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ニュースリリース


JFEホールディングス株式会社

2020年 JFEホールディングス社長年頭挨拶

代表取締役社長  柿木 厚司

代表取締役社長 柿木 厚司

 

皆さん、明けましておめでとうございます。

新年にあたり、JFEグループで働く皆さんに一言ご挨拶を申し上げます。

 

JFEグループを取り巻く事業環境は、厳しい状況が続いています。特にスチール事業においては、米中貿易摩擦などの通商政策の影響から海外鋼材市況の悪化が続いており、サプライチェーンの変更などもあって、国内での需要も弱まってきています。英国のEU離脱問題、中東情勢などの地政学的リスクを考えると、世界的な不透明感も強まるばかりです。長期的には、国内では少子高齢化などにより、鋼材需要の減少、労働力不足など、構造的変化が進んでいます。 また、一方では世界的なESG投資の拡大などを背景に、ESG課題、特に、気候変動問題への対応を求める声が急速に高まっています。昨年は、台風をはじめとする自然災害も多発し、異常気象が常態化する傾向にあるとも考えられます。当グループとしても、気候変動問題についての対応は、今後の事業活動を左右する重要な課題です。 世界経済の潮流は、新興国における経済発展、人口増加などから、今後も長期的には持続的な経済成長が見込まれますが、地政学的リスクもあって景況の変動も拡大していくと考えられます。 このような激しい環境変化の中ではありますが、私たちは、進むべき方向をしっかりと見据え、それを共有していく必要があります。そして、グループの総合力を最大限に生かして、収益力を早急に取り戻し、グループの持続的な成長に向けた取り組みを進めていかなければなりません。

本年の取り組みについて

厳しい環境の中、第6次中期経営計画で掲げた施策等を着実に実行してきましたが、本年度の収益は、残念ながら私たちの目標と大きく乖離する見通しです。まさに、JFEグループ発足以来の危機的状況と言わねばなりません。これらの変化が、構造的なものなのか、それとも一過性のものなのか、しっかりと見極めることが重要です。いずれにしても、容易に元に戻らないという意味では、新しい環境、すなわちニューノーマル(新常態)への移行過程にあると考えていく必要があります。今が、その変革期であるならば、変革の内容を見据えた上で、徹底的な事業基盤の強化を図っていくときであると考えています。

重点課題
○安全
JFEグループにとって、安全は全てに優先する課題であることに変わりありません。常に安全の意識をもって、業務に取り組んでください。

○収益力の拡大
JFEグループ全体として収益力の回復が急務です。大胆な「選択と集中」の発想で、一丸となって取り組んでください。厳しい環境の中、事業会社・部門が何を実行すべきかを考え、課題に前向きに取り組んでください。 特に、グループの収益基盤であるJFEスチールは、一刻も早く収益を回復させるべく、強靭な収益体制づくりを進めてください。また、JMUにおいては、今治造船との提携を踏まえて、抜本的な構造改革を推し進めてください。 JFEエンジニアリング、JFE商事は、積極的な事業体制の強化、拡張と、安定した収益基盤の構築により、次なる飛躍を目指してください。

○持続的な成長に向けたESG課題への対応
グループの持続的な成長、企業体質の強靭化を実現するために、ESG課題への対応が必要不可欠です。特に、気候変動問題への対応は重要なポイントです。JFEグループは、昨年5月にTCFD提言への賛同を表明するとともに、本提言に沿った事業シナリオの分析などに取り組み、昨年の統合報告書、CSR報告書で開示してきました。これらに対する投資家や社会の関心はますます高まっています。ESG課題への対応を持続的な成長に向けた重要な経営課題と位置づけ、皆さんの事業活動を見つめなおしてください。

結び

JFEグループを取り巻く環境は厳しく、決して楽観視できない状況です。このような環境の下で、企業の経済的価値を創出し、持続的な成長を図るために、私たちの世界最高の技術とJFEグループの総合力をもって、早急に収益を回復していきましょう。そして、「挑戦・柔軟・誠実」という行動規範の下、皆さんひとりひとりが自らの仕事に自信と誇りを持って前進していきましょう。 最後になりましたが、本年が皆さんとご家族にとり、健康で実り多い年となることを祈念して、新年の挨拶といたします。