1998年11月4日
川崎製鉄株式会社

完全ワックス系 偏析防止プレミックス粉の開発について

1.川崎製鉄は、世界で初めて、潤滑剤に金属成分を一切含まず、しかも流動性が良好な、「完全ワックス系KIPクリーンミックス」(偏析防止プレミックス粉)をこのほど開発いたしました。

2.自動車や、家電等の部品の多くは、粉末冶金法で作られており、この原料となるのが鉄粉を主原料としたプレミックス粉(そのまま成形できる状態になっている混合粉)です。
 プレミックス粉は、鉄粉に、強度を高めるための様々な合金元素粉末(銅、ニッケル、黒鉛など)、および金型との潤滑性を高めるための潤滑剤を混合したものであり、粉末冶金製品はこのプレミックス粉を金型に入れ、圧縮成形したのち、焼結して製造します。
 「偏析防止」プレミックス粉は、合金元素粉末を有機バインダーで鉄粉表面に付着させたもので、鉄粉と合金元素粉末との比重差により混合・成形工程で発生する偏析や品質のばらつき、および黒鉛粉の発塵による作業環境の悪化が防止できます。(「KIPクリーンミックス」は、当社が現在販売している偏析防止プレミックス粉です。)

3.潤滑剤には通常、金属石鹸が配合されます。これは焼結時に熱で分解されますが、潤滑剤として最もよく使用されているステアリン酸亜鉛は、その際に分離した亜鉛が酸化して酸化亜鉛となり、焼結炉壁に付着したり焼結体の表面を汚すという問題があります。
 これらは、ステアリン酸亜鉛のかわりに、金属を含まないワックスを使用することにより防止できますが、ワックスを使用すると流動性が極端に低下してしまうため、ほとんどの場合金属石鹸を添加せざるを得ませんでした。

4.当社がこのほど開発した「完全ワックス系KIPクリーンミックス」は、特殊なワックス系潤滑剤を使用することにより、金属成分を一切含まない潤滑剤の使用と、十分な流動性とを、世界で初めて同時に実現した偏析防止プレミックス粉です。

5.「完全ワックス系KIPクリーンミックス」の特長は以下のとおりです。

  1. 高流動性
    流動性が良好で、ホッパーからの排出性に優れるため、安定した成形が可能です。
  2. 焼結炉メンテナンス負荷の低減、焼結体外観の向上
    焼結炉壁への付着物がなく、焼結炉のメンテナンス負荷が低減されます。
    また、従来、亜鉛が触媒となって発生していた煤(すす)も減り、焼結体の外観がきれいに仕上ります。
  3. 従来品との互換性
    圧縮性、成形性、(金型からの)抜出力等の圧粉体特性、および焼結体の引張強さ、衝撃値は、従来品と同等です。
    また、焼結体の寸法変化率も従来品と同等なため、金型を新作する必要はありません。

6.既に需要家数社にサンプル出荷をしており、現在、量産テストを行っていただいております。

以 上

本件に関するお問い合わせ先

川崎製鉄株式会社 総務部広報室 03−3597−3166