1998年4月6日

川崎製鉄株式会社

高効率モーター用無方向性電磁鋼板の開発について

 川崎製鉄はこのほど、モーターのエネルギー効率を大幅に向上させる、取り焼鈍後の磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板(*1、製品名:50RMA300)を開発し、販売を開始いたしました。

 地球温暖化対策、省エネルギー等地球環境問題が世界的な関心となっており、アメリカで1997年10月から低効率モーター販売者へ罰金が課されるようになったり、日本でも高効率モーターのJIS化等を含むエネルギー使用の合理化法の法制化が検討されております。このような動きのなか、エアコン、冷蔵庫のコンプレッサーモーターの高効率化や、高効率の電気自動車およびハイブリッド自動車用モーターの開発等が急務となっております。

 これらモーターの鉄心には無方向性電磁鋼板が使用されておりますが、モーターメーカーでは、加工時に入る歪を解放することによってモーター特性を向上させるために、歪取り焼鈍を行うことがあります。一方、材料においては、モーター特性向上のため電磁鋼板の鉄損(*2)を低減させることおよび磁束密度(*3)を高めることが必要になります。しかし、電磁鋼板の鉄損を低減させる一般的な方法である、製鋼過程でのケイ素添加量の増加は、一方で磁束密度を低下させ、また硬度を増加させて打抜き性を劣化させるという問題がありました。

 今回当社が開発した50RMA300は、ケイ素添加量の増加を極力抑え、その代わりに鋼の純度を高め、需要家での歪取り焼鈍時における鋼板の結晶成長を促進することによって、磁束密度と打抜き加工性を劣化させることなく鉄損を低減することを可能にいたしました。下表に、従来品と新製品を比較して示します。

鉄損
W15/50(W/kg)
磁束密度
B50(T)
硬度
Hv
従来品 50RM1300
6.50
1.76
108
〃 50RM310
2.60
1.68
215
新製品 50RMA300
2.60
1.72
152

 *磁気特性は歪取り焼鈍後の値 50RM1300はコンプレッサーに用いられている一般的なJIS規格無方向性電磁鋼板であり、50RM310は新製品と鉄損値が同程度の従来のJIS規格無方向性電磁鋼板です。

 新製品50RMA300を鉄心に使用したコンプレッサーモーターは、50RM1300を使用した場合と比較して、モーターのエネルギー効率を約2%向上させることが可能となります。仮に日本全体のモーター効率が2%向上したとすると、節約される電気量は年間約4億kWh(原油換算では約10万kl)になり、これは約13万世帯分の電気使用量に相当します。

 川崎製鉄は1954年に電磁鋼板の販売を開始して以来、方向性、無方向性ともに世の中の様々なニーズに対応した製品を開発してまいりましたが、今後とも、地球環境問題に対応する今回の製品等、社会に貢献する電磁鋼板を開発していく所存です。

[用語解説]

*1 無方向性電磁鋼板:モーターなど回転機器の積層鉄心用に用いられる鋼板

*2 鉄損:鉄心を磁化(電磁石化)する時に、熱となって失われる損失

*3 磁束密度:鉄心の磁化しやすさを示す値

以上

本件に関するお問い合わせ先
川崎製鉄株式会社 総務部広報室 03−3597−3166