1997年12月3日

川崎製鉄株式会社

TPCP 直接切削非調質棒鋼の開発について

(機械類の製造プロセスを簡略化)

1.川崎製鉄(株)は、機械構造用鋼において、合金鋼レベルの高強度・高靭性を、焼入れ焼戻し処理なしで実現する新タイプの「非調質棒鋼」を開発し、このほどサンプル出荷を開始いたしました。
(非調質とは、「焼入れ焼戻し処理」(=調質処理)を省略したもの。「焼入れ」とは鋼を固くしたり強さを増すために行う熱処理。「焼戻し」とは焼入れした鋼の靭性を増したり固さを減らすために行う熱処理。)

2.機械構造用棒鋼の加工プロセスは、熱間圧延した棒鋼を、ユーザーの側で切削あるいは鍛造して成形し、その後焼入れ焼戻し処理を施すことにより必要な特性を得るのが一般的です。
しかし焼入れ焼戻し処理は、@コストが棒鋼価格の2〜3割程度と極めて高い、A熱エネルギーを多量に消費する、B作業環境を悪化させる、など、経済性や環境面等でいくつかの問題があり、その工程の省略(=非調質化)が要望されています。
機械構造用“非調質”棒鋼は、「炭素鋼」では従来より開発・実用化されておりますが、高強度・高靭性が同時に要求される「合金鋼」の非調質化は困難でした。

3.当社では、析出強化元素を添加し、これを熱間圧延工程で鋼中に微細に析出させる加工熱処理技術「TPCP(Thermo mechanical Precipitation Control Process)技術」を開発し、これにより合金鋼レベルの高強度・高靭性を同時に実現いたしました。

4.今回開発した非調質棒鋼の特徴は、以下のとおりです。

(1)機械構造用合金鋼の焼入れ焼戻し処理材と同等以上の高い特性を、熱間圧延までの工程で得られます。
具体的には、高い特性を出しにくい太径棒鋼において、世界で初めて、機械構造用合金鋼(JIS SCM435)の焼入れ焼戻し材を超える高強度・高靭性が得られました。[降伏強さYS=680〜760Mpa、引張り強さTS=800〜880Mpa、および(摂氏+20度における)衝撃値uE+20≧150J/cm2]

(2)焼入れ焼戻し処理なしに、熱間圧延棒鋼をそのまま機械加工する(=直接切削)ことが可能なため、ユーザーサイドにおいて製造プロセスの簡略化が図れるとともに、作業環境の改善にも役立ちます。

(3)高強度にもかかわらず、焼入れ焼戻し前の低強度の機械構造用合金鋼と比較しても、機械加工性、特に外周旋削(がいしゅうせんさく:表面のスケール除去やサイズ調整のため、丸棒を回転させて表皮を削る加工)性に優れるため、工具への負担が少なく、工具寿命の最大2倍程度の向上が可能になります。

5.現在、サンプル出荷を開始しておりますが、併せて本格出荷に備え、製造体制の整備を進めております。

以 上

本件に関する問い合わせ先

川崎製鉄(株) 総務部 広報室 03−3597−3161