1998年3月19日

川崎製鉄株式会社

磁力を利用した焼結機の原料装入装置の開発に成功

 川崎製鉄株式会社は、世界で初めて、磁力を利用した焼結機の原料装入装置の開発に成功しました。

 焼結鉱の製造プロセスは、ベッドに堆積させた焼結原料(*1:粉鉄鉱石と粉石灰石および粉コークスなど)をベッド上層のバーナーにより点火、下層のブロアーで吸引し、上層から流入する熱された空気によりコークスが燃焼し、鉄鉱石をはじめとする原料が焼き固められるというものです。このため原料層の通気性が焼結鉱の生産速度を大きく左右し、焼結機に原料を給鉱する際には原料層の隙間を確保することが極めて重要になります。

 今回開発した装置は、「磁気ブレーキ式装入装置」と称するものです。焼結機へ原料を装入するシュートの裏面に永久磁石を設置し、落下速度を低減させてベッド内の原料層の空隙を増加させて通気性を向上させられること、焼結粉とミルスケールをベッドの上層により多く堆積させて歩留の向上を図れることが特徴です。

 焼結原料中に30%程度存在する焼結粉とミルスケールは磁石に付きやすい性質を持っています。落下中の焼結原料に磁場を作用させますと磁気ブレーキがかかり、落下速度が低減することでベッド内の原料層の隙間が増加します。この結果通気性が向上し、焼結鉱の生産性が10%以上向上して、高価な生石灰(*2)の使用量削減を達成できました。

 またベッド上層部は、従来は燃焼温度が低く歩留りが良くありませんでした。今回開発した装置により、焼結粉とミルスケールが磁力によりシュート面側に引き寄せられ、ベッドの上層により多く堆積するようになります。焼結粉とミルスケールは焼結性が良いため、結果として上層部の焼結性が向上、歩留が2%以上向上しました。

 さらに本装置は、磁力源として永久磁石を使用しているので新たな動力源が不要であること、メインテナンスを必要としないこと等も大きな利点になっております。

 本装置は既に水島製鉄所の全焼結工場(3工場)で稼働中で、焼結鉱の生産性の向上、高価な生石灰の使用量の削減および焼結鉱の歩留り向上に寄与し、年間約2億円のコスト削減が可能となりました。 

 今後、千葉製鉄所の焼結工場、および当社のグループ会社であるフィリピン・シンター・コーポレーション(PSC)への導入も検討中です。また、設備価格が2千万円弱と安価であり、今後国内外のメーカーへの売り込みを図ってまいる所存です。

  

 なお、本技術の詳細は本年4月1日から東京大学で開催される鉄鋼協会の講演大会で報告される予定になっています。また、本開発に関する特許について、今後審査請求を行う予定です。

以  上

本件に関するお問い合わせ先
川崎製鉄株式会社 総務部広報室  03−3597−3166