また、高級品の生産・販売比率を増やせば、同じ生産量でもより高い収益を上げることができます。そのための研究開発投資と製造技術の強化は怠りません。この他、信頼関係に基づく国際的な提携等により、安定的に原料調達・製品販売が行えるようにし、業績が市況変動に左右されにくくすることも必要です。 こうした戦略を続けていく上で、当社の一番の弱点は、まだまだ有利子負債が大きすぎることです。だからこそ、第1次中期経営計画のターゲットを、安定したフロー収益力の確立と有利子負債の削減による『強靭な事業構造と健全な財務基盤の構築』としました。幸いにしてこれまで順調に負債を削減し、D/Eレシオ(借入金・社債残高を株主資本で割った比率)も低くなってきています(2004年度末、149%)。しかし、現状レベルでは未だ磐石な財務基盤が確立したとはいえません。大型設備投資や戦略的事業投資などに対する財務柔軟性の確保なども考慮して、第2次中期経営計画では2年目くらいまでにD/Eレシオを50%程度にまで減らすことを目指したいと考えています。
こうして積極的な戦略投資を展開する基盤を整えた上で、「さらに収益力を高めるために何に投資するべきなのか」ということが、第2次中期経営計画の最大のポイントになります。 投資につきましては、大きく分けて四つ考えられます。 一つ目は、鉄鉱石、石炭、合金鉄等の原料の安定的確保のための投資です。ブラジル、オーストラリア、中国、ロシアといった原料産出国に、現地のパートナーと組んで投資していきます。
二つ目は、マーケットが拡大している中国や原料が豊富なブラジルなどで、上工程(高炉〜)も視野に入れた製鉄事業への投資を考えています。 海外の原料サプライヤーや鉄鋼のメーカーなどとの提携でつくづく感じるのですが、一番大事なのはビジネスパートナーとの哲学の共有です。鉄鋼は初期投資の大きい、いわゆる装置産業であり、ビジネスを長期的に考えなければならないのです。そのためには、パートナーとの信頼関係をベースに、共に利益を得る仕組みを考える必要があります。
三つ目は国内の製鉄所への投資です。我々の持つメンテナンス技術やオペレーション技術、設備の改造・長寿命化技術などを組み合わせて、効率よく、フレキシブルに需要の増減に対応できるような設備能力の向上を図ります。
最後になりましたが、最も重要な四つ目が、人材育成のための投資です。良い人材を育成できるかどうかは企業の死命を決する問題です。鉄鋼事業に限らず、エンジニアリング事業、都市開発事業、LSI事業のすべてに共通する全社的課題として採用、教育、そして現場でのオペレーションや研究開発まで、人材育成のための投資に力を入れていきます。
研究開発の重要性はいくら言っても言いすぎということはありません。鉄は素材でありながら、もう単純に素材とは言えない面があります。飲料缶にも使用される表面処理鋼板などに求められる品質は高く、それらはもはや商品であり、素材とは言えません。自動車の外板も、様々な独自技術が投入されており、ただの鋼板ではありません。そうした技術的な付加価値は日々付けていかなければならず、付加価値が付けられない会社は生き残れないと考えています。
鉄鋼・エンジニアリングをコア事業とする当社は、JFE発足以来、収益、株式時価総額、生産規模などの面で世界のトップ集団の一角を占めてきました。グローバル企業として、その位置付けを、今後ますます確実なものにしてまいります。コンプライアンス面での問題点が明らかになりましたので、早急に改善し、収益だけでなくCSRという観点から見ても世界のトップレベルの会社になるよう、全力を尽くしてまいります。 株主の皆様にもご満足して頂けるよう、技術と人材をコアにして、持続性の高いエクセレントカンパニーとなるべく努力し、実現した成果は必ずや株主の皆様に還元いたします。今後ともご支援とご理解をよろしくお願いいたします。