公益財団法人JFE21世紀財団
2025年度 大学研究助成 交付研究の決定について

公益財団法人JFE 21世紀財団

JFEホールディングス株式会社

公益財団法人JFE21世紀財団(理事長:北野嘉久 JFEホールディングス㈱代表取締役社長)は、1990年の財団設立以来、JFEグループとともに、21世紀鉄鋼産業の振興および豊かな生活文化の形成への貢献を目的とする活動を続けてきました。

このたび当財団は、主要活動の一つである大学研究助成事業において、2025年度の助成金交付対象となる40件の研究(技術研究28件、アジア歴史研究12件)を選定しました。1件あたりの助成金額は、「技術研究助成」200万円、「アジア歴史研究助成」150万円で、助成金合計は7,400万円となります。この40件に対して12月1日に日比谷国際ビル(東京都千代田区)において研究助成金贈呈式を行う予定です。

なお、1991年度から2025年度まで35年間の大学研究助成における累計交付件数および助成金総額は、992件、18億9,280万円となります。

当財団は、「社会に開かれた存在を目指し、社会との共存共栄をいっそう進める」の設立趣旨のもと、社会貢献の一端を担う公益事業をこれからも一層推進して参ります。

2025年度・大学研究助成の交付研究(一覧)(五十音順、敬称略)

1.技術研究助成 28件

財団創設時からの継続事業である技術研究助成では、「鉄鋼技術」と「地球環境・地球温暖化防止技術」を助成対象としています。「鉄鋼技術」は、日本が世界をリードする先端技術を有し、また将来にわたり世界の産業の主要材料であり続けるための、鉄鋼の製造プロセス・材料開発・鉄鋼関連技術を助成対象としています。「地球環境・地球温暖化防止技術」は、地球環境保全と省エネルギーや再生可能エネルギーなどの地球温暖化防止に資する技術開発を助成対象としています。

今年度は68大学等から144件(国公立(含高専)50校112件、私立14校21件、国公立研究機関4機関11件)の応募があり、技術研究助成審査委員会での審査の結果、「鉄鋼技術研究」8件、「地球環境・地球温暖化防止技術研究」20件、合計28件を助成研究として選定しました。

(1)「鉄鋼技術研究」 8件

鉄鋼製造プロセス、鉄鋼材料開発、鉄鋼関連技術に関して43件の応募があり、その中から次の8件を助成対象研究に選定しました。

今宿 晋いましゅく すすむ (島根大学先端マテリアル研究開発共創機構)
「鋼中非金属介在物の簡便かつ迅速な3次元イメージング法の確立」
片山 英樹かたやま ひでき (物質・材料研究機構構造材料研究センター腐食研究グループ)
「ハイパースペクトル解析による塗装鋼板の非破壊耐候劣化評価技術の創出」
河原 康仁かわはら やすひと (九州大学工学研究院材料工学部門)
「ニアバルクその場加熱TEMによる鉄鋼材料の焼戻し条件の最適化」
北嶋 具教きたじま とものり (物質・材料研究機構構造材料研究センター積層材料グループ)
「レーザ粉末床溶融結合法における高耐熱ステンレス鋼の単結晶成長と造形体の機械的特性」
酒井 雄也さかい ゆうや (東京大学生産技術研究所)
「コンクリートの水分状態の可視化と鉄鋼スラグの活用拡大による温暖化防止」
中村 祐二なかむら ゆうじ (豊橋技術科学大学大学院工学研究科機械工学系)
「ハイブリッド燃焼技術:バイオマス粉体との混焼による副生ガスの利活用」
藤井 義久ふじい よしひさ (三重大学大学院工学研究科)
「鉄鋼表面の酸化状態と水結合状態計測に基づく環境調和型防錆塗料の最適化」
山口 正剛やまぐち まさたけ (日本原子力研究開発機構システム計算科学センター)
「鉄刃状転位芯の水素トラップと熱脱離スペクトルにおける計算科学研究」

(2)「地球環境・地球温暖化防止技術研究」 20件

地球環境保全、地球温暖化防止技術に関して101件の応募があり、この中から次の20件を助成対象研究に選定しました。

天野 佳正あまの よしまさ ((千葉大学大学院工学研究院共生応用化学コース)
「藍藻ブルーム除去のための浮揚性向上技術の創発」
安藤 剛あんどう つよし (奈良先端科学技術大学院大学先導科学技術研究科物質創成科学領域)
「中温域で機能する可逆反応型化学蓄熱ポリマーの開発」
石田 洋平いしだ ようへい (九州大学大学院総合理工学研究院IFC部門)
「二次元分子集合体の自在制御による太陽光エネルギー変換システム」
加賀谷 史かがや ふみと (秋田大学大学院理工学研究科技術部)
「鉄鋼スラグを資材とするジオポリマーの試作およびその性能評価」
加藤 知道かとう ともみち (北海道大学大学院農学研究院連携研究部門)
「ブルーカーボン貯留速度推定のための太陽光誘起クロロフィル蛍光測定装置の開発」
久保 理くぼ おさむ (岐阜大学工学部電気電子・情報工学科)
「層状ゲルマニウムの吸着水誘起準位形成と光起電力素子への展開」
後藤 健彦ごとう たけひこ (広島大学大学院先進理工系科学研究科先進理工系科学専攻)
「希土類磁石のリサイクルに有効な新しい分離回収技術の開発」
後藤 知代ごとう ともよ (奈良先端科学技術大学院大学先端科学技術研究科物質創成科学領域)
「資源循環を目指したアップサイクル光触媒の開発」
小林 裕一郎こばやし ゆういちろう (大阪大学大学院理学研究科高分子科学専攻)
「廃硫黄を原料とする高機能硫黄ポリマーの開発と資源循環型材料への展開」
柴田 恭幸しばた たかゆき (東京海洋大学学術研究院海洋電子機械工学部門)
「電池構造を有する熱エネルギーハーベスト素子の全固体化」
関根 良博せきね よしひろ (熊本大学大学院自然科学研究部)
「ナノ炭素材料を基盤とした環境低負荷燃料電池創出」
鷹谷 絢たかや じゅん (大阪大学大学院基礎工学研究科物質創成専攻機能物質化学領域)
「可視光駆動型複合金属触媒による二酸化炭素の高度資源化」
竹本 晶紀たけもと まさのり (東京大学大学院工学系研究科化学システム工学専攻)
「低N2O排出を実現する次世代ゼオライト系脱硝触媒の開発」
豊島 遼とよしま りょう (東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻)
「ナノデルタ型プラズモニックCO2光還元触媒の創出と深化」
難波 徳郎なんば とくろう (岡山大学学術研究院環境生命自然科学学域)
「塩化焼成法による汚染土壌の無害化処理プロセスの開発」
半沢 幸太はんざわ こうた (東京科学大学総合研究院フロンティア材料研究所)
「高効率強誘電体太陽電池の実現に向けた新材料開発」
松宮 正彦まつみや まさひこ (横浜国立大学大学院環境情報研究院人工環境と情報部門)
「新規アミド系抽出剤を利用した抽出-電解法による白金族金属回収技術の開発」
安田 琢磨やすだ たくま (九州大学高等研究院)
「透明有機太陽電池が拓く次世代クリーンエネルギー技術」
安村 駿作やすむら しゅんさく (東京大学生産技術研究所)
「原子シミュレーションを活用した高効率温室効果ガス分解触媒の開発」
山本 剛やまもと つよし (九州大学大学院工学研究院化学工学部門)
「バイオマス流動層プラズマによるCO2からCOへの高効率変換」

2.アジア歴史研究助成 12件

アジア歴史研究助成は、アジア全域を研究対象地域とし、各地域の政治、経済、社会、文化等の歴史的経緯を踏まえながら、未来を見据えて考察することで、日本が「21世紀アジアと共存共栄するための日本の産業と文化のVision構築に資する」研究を助成対象として2005年度から続けています。

今年度は60大学等96件(国公立25校45件、私立33校47件、国公立研究機関2機関4件)の応募があり、アジア歴史研究助成審査委員会での厳正な審査の結果、次の12件を助成研究として選定しました。

大川 裕子おおかわ ゆうこ (上智大学文学部史学科)
「明清農書からさぐる季節の生産活動と食糧保存」
加藤 圭木かとう けいき (一橋大学大学院社会学研究科)
「植民地期朝鮮の地域有力者と「地域振興」」
河原 弥生かわはら やよい (東京大学附属図書館アジア研究図書館研究開発部門)
「サマルカンドにおけるナクシュバンディー教団の歴史的研究」
洪 郁如こう いくじょ (一橋大学大学院社会学研究科)
「帝国日本の学縁とその戦後的展開―台湾人留学生を中心として」
後藤 絵美ごとう えみ (東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)
「近現代の日本・エジプトにおける思想・運動・芸術の交わりと「固有性」の再検討」
貞義 康志さだよし やすし (神戸大学大学院国際文化学研究科)
「戦前期インドネシアの日本人社会の研究―生業と住民関係を焦点に」
田中 光たなか ひかる (中央大学経済学部)
「近代アジア間貿易の中の日本在来産業と各国中小商社の役割」
谷口 美代子たにぐち みよこ (宮崎公立大学人文学部国際文化学科)
「分断と包摂の交錯する和平後の統治:フィリピン・スールー州における自治からの離脱と住民意識の変容」
中村 元哉なかむら もとや (東京大学大学院総合文化研究科・教養学部)
「中国近現代史のなかに改革開放期中国の政治思想を位置づける」
西 芳美にし よしみ (京都大学東南アジア地域研究研究所)
「インドネシアにおける戦争の記憶:映像表象における日本占領」
Bernat MARTI-OROVALベルナット マルティ オロバル (早稲田大学政治経済学術院・政治経済学部)
「明治期の哲学研究と中国思想界への波及」
山口 昭彦やまぐち あきひこ (上智大学総合グローバル学部)
「「クルディスタン」概念の歴史的形成過程」

「(公財)JFE21世紀財団」概要

・名称: 公益財団法人JFE21世紀財団
・沿革: 1990年12月 川鉄21世紀財団設立(旧川崎製鉄(株)が、創立40周年を記念して設立)
2003年 4月 JFE21世紀財団に改称
2012年 4月 公益財団法人へ移行
・総資産: 27億45百万円(内 公益目的保有財産20億82百万円)(2025年3月末)
・公益目的事業 (2025年度公益会計事業費予算:125百万円)
  1. 大学研究助成(技術研究助成、アジア歴史研究助成)および大学教材等出版事業
  2. 文化振興事業

    鉄鋼に縁のある地域への貢献(地域イベントへの協賛等)

    「海外子女文芸作品コンクール」協賛と優秀作品文集の小中学校への寄贈

・運営/組織(50音順)(2025年9月現在)

理事長 北野嘉久 JFEホールディングス(株) 代表取締役社長
専務理事 寺畑雅史 JFEホールディングス(株) 代表取締役副社長
理 事 小橋 眞 名古屋大学 教授
鈴木善久 伊藤忠商事(株) 理事
筒井義信 日本生命保険(相) 取締役
平田好則 大阪大学 名誉教授
古原 忠 東北大学 教授
前田正史 京都先端科学大学 学長
𠮷田政雄 古河電気工業(株) 名誉顧問
監 事 田中利弘 JFEホールディングス(株) 専務執行役員
谷上和範 公認会計士
評議員 安住和久 北海道大学 名誉教授
梅村 坦 中央大学 名誉教授
柿木厚司 JFEホールディングス(株) 特別顧問
須佐匡裕 東京科学大学 特命教授
中島邦彦 九州大学 名誉教授
広瀬政之 JFEスチール(株) 代表取締役社長
明珍幸一 川崎汽船(株) 取締役会長
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