1998年11月16日
川崎製鉄株式会社

「Z80/KC80」上位互換 16ビット高速マイコン「KL5C16030」の開発について

  1. 川崎製鉄は、従来より販売している高速版8ビットCPUコア(*1)「KC80」の上位シリーズとして、新16ビットCPUコア「KC160」を開発するとともに、これを搭載した高速マイコン(*2)シリーズ第1弾として、(Z80/KC80上位互換)16ビット高速マイコン「KL5C16030」を開発いたしました。98年12月よりサンプル出荷を開始いたします。
  2. (*1)CPUコア:
    プログラムの命令を解読・実行する中央演算処理装置(CPU)の機能の核となる超小型演算処理装置(マイクロプロセッサ)。
    (*2)マイコン(=マイクロコントローラ):
    コンピュータとしての機能を一つの半導体チップに組み込んだ超小型コンピュータ。

  3. 新16ビットCPUコア「KC160」は、ソフトの上位互換性を保ちながら、特に16ビット系演算命令を拡張し、大幅な性能向上を実現したものであり、これを搭載した高速マイコンの特徴としては以下の点が挙げられます。

    1. 米国・ザイログ社が76年に発表したロングセラーCPUコア「Z80 CPU」(8ビット・マイクロプロセッサとしては最も代表的)、およびそれとバイナリーレベルで完全ソフト互換が可能(*3)な「KC80」の豊富なソフト資産がそのまま流用可能。
    2. 特にカスタムマイコン(特定用途向けマイコン)への搭載で市場実績のある「KC80」の既存命令セットとの互換性を保ちながら改良するとともに、高速演算命令を追加し、16ビット系演算処理の大幅な高速化を実現。さらに、Cコンパイラ(*4)使用時に有効な命令群を追加することにより、より効率的なプログラム作成が可能となり、プログラムの大規模化に対応。
    3. 独自の高速ハードウェアアーキテクチャーを採用することで、最小命令実行時間50ナノ秒(ナノ=10億分の1)を達成。従来の「Z80」系製品の10倍、当社「KC80」の4倍以上の高速処理で、16ビットマイコンとしては最高速クラスの性能を低消費電力で実現。
    (*3)バイナリーレベルで完全ソフト互換可能:
    バイナリーとは、CPUの命令セットを実行する2進数で表わされる機械語。通常、機械語はチップメーカーにより異なるため、あるメーカーのチップを別のメーカーのチップに置き換えて使用しようとしても、そのままではソフトが実行できない場合が多く、機械語の変換が必要となる。バイナリーレベルで互換性をもっていれば、同じ機械語なので、ユーザーはそれまで使用していたソフトをそのまま実行できる。
    (*4)Cコンパイラ:
    C言語で書かれたプログラムを、そのCPU向けの機械語に変換するソフト。プログラムは通常C言語で書かれることが多い。

  4. 当社は、93年の「KC80」発表以降、汎用品としてスタンダードタイプの「KL5C80A12」、通信向けに機能強化した「KL5C80A16」および「KL5C80A20」、「Z80」の完全互換高速タイプの「KL5C8400」と、KC80シリーズのマイコンを順次発表しており、「KC80」を搭載したカスタムマイコンとともに、特にパソコン周辺機器、通信用途向け組み込み制御、ゲーム機器を始めとする各分野での市場実績を得てきております。

  5. 今回の新製品「KL5C16030」は、「KC160」を搭載した高速マイコンの汎用品第一弾となるもので、特徴は以下のとおりです。

    1. 「KC80」の上位シリーズとしての「KC160」搭載カスタムマイコンを市場へ浸透させること、および今後の特定分野向け汎用品のスタンダード品となることを狙いに、汎用性の高い回路仕様にしております。
    2. 従来の実績分野に加え、新たにメカトロニクス分野への展開も図れる機能を搭載しております。
    3. 16Mバイトのアドレス空間を制御するためのアドレス信号線を備えており、大規模なプログラムにも対応可能です。
    4. CPUコア以外に多数の周辺機能、特にシリアルインタフェース(*5)とタイマーカウンタを多機能・多チャンネル搭載することで、通信・メカトロ制御機能を強化しています。
    5. 適用分野としては、通信OA機器、各種情報通信端末、モータ制御、ネットワークの組み込み制御、各種ゲーム機器などに最適です。
    6. 低コストのメモリに高速でアクセスして命令を実行するモードを装備し、システムのコスト競争力を高めます。
    7. 「KC160」CPUコアを始めとする製品内部の各ブロックはマクロ化(*6)されており、同製品をベースにして、容易にカスタムマイコンを開発できる環境を整えています。
    (*5)シリアルインタフェース:
    コンピュータと周辺機器とのデータ転送の際、1ビットずつ転送する方式。
    (*6)マクロ化:
    汎用性の高い機能仕様で、かつある程度の大きさを持つ回路規模の「ロジックブロック」をCAD上の設計環境に登録することにより、設計者がブロック内部を意識せずにチップ設計を行えるようにすること。

  6. 当社では、従来の「KC80」シリーズの製品展開と並行して、「KC160」シリーズについても、通信分野を始めとした各種応用分野をターゲットとしたマイコンシリーズのラインナップを充実させていく方針です。

《KL5C16030の概要》

(1)特徴

(2)サンプル価格 @2500円(予定)

(3)量産出荷 99年3月より

(4)販売計画 99年度 2億円、 2000年度 10億円

(5)その他

本製品をベースとして、ユーザーロジックを追加搭載し、タイマなどの標準的なCPU周辺機能や高速メモリの構成を最適化したマイコンにカスタマイズが可能

以 上

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