1998年5月27日

川崎製鉄株式会社

「全自動 線状加熱矯正システム」の開発について

川崎製鉄(株)は、溶接H形鋼の溶接後の歪(ひずみ)をロボットを用いて矯正する、「全自動 線状加熱矯正システム」を開発いたしました。

鋼材は、加熱すると熱膨張し、加熱を止めると収縮しますが、部分的に加熱するとその収縮の際、膨張した以上に収縮する性質があります。そのため加熱成形や溶接等によって鋼材を加熱すると、冷却後に歪(ひずみ)が生じ、鋼材は変形してしまいます。

3枚の鋼板を溶接して製造する「溶接H形鋼」の場合、溶接時の加熱により発生した歪を矯正するため、通常、溶接後にローラー式の矯正機を通しますが、この「ロール矯正」のみでは長さ方向の端部に歪が残ってしまうため、その後さらに、残った歪部分の周辺にガスバーナー等で熱を加えることにより矯正しております。

この「加熱矯正」は通常手作業で行われておりますが、どの位置にどれくらいの時間 熱を加えるかが難しく、熟練技能者の勘と経験に頼る作業となっています。

加熱矯正は、加熱(膨張)後収縮することにより発生する歪の原理を逆に利用して、[加熱]→[収縮による歪]→[再び加熱]→[収縮による歪]という形で歪を何回も積み重ねていく(「熱ラチェット歪」)ことにより目標の矯正形状に近づけていくものです。

当社は、この加熱と歪との関係の解析に成功し、それに基づいて「熱ラチェット歪」の加熱条件を確立したことにより、加熱矯正の完全自動化を実現いたしました。

当社が開発したシステムは、多関節ロボットに、接触センサー、ガスバーナー、自動着火装置を取り付けたもので、ロール矯正後のH形鋼の加熱矯正を全自動で行います。

まず、接触センサーが被矯正材の位置を確認するとともに、形状(歪具合)の自動測定を行います。測定の結果、矯正する必要がある場合には、ガスバーナーが着火し、歪部分を「熱ラチェット歪」が生じる最適な条件で自動的に線状加熱します。

また、線状加熱は目標の形状となるまで通常数回行われますが、このシステムは1回の加熱毎にセンサーが形状測定を行うため、極めて高い確度での自動矯正ができます。

これにより、加熱矯正作業の脱技能化、無人化が可能となります。

加熱矯正作業は、鉄骨工場、橋梁工場、造船工場など、鋼材の加熱成形や溶接の工程を有する工場では日常的に発生しています。今回のシステムに用いた技術を適用、応用することにより、加熱矯正作業の脱技能化や効率化に大いに貢献できると考えております。

以上