人権

基本的な考え方

JFEグループは、人権尊重が企業の社会的責任であるとともに経営基盤の一つであると考え、企業行動指針に企業活動において一切の差別を行わないことを明示し、活動してきました。グループ各社およびその役員ならびに従業員が遵守すべき規範として制定した「JFEグループ人権基本方針」を2023年4月に改定し、各事業会社においても本方針に沿って調達ガイドライン等を点検・改定しており、サプライチェーンをはじめとするすべてのステークホルダーに対しても人権の尊重・擁護への協力を求めています。


また、2021年度からは「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、人権デューディリジェンスを開始するとともに外部の専門家を招いた人権に関するセミナーを開催するなど継続的に活動に取り組んでいます。


今後も、人権が尊重・擁護される社会の実現に向けた取り組みを推進していきます。

JFEグループ人権基本方針

JFEグループは、グループ全体で人権尊重の取り組みを推進し、事業活動の過程で影響を及ぼすすべてのステークホルダーに対してその責任を果たしていくために、国連のビジネスと人権に関する指導原則に基づく当社グループの人権基本方針をここに定めます。

  1. 人権の尊重に関する基本的な考え方

    JFEグループは、「世界人権宣言」や「国際人権規約」等によって構成される国際人権章典や国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」を支持・尊重しています。


    また、人権尊重が企業の社会的責任であるとともに経営基盤の一つであると考えており、企業行動指針に、社会の人々、従業員を個として尊重し、企業活動において一切の差別を行わないことを明示し、実践するとともに、自らが人権侵害に加担しないよう、人権を尊重・擁護する取り組みを推進しています。


    本方針は、企業行動指針に基づいた当社グループの人権尊重の取り組みを約束するものです。

  2. 適用範囲

    本方針は、JFEグループのすべての役員および従業員に適用します。また、サプライチェーンをはじめとするすべてのステークホルダーの皆様に本方針を理解し、支持していただく事を期待します。

  3. 適用法令の遵守

    JFEグループは、日本国はもとより、事業活動を行う各国または地域の法令や規制を遵守します。国際的に認められた人権と各国または地域の法令や規制に矛盾がある場合には、可能な限り国際的に認められた人権を尊重する方法を追求します。

  4. 人権デューディリジェンス

    JFEグループは、人権に対する負の影響を特定し、防止または軽減を図るための人権デューディリジェンスの仕組みを構築し、これを継続的に実施します。

  5. 是正・救済

    JFEグループは、事業活動にともなう人権への負の影響に関する社内外からの通報窓口を設置しています。人権に対する負の影響を引き起こした、あるいは関与したことが明らかになった場合には、必要な手続きを通じてその是正・救済に取り組みます。

  6. 教育

    JFEグループは、すべての役員および従業員が本基本方針を理解し実践するよう、人権尊重に関する適切な教育を行います。

  7. 責任者

    JFEグループは、JFEホールディングス株式会社の社長を議長とするグループサステナビリティ会議において、本方針の遵守状況と取り組みについての実施状況の監督を行います。

  8. ステークホルダーとの対話や協議

    JFEグループは、本方針の一連の取り組みにおいて、外部の専門知識を活用するとともに、社内外のステークホルダーとの対話や協議を行います。

  9. 情報開示

    JFEグループは、人権尊重の取り組みやその進捗状況に関する情報について、ホームページ等を通じて適切に開示します。

  10. 事業に関連する人権課題
    1. 差別の禁止と法の下の平等

      JFEグループは、企業活動に関する一人ひとりを個として尊重し、人種、国籍、民族、信条、宗教、社会的身分、門地、年齢、性別、性的指向、性自認、障がいの有無等に関する一切の差別を行いません。

    2. ビジネスパートナーへの展開

      JFEグループは、当社グループが人権を尊重・擁護する取り組みについて、すべてのビジネスパートナーに対しても協力を求め、人権が尊重・擁護される社会の実現に貢献していきます。

    3. ハラスメント

      JFEグループは、性別・地位などを背景にした、相手の尊厳を傷つけ不快感を与える言動等、その他一切のハラスメント行為を行いません。

    4. 強制労働と児童労働

      JFEグループは、すべての国、地域において一切の強制労働、児童労働を行いません。また、債務労働や人身売買等のいかなる形態の現代奴隷も許容しません。

    5. 労働安全衛生と適切な労働環境

      JFEグループは「安全はすべてに優先する」という基本姿勢のもと、安全健康活動を進め、心身ともに安心して働くことができる安全で健康的な職場づくりに取り組みます。

    6. 労働時間と十分な生活水準を享受できる賃金

      JFEグループは、事業活動を行う国や地域において適用される労働時間と賃金に関するすべての法令を遵守します。また、十分な生活水準を享受できる賃金の実現に取り組みます。

    7. 結社の自由・団体交渉権

      JFEグループは各国の法令や労働協約に則り、結社の自由、団体交渉を行う権利を尊重します。また、各国の法令や労働慣行を踏まえつつ、国際規範に則り、常に従業員と誠実かつ積極的な対話を通じて、健全な労使関係の構築と問題解決に取り組みます。

    8. 地域住民・先住民族の権利

      JFEグループは、事業活動を行う地域における住民の土地の権利、水へのアクセス、安全、健康、先住民族の権利などを尊重し、配慮します。

以上



2018年4月制定
2023年4月改正

JFEホールディングス株式会社

本方針の改正は、人権に関する専門家の支援を受けて内容の策定を行い、JFEホールディングスの社長を議長とするグループサステナビリティ会議において承認されました。また、本方針の改正については、取締役会においても報告されています。

体制

人権尊重の推進体制

人権推進体制

人権尊重への取り組みを着実に進めるため、JFEホールディングス代表取締役社長(CEO)が議長を務めるJFEグループサステナビリティ会議において、グループ全体の方針を策定するとともに、定期的に取締役会においても報告を行い、指示・監督を受けています。加えて、JFEホールディングス代表取締役社長(CEO)が委員長を務めるJFEグループコンプライアンス委員会の傘下に、ホールディングス執行役員が議長を務める「JFEグループ人権啓発推進会議」を設置し、各事業会社に設置された人権啓発担当部門(人権啓発室等)と定期的に情報交換を行っています。


救済メカニズム

当社は、2025年4月から(一社)ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)に正会員として加盟しており、JaCERが提供する国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に準拠した非司法的な「対話救済プラットフォーム」にて、サプライチェーン上のさまざまなステークホルダーからの人権問題に関する通報・苦情・相談を受け付けています。第三者窓口を活用することで公平性・透明性を確保するとともに、人権における本質的な課題解決に取り組んでいます。通報受付においては、通報者の匿名性や通報内容の秘匿性を確保します。なお、2025年4月から7月までの間、JaCERへの通報が1件ありましたが、人権事案には該当しない内容であったため、JaCERから通報者に対しその旨フィードバックされ、対応完了しています。


また、あらゆる人権リスクへの対応を図るため、ステークホルダーとのコミュニケーションを重視し、その連絡手段として、各事業会社の社内窓口および独立した弁護士事務所にも社外窓口としての「企業倫理ホットライン」を開設するとともに、「ハラスメント相談窓口」を主要事業所ごとに開設し、人権問題を含む通報や相談を受け付けています(匿名での報告・相談も可)。なお、2024年度の「企業倫理ホットライン」および「ハラスメント相談窓口」の利用件数は、合計で314件です(JFEホールディングス・事業会社・Gr会社窓口)。


これらの窓口の運用状況や寄せられたハラスメント等の人権侵害事案については、通報・相談内容に係る調査の進捗状況、調査結果、是正状況、再発防止策等をグループサステナビリティ会議に報告するとともに、定期的に取締役会においても報告を行い、指示・監督を受けています。


目標と実績

JFEグループは、一人ひとりの人権が尊重・擁護される社会の実現に貢献することが企業の社会的責任であるとともに経営基盤の一つであると考え、経営上の重要課題として、「サプライチェーンにおける人権尊重」を掲げ、KPIを設定することでその取り組みを推進しています。


人権デューディリジェンスの実施

JFEグループは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に則り、2021年度より人権デューディリジェンスに取り組んでいます。

当社グループのこれまでの取り組みと今後の予定
年度 実施概要
2021年度
  • 当社および各事業会社をはじめとするグループ会社を対象として、人権リスクの特定と是正に向けた取り組みの検討を実施
2022年度
グループ会社への人権デューディリジェンスの展開
  • グループ会社においても、人権リスクの特定、評価、およびリスクの低減・予防を確実に実施するため以下の取り組みを実施

    1. グループ会社に対し人権に関する説明会を実施
    2. 売上規模等の観点から人権リスクの影響が大きい、国内の主要なグループ会社に対し、人権リスクに関する調査を実施
サプライヤーの人権リスク管理体制構築
  • サプライチェーンの人権リスクに関する調査の実施に向け、調査の方法、範囲および優先順位について検討
  • 人権高リスク国に拠点を有するサプライヤーなど、調査優先度の高いサプライヤーを選定
2023年度
「JFEグループ人権基本方針(2018年度制定)」を改正
  • 改正された「JFEグループ人権基本方針」に沿って、各事業会社において調達ガイドラインの点検・改正等を実施
グループ会社への人権デューディリジェンスの展開
  • さらに調査を拡大し、国内の主要なグループ会社への調査を完了(累計約100社)
サプライヤーの人権リスク管理体制構築
  • 調査優先度の高いサプライヤー約400社に対し人権リスクに関するアンケート調査を実施
2024年度
グループ会社への人権デューディリジェンスの展開
  • STENSH調査優先度の高い海外グループ会社約50社に対して、人権リスクに関する調査および結果のフィードバックを順次実施
  • STENSH国内主要グループ会社について、今後の、グループ会社のサプライヤー調査の展開方法やスケジュールを検討
サプライヤーの人権リスク管理体制構築
  • STENSH2023年度に調査を実施したサプライヤーのうち、フォローが必要であると判断したサプライヤーに対して、改善に向けた支援を実施
  • SH鉄鋼原料・環境資源・資機材サプライヤー88社に、新たに人権リスクに関する調査を実施
2025年度
(予定)
グループ会社への人権デューディリジェンスの展開
  • STEN海外グループ会社6社に新たに人権リスクに関する調査を実施
  • SH2024年度に調査を行った海外グループ会社に対し結果のフィードバックを実施
サプライヤーの人権リスク管理体制構築
  • STEN2023年度に調査を実施したサプライヤーを主な対象として、調査優先度の高いサプライヤー約300社に対する2巡目の調査を実施
  • SH鉄鋼サプライヤー約20社に対し、新たに人権リスクに関する調査を実施

人権デューディリジェンスのプロセス

人権デューディリジェンスのプロセス
  1. 人権リスクの抽出

    各国際規範やガイドラインを参照し、人権リスクのロングリストを作成した上で、業界特有の人権リスクや地域性等を考慮し、当社グループならびにサプライチェーンに関連する人権リスクをステークホルダーである従業員、サプライヤー(女性、児童、地域住民等を含む)ごとに抽出しました。

    【参照した国際規範、ガイドライン】

    国連ビジネスと人権に関する指導原則、国際人権章典、ILO中核的労働基準、OECD多国籍企業行動指針、国連グローバルコンパクト10原則、GRIスタンダード、FLA行動規範、CHRB Key Industry Risk

    【抽出した考慮すべき15の人権課題】
    国際規範が求める人権尊重の基準や要綱の遵守 人権侵害への非加担、コンプライアンス・社会保障と公正な競争 差別の禁止と法の下の平等
    救済へのアクセス 取引先管理の徹底 ハラスメントと虐待
    女性の権利 児童労働 強制労働
    労働安全衛生 労働時間 適切な労働環境
    十分な生活水準を享受できる賃金 結社の自由・団体交渉権 先住民族・地域住民の権利
  2. 実態把握

    JFEグループ人権基本方針や各社の調達に関するガイドライン等における「児童労働」や「強制労働」といった各種人権リスクに対するポリシー開示状況や「救済へのアクセス」としての通報制度、腐敗防止を含めたコンプライアンス遵守の取り組み、その他社内外に対する人権に関する取り組みや制度・規則・規程等について調査を行い、人権リスクに対する現在の管理体制等を確認しました。

  3. リスク評価と影響特定

    抽出した考慮すべき人権課題について、影響深刻度や発生可能性を踏まえたリスク評価を行うとともに、実態をより正確に把握するための書面調査やヒアリングによる人権尊重への取り組み状況の調査を行いました。またリスク評価を行う過程で、人権リスクが当社グループおよびステークホルダーに及ぼす負の影響を特定しました。


    STENSH重点人権リスクのマップ
    【特にリスクが高く、対応が必要であると特定した人権リスク】
    • 労働安全衛生
    • ハラスメントと虐待
    • 取引先管理の徹底(サプライチェーン全体の人権リスク管理体制の構築)
  4. 特定した人権リスクの軽減措置の検討

    特定した人権リスクへの対応や予防是正措置、推進体制など、軽減のための対策を実施しています。労働安全衛生やハラスメントに対しては、従来からKPIを定めるなど災害やハラスメント撲滅への取り組みを推進しており、それらの活動を継続・強化しています。


    また、持続可能で強靭なサプライチェーンの構築に向けて、サプライチェーン全体の人権リスクの管理体制構築を進めており、人権リスクの影響深刻度やその発生可能性も踏まえて調査優先度を決定し、サプライヤーの人権リスクに関する調査についても推進しています。

  5. ステークホルダーへの開示

    JFEグループ人権基本方針や各事業会社の調達に関するガイドライン等をホームページ上で開示しており、人権デューディリジェンスをはじめとする人権尊重の取り組みやその進捗状況に関する情報について、ステークホルダーに開示しています。

2024年度の取り組み

グループ会社への人権デューディリジェンスの展開
① STENSH国内グループ会社について

国内主要グループ会社における、今後のグループ会社のサプライヤー調査の展開方法やスケジュールの検討を実施しました。


② STENSH海外グループ会社について

調査優先度の高い海外グループ会社約50社に対して、人権リスクに関する調査および結果のフィードバックを順次実施しました。


各事業会社の取り組みは以下の通りです。


ST

JFEスチールでは、出資比率、企業規模等を踏まえ、調査優先度の高い海外グループ会社3社(タイ、インドネシア、ブラジル)に対して、人権の管理体制の脆弱性に関する調査を実施しました。その結果、一部の人権課題(差別の禁止と法の下の平等、調達慣行など)について、管理体制および予防・是正体制などに不十分な点があることが確認されたため、調査結果のフィードバックを行うとともに改善に向けた取り組み事例の紹介を行いました。現在、各社において体制・規程の整備等の取り組みを進めています。


EN

JFEエンジニアリングでは、人権高リスク国に拠点を有するなど、調査優先度の高い海外グループ会社3社(フィリピン、インド、タイ)に人権リスクの発生状況と管理体制に関する調査を行いました。調査の結果、一部の人権課題(ハラスメントや労働時間管理など)に関しての予防・是正体制等に不十分な点があることが確認されたため、調査結果のフィードバックを行うとともに今後の改善に向けた取り組み事例の説明を行うなど、人権リスクの低減に向けた取り組みを行っています。


SH

JFE商事では、連結海外グループ会社45社に対して、人権リスクに関する調査を実施し、すべての主要な海外グループ会社に対する調査を完了しました。結果を取りまとめた上で、2025年度にかけて順次フィードバックを行っています。

サプライヤーの人権リスク管理体制構築

2024年度は、①2023年度調査サプライヤーに対するフォロー、②鉄鋼原料・環境資源・資機材サプライヤー88社に対する新規調査を実施しました。


① STENSH2023年度調査サプライヤーに対するフォロー
  • 2023年度の調査における取引先の選定方法・調査方法等の詳細は以下の通りです。

グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「CSR調達セルフ・アセスメント・ツール」を用いて、それぞれの事業特性も踏まえた上で、調査優先度の高いサプライヤーに対する調査・評価を実施しています。


  • ※ サプライチェーン分科会が発行・公表するアセスメント・ツール。人権、労働、公正な企業活動など計114問で構成

取引先選定方法

ST
2023年度
  • 【原料】人権高リスク国※1に本社/産地がある1次取引先、およびJFE商事/JFEミネラルを介した2次取引先を選定
    ➡調査数約50社/取引先社数約700社
  • 【資材】重要資材品※2を製造するメーカーおよびその商社を選定
    ➡調査数約180社/取引先社数約1,500社
EN
2023年度
  • 以下の基準を満たす取引先を選定
  • 人権高リスク国※1にて本社/産地がある取引先
  • リスクの高い原材料品目※3を提供する取引先
  • 事業提携先、技術事由による特命発注先など事業依存度の高い重要な取引先
  • 事業規模が比較的大きく、発注額が大きい取引先※4
  • ➡調査数約100社/取引先社数約3,700社
SH
2023年度

鉄鋼原料・環境資源・資機材サプライヤーのうち、JFEスチール、JFEエンジニアリングに納入している優先度の高い取引先を選定

➡調査数約70社/取引先社数約2,400社


  • ※1 公表されている指数(Our World in Data作成の人権保護指数等)およびアドバイザリーの助言を踏まえ選定
  • ※2 操業・鉄鋼製品の品質に影響を与える資材品を使用部署が選定。耐火物、ロール、薬品等
  • ※3 アドバイザリーから助言を受けて選定。シリコン、リチウム、パーム油等を主原料とした製品
  • ※4 資本金1千万円以上の会社のうち、年間取引額10億円以上または取引件数100回以上

取引先調査・評価方法


グローバル・コンパクト・ネットワークジャパンの「CSR調査セルフ・アセスメント・ツール」を用いて、取引先のCSR、人権等に係る方針、体制、取り組み結果や是正の状況を確認する仕組みの有無を確認しています。


重点人権リスクマップや各社の事業特性に応じて、「 CSR調査セルフ・アセスメント・ツール」のアンケート項目のうち、「ハイリスク設問」を設定し、ハイリスク設問に失点した取引先にフォローアップを実施しています。

主要なハイリスク設問例

【労働】

  • 適正な賃金の支払い
  • 労働時間、休暇·有給休暇等の公正な適用
  • 強制労働の禁止
  • 児童労働の禁止

【サプライチェーン】

  • 紛争鉱物への取り組み
  • 各事業会社の具体的な取り組みは以下の通りです。

STSH

JFEスチール・JFE商事では、フォロー対象とした約40社に対し、フォローアップツールを送付し、改善を要請しました。その結果、主に以下のような改善に向けた取り組みを行っていることを書面にて確認しました。


  • 「適正な賃金の支払い」に関して是正の仕組みがなかった取引先において、社内ルールの作成とモニタリングの実施を確認
  • 紛争鉱物の調達防止に関する方針を有していなかった取引先において、方針の策定およびサプライヤーへの周知手順の作成を確認

一部の改善が確認できていない取引先に対しては引き続き働きかけを行うとともに、今後実施予定のアンケート調査等で状況をフォローしていきます。


EN

JFEエンジニアリングでは、フォロー対象とした約40社に対し、フォローアップツールを送付し、改善を要請しました。改善状況のフォローについては、今後の人権リスクに関するアンケート調査等で実施していく予定です。


  • ※ ハイリスク設問に関する課題の定義・解説、リスクの具体例、自社グループの取組み等をまとめた資料

② SH鉄鋼原料・環境資源・資機材サプライヤー88社に対する新規調査

JFE商事では、自社の鉄鋼原料・環境資源・資機材サプライヤー88社に対し、新規調査を実施しました。取引先選定方法の詳細は以下の通りです(調査・評価方法は2023年度と同様)。



グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「CSR調達セルフ・アセスメント・ツール」を用いて、それぞれの事業特性も踏まえた上で、調査優先度の高いサプライヤーに対する調査・評価を実施しています。

取引先選定方法

SH
2024年度
  • 鉄鋼原料・環境資源・資機材サプライヤーのうち、以下のいずれかを満たす取引先を選定
  • 人権高リスク国※1にて本社/産地がある取引先
  • 高リスク品種※2を提供する取引先
  • 仕入高ベースに取引金額の大きい上位75%の取引先
  • ➡調査数約88社/取引先社数約2,400社

  • ※1 公表されている指数(Our World in Data作成の人権保護指数等)およびアドバイザリーの助言を踏まえ選定
  • ※2 経済産業省、米国労働省・国務省が開示するリストより選定

今後の取り組み

特定した人権リスクの是正・軽減に向けた取り組みを推進するとともに、人権デューディリジェンスの拡充に向けて以下の取り組みを実施していきます。また、取り組みを着実に進めていくため、グループサステナビリティ会議および取締役会の監督のもと、適切な評価の実施と改善に努め、実効性を高めていきます。

グループ会社への人権デューディリジェンスの展開
① STENSH国内グループ会社について

2025年度は、国内主要グループ会社における、今後のサプライヤー調査の展開方法やスケジュールを引き続き検討していきます。


② STENSH海外グループ会社について

2025年度は、海外グループ会社6社に新たに人権リスクに関する調査を実施するとともに、2024年度に調査を行った海外グループ会社に対し結果のフィードバックを実施していきます。


各事業会社の取り組みは以下の通りです。


ST

JFEスチールでは、連結子会社である主要な海外グループ会社3社(フィリピン、アメリカ、シンガポール)に対し、人権リスクに関する調査を実施していきます。


EN

JFEエンジニアリングでは、主要な海外グループ会社3社(マレーシア、インドネシア、ドイツ)に対し、人権リスクに関する調査を実施していきます。


SH

JFE商事では、2024年度に調査をした海外グループ会社(連結海外グループ会社45社)に対し、調査結果のフィードバックを実施していきます。

サプライヤーの人権リスク管理体制構築

2025年度は、各事業会社で以下の取り組みを実施していく予定です。


ST

JFEスチールでは、2025年度は、前回調査時に設定したハイリスク設問において「取組み・是正する仕組みが無い」と回答した割合が高かった中・小規模のサプライヤーに対して、ビジネスと人権に関する世の中の動向や当社の方針について説明する場を設ける予定です。その上で、2023年度に調査を実施した際と同様の基準で選定した調査優先度の高いサプライヤー約200社(予定)に対し、2巡目の調査を実施する計画です。


EN

JFEエンジニアリングでは、2025年度は、2023年度に調査を実施したサプライヤーを主な対象として、調査優先度の高いサプライヤー約70社(予定)に対する2巡目の調査を実施していきます。


一方、プロジェクト毎に取引先を選定するという事業の特性上、毎年一定数の取引先が入れ替わっていくため、新規サプライヤーとの取引開始時にサプライチェーンでのリスク事案の有無やその是正状況をアンケートにより確認し、取引判断や是正に向けたフォローにつなげる取り組みを2025年7月より開始しました。


  • ※ 公務員等贈賄防止、独占禁止法遵守、強制労働の禁止、児童労働の禁止、紛争鉱物への取り組み等

SH

JFE商事では、2025年度は、鉄鋼サプライヤー約20社(予定)に対し、新たに人権リスクに関する調査を実施していきます。取引先選定方法の詳細は以下の通りです(調査・評価方法は2023年度と同様)。これにより、JFE商事の主要サプライヤーへの1巡目調査が完了する予定です。


グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンの「CSR調達セルフ・アセスメント・ツール」を用いて、それぞれの事業特性も踏まえた上で、調査優先度の高いサプライヤーに対する調査・評価を実施しています。

取引先選定方法

SH
2025年度
  • 鉄鋼サプライヤーのうち、以下のいずれかを満たす取引先を選定
  • 人権高リスク国※1にて本社/産地がある取引先
  • 高リスク品種※2を提供する取引先
  • 仕入高ベースに取引金額の大きい上位75%の取引先
  • ➡調査数約20社(予定)/取引先社数約400社

  • ※1 公表されている指数(Our World in Data作成の人権保護指数等)およびアドバイザリーの助言を踏まえ選定
  • ※2 経済産業省、米国労働省・国務省が開示するリストより選定

人権尊重への取り組み

人権尊重への取り組みの着実な推進と従業員等の意識向上のため、①各種人権啓発研修の実施、②就職の機会均等の保障と公正な人事管理の推進、③職場のハラスメント防止などを実践しています。人権啓発研修では、「JFEグループ人権基本方針」の理解や国際社会で求められる企業の人権尊重などについても取り上げています。また、全従業員への浸透を徹底するため、研修の受講予定者数に対する受講率をKPIに設定し、継続的に測定・フォローしています(2024年度受講率:100%)。


セクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどのハラスメントの防止については、就業規則に規定するとともに、ポスター掲示により周知を実施しています。また、階層別(役職者を含む)や事業者単位、役員向け、全従業員向けのハラスメント防止研修も定期的に実施し、日常のコミュニケーション、ハラスメント発生時の通報や相談窓口の利用・対応等に関し、事例を用いながら周知・トレーニングを実施しています。


また、外部弁護士を招き、JFEグループ内の企業倫理ホットラインやハラスメント相談窓口の受付窓口担当者(役職者を含む通報受付者)を対象に、通報を受けた際の守秘義務や通報を受けた際のケーススタディを交えた研修会を実施するなど、定期的に窓口担当者向けのトレーニングを実施しています(参加人数:2020年度約200名、2022年度約300名、2024年度約300名)。


さらに、公共団体における人権啓発の推進組織・団体や、東京人権啓発企業連絡会、大阪同和・人権問題企業連絡会等の民間企業等が参加する団体での活動に積極的に参加しています。それらの組織・団体が主催・後援するセミナーやワークショップを通じて得た人権に関する動向や日本企業特有の課題を、グループ内の人権啓発研修をはじめとする人権啓発活動に活かしています。

労働者の権利の尊重

JFEグループは各国の法令や労働協約に則り、結社の自由、団体交渉を行う権利を尊重します。


社長以下の経営幹部と労働組合の代表者が経営課題やワーク・ライフ・バランス、職場環境、労働条件等について定期的に話し合いの場を設け活力のある職場づくりに取り組むとともに、真摯な労使協議の実施を通じて、健全で良好な労使関係の構築に努めています。


給与支払いに関して法令を遵守し、各国・各地域・各業種別に定められた最低賃金以上の給与を設定しています。時間外労働の上限規制などを遵守することはもとより、従業員がやりがいを持って働くことができるよう、業界トップレベルの労働条件を実現するとともに、会社の収益に応じた成果還元として賞与を支給しています。


また、賃金については、地域、業種の実態等について定期的に調査を行うとともに、労働組合とも都度、真摯に話し合いの場を設け、経営実態や業績も踏まえながら従業員へ適切に還元しています。

表現の自由の尊重

JFEグループでは、JFEグループ人権基本方針において基本的人権の尊重を掲げ、企業活動において一人ひとりの人権を尊重・擁護します。国際人権規約等の国際規範において認められている表現の自由やプライバシー権保護についても、人権侵害がないように注意を払っています。

子どもの権利の尊重

JFEグループは、「児童の権利に関する条約」および「子どもの権利とビジネス原則」を支持し、児童労働の根絶のみならず、「児童の権利に関する条約」の4つの柱である子どもの「生きる権利」「育つ権利」「守られる権利」「参加する権利」を尊重します。


JFEグループ人権基本方針の中で企業活動のあらゆる場面において、個人の多様な価値観を認め、国際規範に則り一人ひとりの人権を尊重・擁護することを掲げ、また、児童労働、強制労働を明確に禁止しています。具体的な取り組みを推進するため、JFEグループは、社会貢献活動の重点領域の一つに「次世代育成」を掲げ、次世代を担う青少年の健全な育成を支援する活動を行っています。

外部イニシアチブへの賛同・参画

当社は、人権の保護、不当な労働の排除、環境への対応、そして腐敗の防止に関わる「国連グローバルコンパクト10原則」に賛同し、グローバル・コンパクトの活動を日本で推進する組織である「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入しています。「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」における分科会活動にも参加し、参加企業・団体との情報交換等を踏まえ、自社の取り組みを推進しています。

サプライチェーンにおける人権の尊重

ST 「JFEスチール調達ガイドライン」の遵守と責任ある原料調達

JFEスチールは、「JFEグループ人権基本方針」に則り、人権尊重に加えサステナビリティ全般に関してより広範で具体的な内容を織り込んだ「JFEスチール調達ガイドライン」を2023年に制定しました。サプライチェーン全体でサステナビリティに関する取り組みを推進すべく、Web上で公表するとともにお取引先の皆様に本ガイドラインの遵守をお願いしています。


特に、原料調達に際しては、人権侵害、環境破壊等を引き起こしている武装勢力の資金源となっていることが懸念されている錫、タンタル、タングステン、金、およびコバルトに関して、責任ある鉱物調達に関わる国内外の法令および国際規範等に照らし合わせ、紛争地域や高リスク地域で採掘されたものではないことを確認した上で購入しています。


「JFEスチール調達ガイドライン」は以下をご参照ください。

EN お取引先の皆様と協力した人権尊重への取り組みの推進

JFEエンジニアリングでは、「JFEグループ人権基本方針」に則り、お取引先の皆様と人権尊重に関する取り組みを協力して推進していくため、「調達基本方針」を制定しサステナブル調達を推進しています。加えて、お取引先の皆様に対しては、事業活動において法令・社会規範を遵守した上で、基本的な人権を尊重し、あらゆる差別を排除するとともに、安全で快適な職場環境の実現に努めるべく、調達ガイドラインを制定して理解を求め、当社Webサイトでの公表を通じてサプライチェーンへの周知を図っています。


JFEエンジニアリングの「調達基本方針」「調達ガイドライン」は以下をご参照ください。

SH サプライチェーンにおける人権尊重の推進

JFE商事は、「JFEグループ人権基本方針」に則り、お取引先の皆様と人権尊重に加えてサステナビリティ全般に関して協働して取り組みを推進していくため「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」を制定しています。

本方針は当社Webサイトでの公表を通じてサプライチェーンへの周知を図っています。


JFE商事の「サプライチェーンにおけるサステナビリティ基本方針」は以下をご参照ください。