Press Release

2003年 3月10日
 NKK[日本鋼管(株)]

多層カーボンナノチューブで単層を凌ぐ世界トップクラスの電子放出特性を確認


 当社はこのたび、独自製造技術にて開発した超高純度の多層カーボンナノチューブが、現在もっとも電子放出特性が高いとされる単層カーボンナノチューブを凌ぐ、世界トップクラスの電子放出特性を発揮することを確認いたしました。

 カーボンナノチューブ(以下CNT)は、真空中で電圧をかけると先端から電子が飛び出る特性があり、次世代表示装置として期待されている電界放出型ディスプレイ(以下FED)や蛍光表示管などの電子源材料として注目されています。実用上は、より低い電圧で、広い面積にわたって均一な電子放出が行なえる特性が要求されます。従来は、低い電圧で電子放出する単層もしくは2層のCNTが良いとされていましたが、これらは量産化が難しく、高価であることが実用化のネックとなっていました。
 当社は先般、多層CNTの集合体(図1)をアーク放電法により、数mm幅のテープ状で合成する方法の開発に成功いたしました。その後、三重大学 齋藤弥八教授と共同で、この高純度CNTテープの特性評価を実施してまいりました。その結果、現在もっとも電子放出特性が良いとされている単層CNTより、低い電圧で良好な電子放出特性が得られることを確認いたしました。
 具体的には、本高純度CNTテープを電極に貼付け、FEDで要求される所定の電流密度(注1)を得るのに必要な平均電界強度(注2)を測定したところ、同様な方法にて測定した単層CNTに比べ、約1/2の低い電圧で電界放出が発生し、また、電極全体から均一に電子が放出されていることが確認できました(図2)。
 これらの特性が得られた理由としては、本高純度CNTテープを構成するCNTの純度と品質が良い事が考えられます。これは、もともと高純度に合成されているので純度を上げるための精製工程が不要で、さらにテープ状であることから加工性及び接合性が良く、電極表面に合成されたままの配向性の良い状態で直接貼り付けられることができるためと考えています。

 高純度CNTテープが持つこれらの優れた特性は、電子源に利用した場合に、性能の向上と製造コストの削減をもたらし、蛍光表示管はもとよりFEDの実用化に大きく前進するものと期待できます。
 また、もともと多層CNTが有する低コスト、優れた耐久性、さらに電流密度が単層・2層CNTのものに比べ大きく取れるといった特性を活かし、従来はCNTでは難しかったX線発生装置など大電流容量の電子源への適用の可能性も出てきました。
 当社は今後、他社との連携も通して、多様な分野への高純度CNTテ−プの適用を目指して行きます。

  (注1) 単位面積当りの電流値。FEDでは通常10mA/cm2の電流密度が必要とされている。
  (注2) 電極間にかかる電圧をその電極間距離で割った数値。

以 上


参考資料



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