1998年5月20日

川崎製鉄株式会社

世界最高水準の深絞り性を有する冷延鋼板の開発について

1.川崎製鉄は、ランクフォード値(r値)が3.0以上という、世界最高水準の深絞り性を有する「超成形性冷延鋼板」を開発、このほど販売を開始いたしました。

2.当社は、独自の極低炭素鋼製造技術を用い、これまでも極めて高い深絞り成形性を有する冷延鋼板を製造しており、自動車のオイルパンをはじめ、最高水準の成形性が求められる用途に幅広く使用されております。

 今回開発に成功した鋼板は、当社が熱間圧延設備に世界で初めて導入した「エンドレス・ホットストリップ圧延(完全連続熱間圧延)技術」の活用により実現したもので、深絞り成形性を世界最高水準の値にまで高めることに成功いたしました。

3.r値とは、プレス成形などで鋼板に歪みを加えた場合に生ずる、板幅方向と板厚方向の歪みの比であり、これが大きい程、成形性、特に深絞り成形性が高いということになります。

熱延鋼板は圧延後に、鋼の結晶構造が高いr値を得にくい状態に変化する性質があり、r値向上のため、通常、鋼中の炭素等の不純物元素を極力低減した極低炭素鋼を、冷間圧延した後に高温で焼鈍(熱処理)しております。現在は2.0程度の高r値鋼板を工程生産しております。

4.当社は千葉製鉄所・新熱間圧延工場に、世界に先駆けて開発した「エンドレス・ホットストリップ圧延技術」を96年1月導入し、種々の高性能ホットコイルを製造しております。

 この技術は、従来、「スラブ(厚さ200mm程度の半製品)」1本毎に粗圧延と仕上げ圧延をしていたものを、粗圧延後の「シートバー」を仕上げ圧延機の前で何本も接合することにより、連続的に仕上げ圧延するもので、これによりシートバーの先端・尾端を含め、全長にわたり安定的な圧延ができるようになりました。

 そのため、従来は困難であった低温域での「強潤滑・強圧下圧延」が可能となり、r値向上の妨げとなっていた鋼の結晶組織について、高レベルの制御ができるようになりました。

 この方法で製造した熱延鋼板と、最適化した冷延、焼鈍条件の組合せにより、従来達成できなかったr値3.0以上という、世界最高水準の冷延鋼板の製造が可能となりました。

5.この鋼板は、自動車のオイルパンや公衆電話機の筐体等、成形が極めて難しい部品に使用でき、また、いくつかに分割成形したのち溶接している自動車のサイドパネル等の部品も一体成形が可能となり、軽量化にも寄与できます。さらに、より複雑な形状の部品など、広範囲の適用が期待できます。

 また、高張力鋼板や各種表面処理鋼板への適用も可能です。

以上

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