労働安全衛生
取り組み
JFEグループでは、安全に関する事業会社の取り組みについて、定期的に取締役会において報告を行い、指示・監督を受けています。また、事業会社では安全衛生委員会等を通じて、安全と健康に関して労働組合との意見交換を行っています。
第8次中期経営計画においてはグループ会社・協力会社(請負会社含む)すべての人々が安全に働ける職場環境の確立に向けて、安全に強い人・組織づくりの徹底に加え、事業会社合計で第7次中期経営計画と同規模(100億円規模/年)の安全投資を継続し、設備の改造などによる稼働部位と人との完全隔離を進めるとともに、DXを活用した多角的な安全衛生管理(監視・検知等)をさらに推進していきます。
また、JFEグループでは、新任管理者や監督者に対する安全衛生研修において、労働安全衛生法やリスクアセスメント法、作業計画の作成、安全衛生管理方針の作成について教育を実施しています。建設部門については、建設工事の現地所長(統括安全衛生責任者)に対する研修において、労働安全衛生法を中心に関連する下請法、建設業法等の教育を実施しています(2024年:369名 参加)。加えて、新入社員および階層別教育にてメンタルヘルス教育を実施しています(2024年:1,367名 参加)
各社の休業災害関連データは以下をご参照ください。
ST 安全健康活動方針に基づく労働安全衛生への取り組み
2025年の安全健康活動方針について、安全面は「自主自立の安全活動で、ルールを遵守し災害が起こらない現場を作り込む」、健康面は「心身ともに長く健康で働ける人を増やす健康宣言を軸とした活動」とし、「全社重大災害ゼロの達成、各職場災害ゼロの達成」を目標に掲げ、以下の活動を展開しています。
安全面については、安全に強い人・職場を目指し、ルール遵守活動、類災防止活動、第一線作業者と本音の対話を実践してリスクを抽出し改善する活動などに取り組んでいます。また、災害が起こらない現場を目指し、職場課題改善への積極的な予算措置(安全投資)、機械安全規格の導入、DX技術の活用などにより、設備・作業の本質安全化を追求し、作業者に対するリスクレベルの低減に取り組んでいます。
健康面については、JFEグループ健康宣言を受けて作成したスチール健康経営戦略ツリーに基づき、健康活動を推進しています。
また、労働安全衛生管理を組織全体でさらに自立的かつ体系的に推進するため、国際規格ISO45001に準拠した労働安全衛生マネジメントシステムを構築し、全事業所で国際規格ISO45001(JIS Q 45001)の認証を取得しました。今後とも、労働安全衛生マネジメントシステムを継続的かつ効果的に運用していくことで、より安全で健康的な職場づくりに努めていきます。
全社安全衛生管理体制

【認証取得事業所】
- 知多製造所(認証取得2021年9月9日⇒更新2024年9月9日)
- 福山地区(認証取得2021年12月16日⇒更新2024年12月16日)
- 倉敷地区(認証取得2022年5月26日⇒更新2025年5月26日)
- 千葉地区(認証取得2022年5月26日⇒更新2025年5月26日)
- 仙台製造所(認証取得2022年12月15日⇒2025年更新予定)
- 京浜地区(認証取得2023年1月19日⇒2026年更新予定)
労働災害が発生した場合は、発災部署において原因を追究し再発防止対策を立案、実行しています。同時に関係部署や労働組合にも安全衛生委員会等で報告を行っています。また、必要に応じて災害調査委員会を立ち上げ、発災部署および関係部署が適切な再発防止対策を立案できるよう提言を行っています。重大災害に対しては、その対策を全社展開し、執行役員会議で対策が完遂するまで進捗状況を定期的に報告しています。その他の災害やヒヤリハットに対しても、全社水平展開の必要性を安全健康部門で協議・決定し、全社水平展開が完了するまで進捗をフォローしており、これらの仕組みを全社規程化して運用しています。
労働災害が発生した際には、上記に加え日本鉄鋼連盟に対し災害報告要領に則り、即時、報告を行っています。そして、原因究明後、対策が決まり次第、続報を提出しています。重大災害が発生した場合は、「安全・防災・環境事案に係る報告書」を経済産業省、日本鉄鋼連盟へ直ちに提出しています。
EN 従業員の健康確保と労働衛生水準の向上
全社安全衛生管理体制

JFEエンジニアリングでは、拠点事業所単位に適用業種、従業員数に応じた労働安全衛生法に対応する安全衛生管理組織に加え、建設・操業現場や製作所の全社管理を円滑かつ機能的に運営するため事業本部単位に安全衛生管理体制を設けています。災害を防止するため、従業員および協力会社の全員が必ず遵守すべき「全社共通の重点実施項目」を定め、各事業本部の業務特性を踏まえた「リスクアセスメントによる危険源の特定と安全対策」を推進し、協力会社やグループ会社を含め災害の撲滅に注力しています。また、「心と体の健康づくり」「快適な職場環境づくり」などの活動を推進し、従業員の健康確保と労働衛生水準の向上に努めています。
発生した労働災害は、本部安全衛生管理者が参画する会議にて原因、対策の検討、全社水平展開を実施しています。国内外の建設工事や津製作所の製造業務について労働安全衛生マネジメントシステム(ISO45001認証取得)を運用するとともに、新たな取り組みとしてIT(監視、検知等)を活用した多角的な安全衛生管理を推進しています。
SH 安全衛生活動の向上と安全・安心な職場環境づくり
JFE商事では、コイルセンターなどの加工拠点における重大災害ゼロを目指し、「重大災害につながる不安全作業の撲滅」を目標に、以下の活動を実施しています。
- 管理監督者による現場パトロールや安全カメラの録画機能を活用した不安全作業の洗い出し、あるいは各作業者のKY(危険予知)の確実な実行等によるリスクアセスメント
- 不安全作業に気づき、回避する力の向上のための類似災害検討や危険体感訓練
- リスクを低減する安全センサー設置等、設備改善の実施
- 作業訓練(クレーン玉掛訓練等)や作業標準の見直しによるルール遵守の意識付け等の実施
また、これら安全活動の推進役としてグループ会社各社に安全担当者を配置し、各社の安全衛生活動のレベルアップを図っています。JFE商事グループ全体で同じ価値観を共有すべく、安全担当者とは隔月で安全衛生に関する知識・情報を共有する安全担当者会議を設けています。
また、年に一度、安全表彰を実施し、安全衛生活動への積極的な取り組みを促しています。これらによりJFE商事グループ全体の安全管理レベルをさらに底上げし、安全・安心な職場環境づくりを継続して進めていきます。
DXを生かした本質安全化
ST 人が間違っても保護されるラインの作り込み
2025年の安全健康活動方針にある「災害が起こらない現場を作り込む」一環として、人が間違って危険エリアに入っても安全が確保されるようDX技術の活用を推進しています。その例として、ライン内外を区画する保護構造物の設置が困難で、人が危険エリアに誤進入してしまうリスクのある場所等に人認識システムを導入しています。人認識システムは危険エリアに進入した人を検知し、稼働中の設備を非常停止させたり、停止中の設備を起動させないことで、災害を未然に防ぐことができます。もう一つの例として、安全モニタリングシステムを導入し、スマートフォンと携帯ガスモニターを連携させて、酸素、一酸化炭素、可燃性ガスおよび硫化水素の濃度を検知し、作業者の置かれた環境が安全かつ作業環境として適しているかどうかを判定しています。加えて、スマートフォンのGPS機能を活用して、作業現場で稼働している重機等の位置検出により、作業者が安全な状況にあるかの判定も行っています。これらの情報は直ちに作業者へ通知されるとともに、位置情報も記録することができるので、設備改善にも役立てています。
今後もこれらDX技術の導入を推進していきます。
EN DXによる建設現場の本質安全化
JFEエンジニアリングでは、デジタル技術を駆使して建設現場の安全性を根本から高める革新的な取り組みを進めています。
まず、工事計画段階で3Dシミュレーション技術を活用し、クレーンや構造物の動きを事前に可視化することで、高圧電線や周辺構造物との干渉リスクを工事開始前に特定し、未然に防止しています。さらに、この技術により重機配置や資材置き場、作業者の動線を最適化し、関係者全員が工事の全体像を共有できるようになりました。これにより無駄な作業やミスが大幅に減少しています。
また、検査ロボットやドローンによる3D計測技術の導入により、高所作業が必要だった高架橋の点検やサイロの寸法計測を地上など安全な場所から行えるようになりました。
このようなデジタル技術の戦略的活用は、作業の安全性向上だけでなく、効率化やコスト削減にも直結し、持続的な企業価値の向上に貢献しています。
健康経営
事業会社ごとの全社目標
健康保険組合や産業保健スタッフと連携して従業員の健康保持・増進に努めています。第8次中期経営計画においては、心身ともに健康でパフォーマンス高く働いている従業員を増やすこと(プレゼンティーイズムの低減)を上位目標に設定し、早期発見・治療継続の支援や禁煙支援、睡眠対策など、改善につながる各種取り組みを体系的に展開していきます。
プレゼンティーイズム実績
分類 | 2024年度実績 | 2025年度の目標 | |
---|---|---|---|
JFEスチール | 心身ともに健康でパフォーマンスが80%以上で働いている社員の割合 (プレゼンティーイズムが20%以下の社員の割合)
|
66.3% | 67% |
JFEエンジニアリング | 64.1% | ||
JFE商事 | 74.6% |
その他事業会社ごとの目標
分類 | 項目 | 2024年度実績 | 2025年度の目標 | |
---|---|---|---|---|
JFEスチール | 早期発見・治療継続の支援 | 定期健康診断受診率 | 99.9% | 100% |
被扶養配偶者検診受診率 | 57.7%※1 | 被扶養配偶者検診 受診率60% |
||
適性体重維持のための支援 | 特定保健指導実施率 | -※2 | 特定保健指導実施率 60%以上 |
|
肥満者(BMI25以上)比率 | 31.1% | 肥満者(BMI25以上) 比率30%以下 |
||
禁煙支援の推進 | 喫煙率 | 25.0% | 年1.5%減 | |
ストレスチェックの活用 | ストレスチェック実施率 | 98.0% | 98.0%以上 | |
JFEエンジニアリング | 睡眠対策 | 睡眠リスク(健康診断「問診票」の回答結果で判定) | 42.9% | 35%以下 |
受動喫煙対策 | 喫煙率 | 21.4% | 20.9%以下 | |
肥満対策 | 肥満者(BMI25以上または腹囲男性≧85、女性≧90) | 42.4% | 38.3%以下 | |
JFE商事 | 早期発見 治療継続支援 |
定期健康診断受診率 | 100% | 100% |
再検査受診率 | 56% | 60% | ||
睡眠対策 | 睡眠リスク (健康診断問診表の回答結果で判定) |
42.10% | 35.0% |
- ※1速報値
- ※2特定保健指導実施率の実績は確定次第追記
- ※ JFEスチールでは、定期健康診断受診率、肥満者比率、喫煙率は暦年で管理
からだの健康に関する取り組み
喫煙率の推移(事業会社合計)

- 定期健康診断の着実な実施とがん検診の強化
- メタボ検診、特定保健指導による生活習慣病の重症化予防
- 健康保険組合の健康づくり支援ツール「Pep Up」を活用した運動習慣等の啓発
- 建屋内の禁煙・分煙の推進、産業医・保健師による禁煙指導
メンタルヘルスケア(こころの健康)
JFEグループでは、従業員のからだの健康づくりに加えメンタルヘルスケアにも積極的に取り組んでいます。具体的には、従業員自らがストレスに気づき予防対処する「セルフケア」、管理監督者が心の健康に関して職場環境等の改善や部下の相談対応を行う「ラインケア」、事業場内の産業保健スタッフが従業員や管理監督者を支援する「事業場内産業保健スタッフによるケア」、会社以外の専門機関や専門家を活用する「事業場外資源によるケア」の4つのケアを推進しています。
また、健康保険組合では「メンタルヘルスカウンセリングサービス」や「24時間電話健康相談」など、従業員とその家族(配偶者など被扶養者)が気軽に利用できるサービスも提供しています。
健康問題への取り組み
海外赴任者、出張者、留学者を含む全従業員を対象とした健康管理を継続的、効果的に実行するための健康管理システムを運用しています。
特に、医療事情が国内と異なる海外へ渡航する者に対しては、全社規程に基づき、その帯同家族も含めて健康な生活を維持できるよう渡航前の健康診断、予防接種等を実施するとともに、赴任説明会などを通じ、世界的な健康問題である新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、HIV・結核・マラリアをはじめとする感染症予防対応を積極的に実施しています。今後も、世界の健康に関する課題を適切に把握し、対応していきます。
ST 健康保持・増進のための健康経営の推進
従業員のからだの健康、家族の健康保持・増進に向けて、2016年に「JFEグループ健康宣言」が制定されました。JFEスチールでは、「健康経営企画推進ワーキンググループ」を立ち上げ、中長期的な全社到達目標を設定し、すべての従業員が健康でいきいきと働くことができること、また、従業員一人ひとりが自律的に健康保持・増進活動を実践する健康文化を構築することを目指し、活動を展開してきました。
2016年に、まずは「からだの健康」にスコープを当て、①健診の徹底・強化、②重症化予防の推進、③運動・健康づくり習慣の定着化、④禁煙・分煙活動の推進について、重点取り組み事項を定め、全事業所と活動を行ってきました。2024年からは「こころの健康」にもスコープを広げ、全事業所で健康経営を推進しています。
2025年は「心身ともに長く健康で働ける人を増やす」を上位目標に定め、上位目標達成のための具体的取り組み項目を整理した「健康経営戦略ツリー」を作成し、全事業所で健康経営を推進しています。
健康経営企画推進ワーキンググループの体制とメンバー

健康経営企画推進WGの目的

健康経営戦略ツリー

ST アクティブ体操®等の実施
JFEスチールでは、転倒による怪我や体力低下を防止する体操として、西日本製鉄所で考案された「アクティブ体操®」を全社で実施しています。労働災害予防や健康増進のためのツールとして社外からも注目を集めており、構内協力会社だけでなく、他業種の企業にも厚生労働省のSAFEコンソーシアムへの参加を通して、「アクティブ体操®」や「安全体力®機能テスト」など普及促進を行っています。
EN 健診データを活用した健康増進活動
JFEエンジニアリングでは、人事部健康経営推進室を中心とした体制のもと、各事業所・支店の産業保健スタッフが連携して活動を推進しています。現在は過去の健診データより抽出した「睡眠」「喫煙」「肥満」の3つの課題に「がん」と「メンタルヘルス」を加えた5つを重点領域として改善に向けた取り組みを行っています。基礎となる健診データは毎年度、健康経営推進室で集計を行い、一目で経年変化がわかる「データブック」として全社版と主要事業所版を作成し、取り組み成果を確認しながら、PDCAサイクルを回しています。
2024年度は新たに「JFE Wellness Action5」を制定し、従業員にもわかりやすく、実行しやすい健康行動指針5項目を掲げ活動しています。
健康経営推進体制

過去の健康診断結果をもとにした取り組み
開始年度 | 目的 | 取り組み |
---|---|---|
2018 | がん対策 | 定期健康診断に胃部内視鏡検査を導入 |
2019 | 睡眠対策 | 仮眠や呼吸法を実践する「セルフケア研修」を全社展開 |
2020 | 肥満対策 | 労使共催RIZAPセミナー、おうちで職場体操を実施 |
2021 | 受動喫煙対策 | 屋内完全禁煙化を実施 |
睡眠対策 | 睡眠リズムを中心とした「セルフケア研修II」を全社展開 | |
2022 | 個別指導強化 | 保健指導の強化(睡眠、肥満、喫煙など個別指導) |
2023 | がん対策 | 大腸内視鏡補助制度導入、チャリティウォーク開催 |
2024 | 睡眠対策 | SAS健診、チャリティウォーク、JFEWellness Action5制定 |
SH 従業員とその家族の疾病の早期発見と健康保持・増進
JFE商事では、従業員およびその家族の健康が当社のさらなる発展につながるという考えのもと、健康保持・増進に努めるとともに、従業員がいきいきと働くことができる職場環境づくりに取り組んでいます。
健康経営推進体制

過去の取り組み
開始年度 | 目的 | 取り組み |
---|---|---|
2018 | がん対策 | 定期健康診断におけるピロリ菌(血液)検査実施 |
乳がん・子宮がん検診費用補助を開始 | ||
従業員の健康意識の醸成 | 定期健診の重要性、心疾患・脳疾患についてのeラーニングを実施 | |
2019 | 肺ガン・脳卒中予防 | 禁煙外来費用補助を開始 |
受動喫煙対策(喫煙率の低下) | ||
2020 | 従業員の運動習慣定着への支援 | 健康力アップ活動への参加勧奨 |
2022 | 個別指導強化 | 特定保健指導対象者へ個別に受診勧奨を実施 |
2023 | 胃がんの早期発見 | 定期健康診断時に会社負担による胃部内視鏡検査を実施 |
2024 | 特定保健指導実施強化 | 健保・医療機関との連携を強化し、実施勧奨を徹底 |
健康意識向上 | 女性の健康セミナーの実施 |