1998年11月30日
川崎製鉄株式会社

大断面極厚圧延H形鋼「700×500シリーズ」の開発および初受注について

  1.  川崎製鉄は、高層建築の新しい柱材として注目されている「極厚H形鋼」について、従来から生産販売している 400×400、500×500シリーズに加え、新たに 700×500シリーズについて世界で初めて圧延により製造する技術を開発するとともに、このほど、2002年サッカーのワールドカップ(W杯)会場となる「札幌ドーム(仮称)」のエッジリング部材として初受注し、工程生産を開始いたしました。
  2. エッジリング:
    屋根(ドーム)の重みを支える柱を補強する役割を担うもので、屋根と柱の接合部分の外周に張り巡らされた鋼材。

     「極厚H形鋼」は、高層建築物の柱材として広く使用されている「ボックス柱(厚板を4枚溶接して製造する箱型の柱材)」に匹敵する大断面を有しているうえ、溶接箇所が少ないことから安全性、製造コスト面でメリットが大きく、ボックス柱に代わる新しい柱材として注目されています。この極厚H形鋼は、溶接(3枚の厚板をH型に溶接)でなく圧延(圧延機でH型に圧延)で製造することにより、安全性、コストともさらに向上します。
     当社では、既に 400×400、500×500シリーズを圧延により製造しており、現在までに数万トン規模の販売実績があります。しかしこれ以上の大断面サイズについては溶接でしか製造できませんでした。

  3. 700×500シリーズは、500×500シリーズと比較して、同じ断面積の場合、強軸方向(断面の中で曲がりにくい方向)の断面係数(曲げ耐力をあらわす量)が約20%、断面二次モーメント(曲がりにくさをあらわす量)が約40%増加しますので、効率的な設計が可能となります。また400×400、500×500シリーズに加えて700×500シリーズが追加されることで設計断面の選択範囲が大幅に広がります。

  4. 圧延による「700×500シリーズ」の開発は、大断面サイズの圧延が可能な高剛性、高耐荷重の「新・粗ユニバーサル圧延機」を、96年6月水島製鉄所(所長:中西輝行常務)の大形形鋼工場に導入したことにより実現したもので、その後、圧延条件などの製造技術を開発して製品化に成功し、今回の受注となりました。
     厚さは、フランジ厚30〜80mm、ウェブ厚25〜70mm、また製造規格としては、JIS規格のSN490(建築構造用圧延鋼材)、SM490・SM520(溶接構造用圧延鋼材)に加え、TMCP極厚H形鋼(当社規格名:「リバータフ325(490N/mm2級)」、「リバータフ355(520N/mm2級)」)の製造も可能です。
    *「リバータフ325」、「リバータフ355」は、川崎製鉄が、圧延温度の精密な制御と、微細析出物による結晶粒微細化効果とを組み合わせて開発した「新TMCP法」により製造する極厚H形鋼で、TMCP(熱加工制御プロセス)で製造された厚板から作られたボックス柱と同等の高い強度・靭性・溶接性があります。
  5. 当社では、400×400、500×500シリーズと、今回開発した 700×500シリーズの3種類の極厚圧延H形鋼の生産体制が確立したことにより、今後とも大型物件の採用に向け、ゼネコン、設計事務所、およびファブリケーター各社へのPRを一層積極的にすすめ、適用拡大を図ってまいります。

 以 上