1998年11月18日
川崎製鉄株式会社

最高強度の非調質極厚H形鋼の開発、販売開始について

1.川崎製鉄(株)(社長:江本寛治)は、圧延H形鋼としては最高の強度となる590N/o2級の非調質極厚H形鋼(商品名:リバータフ[RIVER TOUGH]440)を開発し、このほど販売を開始いたしました。

2.近年、建築構造物の大型化に伴い、材料、施工両面での低コスト化がますます要求されており、それを実現する新材料の開発が望まれております。極厚H形鋼は、高層建築構造物の柱材として現在広く利用されている厚鋼板製溶接4面ボックス柱に匹敵する大断面を有しており、熱加工制御プロセス(TMCP)で作られたボックス柱と同等の強度、靭性および溶接性が得られれば、コストと安全性でメリットが大きく、その開発を建設業界から強く期待されておりました。

こうしたニーズに応えるべく当社では、他社に先駆けて1995年に、新TMCP法(圧延の精密な温度制御と微細析出物による結晶粒の微細化効果の組合せ)により、490N/o2級および520N/o2級の極厚H形鋼を開発し(商品名:リバータフ[RIVER TOUGH]325および355)、現在までに数千トンの販売を行ってまいりました。今回、建設業界からのさらなる高強度化のニーズに対応して、水島製鉄所(所長:中西輝行常務取締役)において、590N/o2級の極厚H形鋼(リバータフ440)の開発に成功いたしました。

3.従来、高張力鋼の製造は高強度化元素として炭素量を増やして化学組成をコントロールし、かつ調質処理を施しておりました。「リバータフ440」は、逆に鋼中の炭素量を従来の1/10程度に減少させることで、圧延のままで均一なベイナイト組織がえられるように化学組成を最適化し高強度を達成した画期的な鋼材です。これにより、非調質で製造できかつ溶接性を向上させることが可能となりました。

「リバータフ440」の鋼材性能は、建設省総合技術開発プロジェクトの成果に基づき実用化された建築構造用高性能590N/o2鋼材(SA440)の規格を満足しております。

※ベイナイト:オーステナイトの冷却変態生成物の1つで、高強度で粘り強い組織
※非調質:「焼入れ、焼戻し処理」(=調質処理)を省略したもの
※焼入れ:鋼の強度靱性を増すために行う熱処理
※焼戻し:焼入れした鋼の靱性を増すために行う熱処理
※SA440では、引張強さが590〜740N/o2、降伏強さが440〜540N/o2、降伏比80%以下(引張強さに対する降伏強さの割合)、摂氏0度におけるシャルピー吸収エネルギーが47J以上などの特性を得るために、2回の焼入れと焼戻しの調質処理を行うことが規定されています。

4.「リバータフ440」の特徴は以下のとおりです。

  1. H500×500シリーズでは、最大フランジ厚80oまで、圧延のままで590N/o2級の高強度と高靱性が得られます。
  2. フランジ、ウェブの板厚方向の硬さはほぼ均一です。
    (フランジやウェブの各部の硬さの差が非常に小さくなっています)
  3. 高強度にもかかわらず、広範囲の溶接入熱条件で健全な溶接が行えます。

5.「リバータフ440」は、晴海1丁目第一種市街地再開発事業(西地区)[東京都中央区]の柱材として受注が決定しており、工程生産を開始しています。

当社では、490N/o2級、520N/o2級に加え、今回開発した590N/o2級の3グレードの高性能極厚H形鋼の生産体制が確立したことで、今後さらにゼネコン各社、設計事務所への営業活動を積極的に進め、適用拡大を図る所存です。

 以上

 

[本件お問い合わせ先]
川崎製鉄 総務部 広報室 03-3597-3166
「リバータフについての営業上のお問い合わせ先」
川崎製鉄 建材営業部 建築建材グループ 03-3597-3985