気候変動問題への取り組み

JFEグループ環境経営ビジョン2050

JFEグループは2021年、気候変動問題への取り組みを第7次中期経営計画の最重要課題と位置付け、2050年カーボンニュートラルの実現を目指した「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を策定しました。

鉄鋼事業においては、2024年度末のCO₂排出量を2013年度比で18%削減、2030年度のCO₂排出量を2013年度比で30%以上削減することを目標としています。2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、当社独自技術であるカーボンリサイクル高炉(CR高炉)をはじめとする超革新技術に挑戦するとともに、さまざまな技術開発を複線的に進めています。

また、エンジニアリング事業の再生可能エネルギー発電やカーボンリサイクル技術の拡大・開発、鉄鋼事業における高機能鉄鋼製品の供給等による社会でのCO₂削減貢献を拡大していきます。

さらに、グループ全体で洋上風力発電ビジネスの事業化を推進しています。

鉄鋼事業
2050年カーボンニュートラルを目指す
エンジニアリング事業
社会全体のCO₂削減貢献量の拡大

鉄鋼事業の2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み

2050年カーボンニュートラル実現に向け超革新技術の開発を含む複線的な取り組みを進めています。2030年までをトランジション期、それ以降をイノベーション期と定義し、トランジション期においては、既存プロセスの省エネルギー・高効率化および電気炉技術の活用等の取り組みを進めています。また、イノベーション期に向けてはカーボンリサイクル高炉や水素直接還元製鉄等の超革新技術の研究・開発にチャレンジし、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。

JFEスチール カーボンニュートラル戦略説明会 []

JFEスチールカーボンニュートラル戦略説明会 説明会資料&音声データ

[37分27秒]

カーボンニュートラルロードマップ

カーボンニュートラル製鉄に向けた優位性と課題

鉄は豊かな地球の未来のために「なくてはならない」素材であり、その需要がなくなることはありません。そのため、製鉄プロセスのカーボンニュートラル実現は必要不可欠ですが、それを達成することができる技術は、未だ確立されていません。

製鉄プロセスには、高炉法のほか、電気炉法、直接還元製鉄法などが挙げられますが、カーボンニュートラルに向けてはそれぞれが異なった優位性、課題を有しており、課題を解決するイノベーションに複線的に取り組むことが重要です。

高炉法 直接還元製鉄法 電気炉法
優位性
  • 生産性が高い
  • 既存設備を使用可能
  • 低品位鉱石使用可能
  • 高級鋼生産可能
  • CO₂排出量が少ない
  • 100%水素還元が可能となればカーボンニュートラル実現可能
  • CO₂排出量が少ない
問題点
  • コークスをカーボンニュートラル還元材(水素、e-メタン等)に置換する必要あり
  • CCUSの活用が不可欠
  • 水素還元時、炉内温度低下対策が必要
    (現時点で未確立)
  • 水素コストが高い
  • 高品位鉱石のみ使用可能
  • 水素還元時、炉内温度低下対策が必要
    (現時点で未確立)
  • 水素コストが高い
  • 生産性が低い
  • 高級鋼の製造困難
  • スクラップのみでは鉄源不足
  • 脱炭素電源必要
  • 電力コストが高い(国内)
  • CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO₂の回収・有効利用・貯留)

超革新技術の開発

①超革新高炉
(カーボンリサイクル高炉法)
②直接還元製鉄法 ③高効率・大型電気炉
開発項目
目標 50%以上のCO₂削減
(対従来高炉)
50%以上のCO₂削減
(対従来高炉)
高品質化・高効率溶解技術確立
内容
  • 酸素・e-メタン大量吹込み技術
  • 高炉 - メタネーション設備の連動運転技術開発
  • 水素還元反応熱補償
    (高温水素・e-メタン吹込み)
  • 原料品位に応じた還元ガス吹込条件最適化
  • 水素系ガス脱窒促進、過酸化抑制脱燐による
    高品質化
  • バーナーランス、還元鉄予熱、溶鋼撹拌による
    高効率溶解
期間 試験実施予定:25-26年度 試験実施予定:24-26年度 試験実施予定:24-25年度

カーボンニュートラルの実現に向けた社会との連携

カーボンニュートラルの実現を経営の最重要課題として取り組んでいくものの、環境価値創出にはプロセス転換に伴う大規模な投資と大幅なコストアップが避けられず、民間企業のみでは困難な取り組みとなります。わが国の産業競争力全般を維持・強化していくために非連続的イノベーション等の研究開発や設備実装に対する長期的かつ継続的な政府の支援が不可欠です。

当社として、わが国の気候変動対策やエネルギー政策に関する様々な提言を行うとともに、業界団体を通じた活動を推進していきます。