1999年3月29日

川崎製鉄株式会社

世界トップクラスの成形性を有する
自動車用低合金高張力熱延鋼板の開発について


川崎製鉄(株)は、このたび千葉製鉄所・第3熱間圧延設備を駆使し、世界トップクラスの成形性を有する自動車用低合金高張力熱延鋼板「Super HSLA」(※1)(仮称)を開発いたしました。

当社は従来より、独自の熱間圧延、冷却技術に基づく、成形性に優れた自動車用低合金高張力熱延鋼板を製造しております。これらは、自動車の足回り、フレーム類およびホイールなどの極めて優れた成形性が要求される用途に広く適用されております。

今回開発した鋼板は、従来品の「HSLA」の引張強さの同じものと比較して、以下の優れた特性を有します。

本鋼板の優れた成形性は平均結晶粒径2μm以下(従来品の「HSLA」では5μm程度でかつ結晶粒径の大きさのばらつきが大きい)の極めて微細かつ均一な組織を有する母相フェライト組織(※3)中に第2相(※4)が微細に分散した組織を形成することにより可能となったものです。

 熱延鋼板では圧延加工終了後における鋼組織が製品の機械的性質を左右します。そのため、この組織形成を制御する技術が高成形性鋼板を製造するために極めて重要となっています。当社は、成形性を向上させる手段として種々の研究開発を行なってまいりました。その結果、微量なチタンの添加と、千葉製鉄所第3熱間圧延設備において、圧延加工を高い精度で制御することにより、組織の微細化、均一化および第2相性状の制御を達成しました。

組織の微細化は、引っ張り強度および靭性(※5)の向上には有効であるものの、薄鋼板で重要な延性(特に均一伸び)を低下させる傾向にあることが従来から知られております。しかし当社では、千葉製鉄所第3熱間圧延設備の持つ高精度の圧延技術により、引っ張り強度を向上させつつ延性を保つという問題をも解決しております。

本鋼板は、難成形部品(自動車のフレームなど)の高張力化による薄肉・軽量化を可能とし、部品軽量化を通じて地球温暖化対策、省エネルギー等地球環境問題に貢献できます。さらに、従来品の「HSLA」に比較して合金元素が低減され、リサイクル使用が容易なため、環境対応性にも優れた鋼板です。

なお、本開発鋼の特性の詳細は、3月29日〜31日に開催される鉄鋼協会の春季講演大会にて発表する予定です。

以 上

用語の解説
※1HSLA鋼板(低合金高張力鋼板)
High Strength Low Alloyed steelの略称で、ニッケル、クロム、モリブデンなどを多量に添加しない高張力鋼板の総称。
※2穴拡げ加工性
鋼板の加工性の指標の一つ。鋼板に穴をあけ、その穴径を大きく拡げるような成形をする場合の加工限界を示す。
※3母相フェライト組織
鋼組織の大部分を占める相(母相)がフェライトである組織。相とは金属組織を構成する単位のこと。
※4第2相
母相フェライト以外に存在する第2の相。パーライト、ベイナイト、マルテンサイトなどがある。多くの場合、母相のフェライトより硬質であり、第2相の占める割合が増加すると鋼の強度が増加する。
※5靭性
鋼板の脆性破壊に対する抵抗を示す。低温での靭性はシャルピー試験などで評価される。

本件に関するお問い合わせ先

川崎製鉄株式会社 総務部広報室
03−3597−3166