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コーポレートガバナンス

基本的な考え方

JFEグループは、鉄鋼事業、エンジニアリング事業および商社事業を柱とし、多くのグループ会社や協力会社とともに極めて広範かつ多様な事業を展開しています。適切なガバナンス体制の構築は各事業会社の自主性・効率性の向上および環境・安全・防災面を含めたさまざまな事業リスクを適切に管理する上で必要不可欠であり、グループの持続的な成長や中長期的な企業価値向上のために重要だと考えています。

また、JFEグループの企業理念を実践するために最良のコーポレートガバナンスを追求しさらなる充実を図ることを目的として、「JFEホールディングス コーポレートガバナンス基本方針」を制定しています。

JFEホールディングス コーポレートガバナンス基本方針

コーポレートガバナンス報告書

実績

2022年度の取締役会の主な議題は以下の通りです。

  • 第7次中期経営計画の進捗
  • 大規模設備投資(高炉送風機電動化更新工事(倉敷)、第6コークス炉A団建設工事(福山)等)
  • ESG課題への取り組み(カーボンニュートラルに向けた取り組み、経営上の重要課題に対するKPIの評価・見直等)

このほか、ガバナンス関連データは以下をご参照ください。

ガバナンスデータ

体制・取り組み

コーポレートガバナンス体制

グループ体制

JFEグループは、持株会社の傘下に事業を展開する3つの事業会社(JFEスチール、JFEエンジニアリング、JFE商事)を置く経営体制をとっています。

純粋持株会社であるJFEホールディングスは、グループの一元的なガバナンスの中心にあって、全グループの戦略策定機能を担うとともに、リスク管理と対外説明責任を果たすなど、グループの中核としての業務を遂行しています。

また、事業会社は、事業分野ごとの特性に応じた最適な業務執行体制を構築して事業を推進し、競争力の強化と収益力の拡大を図っています。

コーポレートガバナンス体制

ガバナンスデータ

ガバナンス体制

JFEホールディングスおよび事業会社は監査役(監査役会)設置会社であり、取締役による業務執行の監督、監査役による監査の二重の監督機能を有しています。さらに経営の意思決定と業務執行の分離による権限・責任の明確化、および執行の迅速化を図るため、執行役員制を採用しています。JFEホールディングスにおいては、取締役会が経営効率の維持・向上に努めつつ、法定事項の決議、重要な経営方針・戦略の策定、業務執行に対する監督を行うとともに、監査役会が経営を監視し、その健全性強化に努めています。

ガバナンス強化に向けた主な取り組み

ガバナンス強化に向けた主な取り組み

取締役会等の責務

独立社外取締役と独立社外監査役の選任

独立社外取締役の割合を取締役の1/3以上とし、グローバル企業の経営者としての豊富な経験あるいは有識者としての深い知見を有する方々等の中から、ガバナンス強化の役割を担う独立社外取締役に相応しく、かつ当社の独立性基準を満たす人物を選任しています。なお、現在は取締役8名の内3名が独立社外取締役となっています。

一方、監査役会の半数以上を社外監査役とし、グローバル企業の経営者としての豊富な経験あるいは有識者としての深い知見を有する方々等の中から、監査機能の充実の役割を担う独立社外監査役に相応しく、かつ当社の独立性基準を満たす人物を選任しています。なお、現在は監査役5名の内3名が独立社外監査役となっています。

JFEホールディングスの社外役員独立性基準

取締役・監査役関連データ

取締役会の多様性に関する考え方

取締役会の構成については、さまざまな分野における専門性や知識、経験などの多様性の充実に主眼を置き、規模の適正性とのバランスを勘案しつつ指名委員会における審議を経て役員を選任しています。女性の監査役は2019年6月に1名、女性の取締役は2020年6月に1名を選任しています。また、グローバルに展開する企業の経営者としての豊富な知識と経験を有する取締役・監査役を選任するなど、ジェンダーや国際性の面での多様性向上にも努めています。引き続きその候補たりうる人材の育成にも具体的な目標を定めて計画的に取り組んでいきます。

取締役・監査役のスキルマトリックス

当社は、当社およびJFEグループが、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上を実現し、企業理念を実践するために最良のコーポレートガバナンスを追求しそのさらなる充実を図ることを目的として、「JFEホールディングスコーポレートガバナンス基本方針」を制定しています。また、取締役会の構成については、さまざまな分野における専門性や知識、経験などの多様性の充実を目指しており、当社および事業会社の事業内容や経営課題を踏まえて、当社の経営に必要な備えるべきスキルを特定し、規模の適正性とのバランスを勘案しつつ、指名委員会における審議を経て役員候補者を選出しています。

特定したスキルに対する各役員の知識・経験・能力を踏まえたスキルマトリックスは以下の通りです。

  企業経営
経営戦略
サステナビリティ
環境
テクノロジー
DX
財務・
会計
内部統制
ガバナンス
法務
コンプライアンス
人事労務
人材開発
営業
マーケティング
知見を
有する事業
代表取締役
柿木 厚司
  鉄鋼
代表取締役
北野 嘉久
        鉄鋼
代表取締役
寺畑 雅史
    鉄鋼/商社
取締役
大下 元
    エンジニアリング
取締役
小林 俊文
      鉄鋼/商社
社外取締役
山本 正已
       
社外取締役
家守 伸正
       
社外取締役
安藤 よし子
       
監査役
原 伸哉
          鉄鋼
監査役
秋本 なかば
            鉄鋼/エンジニアリング/商社
社外監査役
佐長 功
         
社外監査役
沼上 幹
       
社外監査役
島村
       

指名委員会・報酬委員会

JFEホールディングスでは、2015年10月より取締役等の人事および報酬について公正性、客観性および透明性を担保すべく、取締役会の諮問機関として、指名委員会および報酬委員会を設置しています。両委員会は、それぞれ委員の過半数を社外役員で構成し、委員長は社外役員の中から決定しています。

指名委員会においては、当社社長の選解任に関する基本方針、当社社長候補者の選任の原案、当社社長の後継者計画および当社の社外役員候補者の指名に関する事項等について審議し、取締役会に答申・報告しています(2022年度は3回開催、各委員の出席率はいずれも100%)。また、報酬委員会においては、当社および各事業会社の役員報酬の基本方針に関する事項等について審議し、取締役会に答申しています(2022年度は6回開催、各委員の出席率はいずれも100%)。

指名委員会・報酬委員会関連データ

取締役・監査役のサポート

取締役および監査役がその役割・責務を適切に果たすために必要となる法令やコーポレートガバナンス、リスク管理等を含む事項に関し、就任時および継続的に個々の取締役・監査役に適合したトレーニングの機会の提供やその費用の支援を行っています。

また、取締役会の開催に際して、社外取締役および社外監査役を対象とする事前説明会等を開催しています。

上記に加え、経営上の重要な課題を適宜説明するとともに、社長を含む経営トップとの意見交換や、社内各部門から行う重要な業務報告聴取への出席、国内外の事業所やグループ会社の視察等の機会を設け、職務遂行に必要な情報を十分に提供するよう努めています。

取締役会の実効性評価

JFEホールディングスでは「コーポレートガバナンス基本方針」に基づき、2015年度から取締役会全体の実効性評価に取り組んでおり、2018年度以降、当社から独立した立場からの客観的な視点を取り入れるため第三者機関を起用して分析・評価を行なっています。なお、2022年度は一部項目の内容を見直しすべての取締役および監査役に対しアンケートを実施しました。

加えて、2021年度の分析・評価において得られた意見および提言を踏まえた2022年度の取り組みの成果についても、検証しました。

アンケート結果および第三者機関の評価を踏まえ取締役会にて議論を行った結果、取締役会は、社外役員ミーティングでの十分な事前説明や議長の適切な采配等により、積極的に発言がなされるなど取締役会での議論が活性化され、全体としての実効性は確保されていると評価しました。

2021年度までの実効性評価結果を踏まえた2022年度の取り組みは以下の通りです。

  • カーボンニュートラルに向けた取り組みや経営上の重要課題に関するKPIの見直しに加え、人権デューディリジェンス、品質保証、税務、独占禁止法遵守の取り組み等、グループCSR会議(現JFEグループサステナビリティ会議)において審議したサステナビリティ課題やリスクマネジメントに関する事項について取締役会に報告し、議論の充実を図りました。今後も取締役会での議論を踏まえ、グループ全体のリスク管理の改善を図っていきます。
  • コンプライアンス重視の意識の浸透に向けて、当社および事業会社において企業倫理等に関する意識調査を実施しました。調査結果を踏まえた課題への対応の方向性等について今後議論の充実を図っていきます。
  • 取締役会における議論の充実・監督機能のさらなる強化、および意思決定の迅速化を図ることを目的として、付議基準の見直しを実施しました。
  • 取締役会における議論活性化の観点から、社外役員が自由に意見交換できる機会をさらに拡充するため、社外役員のみのミーティングを定期的に開催しました。

また、監査役による取締役の職務執行に対する監査が的確・公正に遂行されていることに加え、取締役会における経営の意思決定や報告に際して監査役からも積極的に意見や質疑が出されることで審議のさらなる活性化につながっており、監査役会設置会社として有効に機能していると評価しました。

なお、今回のアンケートによりさらなる実効性向上に向けて主に以下の課題が抽出されました。

  • 持続的な成長に向けて、経営上の重要課題である人的資本経営や人権尊重等の取り組みを推進すべく、ダイバーシティ&インクルージョンや人材育成の推進、働きがいのある職場の実現に関するKPIの見直し等と併せて今後議論を充実させるべき。
  • リスク管理の観点から、グループ全体の潜在的なリスクを把握することを目的として、子会社や関連会社に関する情報について取締役会への報告をさらに充実させるべき。
  • コンプライアンス重視の意識のさらなる浸透を目的として、従来施策を常に見直し、改善を進めることにより、リスクの顕在化を防止することが重要である。

また、2023年度においても国内事業所での取締役会開催や国内外事業所の視察等を通じ、事業会社経営層との意見交換の機会の充実を図っていきます。

これらの点を踏まえつつ引き続き積極的な取り組みを行うことで、取締役会の実効性をさらに高め、当社グループの企業価値向上を図っていきます。

業務執行体制

重要事項の決定

グループを構成する各社の重要事項については、各社の規程により明確な決定手続きを定めており、グループ経営に関わる重要事項については、JFEホールディングスにおいて最終的な決定を行います。具体的には、各事業会社では、自社および傘下グループ会社の重要事項について、経営会議などで審議、取締役会で決定しています。また、JFEホールディングスでは、2017年4月に重要会議の運営体制を見直し、グループ全般の経営戦略事項をグループ経営戦略会議で審議、自社・事業会社およびグループ会社の重要個別事項を経営会議で審議した上で取締役会において決定しています。

業務執行体制関連データ

役員報酬

取締役等の報酬は、報酬委員会における審議および答申を踏まえ策定された「当社取締役および執行役員の報酬に関する基本方針」および「当社取締役および執行役員の個人別報酬の決定方針」に基づき、株主総会で承認された範囲内で取締役会の決議または監査役の協議により決定されています。

当社取締役および執行役員の報酬に関する基本方針

  • 取締役および執行役員の報酬制度については、「公正性」「客観性」「透明性」を担保すべく、報酬委員会で妥当性を審議した上で取締役会において決定するものとします。
  • 取締役および執行役員の報酬は、当社グループの経営環境や同業ないし同規模他社の報酬水準を踏まえつつ、当社グループの企業理念を実践する優秀な人材を確保できる水準とします。
  • 当社グループの持続的な成長に向けた健全なインセンティブとなるよう、各取締役および執行役員の役割、責務等に応じて基本報酬と業績に連動する報酬(年次賞与、株式報酬)の割合を適切に設定します。

当社取締役および執行役員の個人別報酬の決定方針の概要

  • 取締役および執行役員の報酬は、基本方針および決定方針に従い、報酬委員会の答申をふまえ、取締役会の決議により決定する。
  • 当社の取締役および執行役員に対する報酬は、基本報酬と業績連動報酬(年次賞与および株式報酬)から構成される。
  • 基本報酬は、役位等に応じて毎月、定額を金銭で支給する。
  • 年次賞与は、単年度の会社業績(財務指標および非財務指標に基づき算出)に連動させ、年1回、金銭で支給する。
  • 株式報酬は、退任時に信託を通じて当社株式および当社株式を時価で換算した金額相当の金銭を給付する。
  • 種類別の報酬割合は、上位の役職ほど業績連動報酬のウエイトが高まる構成とし、社長については業績目標を達成した場合の比率を「基本報酬:年次賞与:株式報酬=6:2:2」とする。

なお、社外取締役および監査役については、独立した客観的な立場から経営の監督、監査を行うという役割に鑑み、基本報酬のみを支給します。事業会社の業務執行取締役を兼務する取締役については、当社からの年次賞与および株式報酬の支給は行いません。

また、業績連動報酬については、以下の通り算定を行っております。

  • 年次賞与

    年次賞与は、単年度のセグメント利益の合計額、従業員の安全に関する指標および気候変動に関する指標を業績連動指標としており、当該指標のそれぞれの達成度に役位ごとの一定の係数を乗じて額を算定いたします。

    非財務指標として、2022年度より従業員の安全に関する指標、2023年度より気候変動に関する指標を導入しました。従業員の安全に関する指標は、各事業会社がKPIとして定めた死亡災害0件および休業災害度数率に関する項目より、達成度を算出します。気候変動に関する指標については、各事業会社がKPIとして定めた「気候変動問題解決への貢献(2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み)」から選定した一部項目より達成度を算出します(図表参照)。

  • 株式報酬

    株式報酬制度は、当社グループの中期経営計画における業績目標等に連動させて給付水準を決定します。2021年度から2024年度については、第7次中期経営計画において設定した親会社の所有者に帰属する当期利益目標2,200億円/年の達成度に応じて給付水準を決定します。また、親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)5%以上を給付の最低要件とします。

    なお、取締役を解任された場合および一定の非違行為があった場合には、取締役会の決議により、当該取締役の給付を受ける権利を失効させることができることとしています。既に給付を受けた者についても一定の非違行為があった場合には、取締役会の決議により、既に給付した当社株式等に相当する経済価値の返還を請求することができることとしています。

当社グループは持続的な成長に向け、より健全なインセンティブとして機能する役員報酬制度を目指し、報酬委員会・取締役会において引き続き検討を進めていきます。

役員報酬の構成イメージ

役員報酬の構成イメージ

気候変動に関する指標の達成度の算出方法

気候変動に関する指標の達成度の算出方法

役員報酬関連データ

内部統制体制

JFEグループの内部統制体制は、「内部統制体制構築の基本方針」にしたがって、取締役会規則、グループ経営戦略会議規程、経営会議規程、JFEグループサステナビリティ会議規程などの各種会議規程、組織・業務規程、文書管理規程および企業対象暴力対応規程の制定や、企業倫理ホットラインの設置などによって整備しています。持続的な企業価値向上のため、内部統制体制構築の基本方針は適宜改定を行い、改善に努めています。

内部統制体制構築の基本方針

内部統制体制の強化

内部監査

JFEホールディングスおよび主要な事業会社ならびに重要なグループ会社に内部監査組織(2023年4月1日時点で計172名)を設置し、各社の業務運営に対する監査を実施しています。各内部監査組織は、情報を共有することで、グループ全体の内部監査体制の充実を図っています。また、内部監査の実効性確保のため、内部監査の結果について、取締役会および監査役会に報告を行っています。

なお、JFEグループは、サステナビリティに関する重点項目が適切に実行されていることを確認するために、内部監査部門による業務監査に環境管理、独占禁止法遵守、公務員等贈賄防止、経費管理、海外事務所管理、税法遵守、安全・防災などサステナビリティに関するテーマを織り込み、各テーマについて計画的に監査しています。監査で問題点や指摘などがあれば、JFEホールディングスと事業会社の監査部門が連携してグループ内でその情報を共有し、グループ各社のサステナビリティへの取り組みに反映させています。

監査役監査

監査役は、取締役会、グループ経営戦略会議および経営会議、グループサステナビリティ会議、その他の重要会議に出席し、必要に応じて意見表明を行うとともに、取締役および執行役員などから業務報告を聴取し、子会社から事業の報告を受けることにより、取締役の職務の執行を監査しています。法定の監査に加え、後述のような活動により、監査役間の情報の共有化などによる連携強化を図り、監査役監査の充実に努めています。

常勤監査役をホールディングス以下グループの29社に34名配置しています。加えて、事業会社から、監査業務を専任的に行う非常勤の社外監査役として「派遣監査役」をグループ会社に派遣しています。各派遣監査役はグループ会社1~5社の非常勤監査役に就任し、派遣先で監査役監査を担うとともに、グループガバナンスの充実に寄与しています(7名が24社を担当)。

グループ各社の常勤監査役、派遣監査役で構成する「JFEグループ監査役会議」を設置し、その下で部会・分科会ごとにテーマを設けて情報交換・研究・研鑽活動を行っています。年間の活動成果は「JFEグループ監査役会議総会」で発表され、各監査役の監査活動に活かされています。

業務執行体制関連データ

JFEグループ監査役会議

JFEグループ監査役会議

監査役と会計監査人の連携

監査役は会計監査人(EY新日本有限責任監査法人)と定期的および必要時に会合を持ち(2022年度は9回)、監査計画、監査の実施状況や監査結果の詳細な報告を聴取するとともに、会計監査人の品質管理体制についても詳細な説明を受け、その妥当性を確認しています。また、監査役も会計監査人に対し監査計画などの説明を行うとともに、意見交換を行っています。

監査役と内部監査部門の連携

監査役は内部監査部門と定期的および必要時に会合を持ち(2022年度は8回)、内部監査計画、内部監査の実施状況や監査結果の詳細な報告を聴取するとともに、意見交換を行っています。

事業会社のガバナンス

JFEホールディングスの取締役・執行役員および監査役が各事業会社の取締役および監査役を兼ねることにより、グループ全体のガバナンス強化と情報共有を図っています。また各事業会社の株主総会や経営計画説明会においては、JFEホールディングスの経営陣が出席し、各事業会社の事業報告を受けるとともに、子会社の経営方針について議論するなど、ガバナンス強化に努めています。

上場子会社に関する考え方

当社は、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」という企業理念を実践し、持続的な成長および中長期的な企業価値の向上を実現するため、高度な専門性を有する企業で構成する企業集団を形成し、グループ内の機能分担およびグループ外を対象にした事業展開を図っています。これら子会社のうち、当社は以下に記載の2社の上場子会社を有しています。

【ジェコス(株)】(東京証券取引所 プライム市場)

同社は、建設仮設材の賃貸および販売、仮設工事の設計・施工等を主要な事業としています。同社の製品・サービスは、土木・建築を主な向け先とし、JFEスチールおよびグループ会社との連携により、お客様のニーズに対応した製品・サービスの提供を行っています。人材交流や研究開発等、JFEスチールとの各種連携の取り組みを通じて、同社を子会社として事業運営を行うことが、同社および当社グループの価値最大化に資するものと考えます。また、同社は資金調達、営業・販売および人材採用における知名度や信用力という観点から、競争力を向上させる手段として上場を維持しています。

【JFEシステムズ(株)】(東京証券取引所 スタンダード市場)

同社は、情報システムの企画・設計・開発・運用・保守を行うシステム・インテグレーション、ソリューションや自社プロダクトを活用したシステム構築、業務システムを支えるITインフラソリューションを主要な事業としています。鉄鋼事業におけるコンピュータシステムは、受注・生産・出荷・品質管理等、事業活動全般を支え、多様なデータを活用するための重要な基盤であり、また今後DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進していく上でも、同社を子会社としてノウハウの蓄積や人材交流の継続性を担保することは、JFEスチールが競争力を維持するために不可欠です。また、同社は資金調達、営業・販売および人材採用における知名度や信用力という観点から、競争力を向上させる手段として上場を維持しています。

上記の会社に対しては、上場子会社に関する経済産業省や東京証券取引所の指針を踏まえ、他の連結子会社とは異なるルールを適用するなど、各社が自主性・機動性を発揮した自律的な企業活動を行うとともに、上場会社としての経営の独立性を確保し、当該子会社および当社以外の当該子会社の株主の利益が不当に損なわれることのないよう努めています。また、グループのリスク管理上必要な事項については、各社による独立した意思決定を担保しつつ、事前の協議・報告を求めることとしており、グループ会社の一員としてのリスク管理を行っています。

なお、東京証券取引所 スタンダード市場に上場していたJFEコンテイナーは、2022年7月28日付で上場廃止し、同年8月1日付で株式交換によりJFEスチールの完全子会社となりました。同社は、ドラム缶、高圧ガス容器等の製造販売を主要な事業としています。同社がJFEスチールの完全子会社となることで、例えば高圧ガス容器事業においては脱炭素・水素社会の実現に向けた一層のグループ連携を通じた新たな分野の開拓、事業の創出機会の拡大が期待できること、また中長期的な視点に基づく事業運営および意思決定の迅速化が可能となることなどから、同社の完全子会社化がJFEグループ全体の企業価値向上に資するとの認識に至りました。

また、当社は、上場子会社の上場意義の検証を定期的に実施し、取締役会で確認した上で必要な対応をとることとしています。本内容については、2023年5月に開催された取締役会において検証・議論したものです。

株式の政策保有および政策保有株式に係る議決権行使に関する基本方針

当社が保有する株式はすべて子会社株式ならびに関連会社株式です。当社の100%子会社でありかつ事業会社であるJFEスチール、JFEエンジニアリングおよびJFE商事(以下、「各事業会社」)は、原則として国内上場株式を政策保有株式として保有しません。ただし、グループの事業の維持および成長のために必要と判断した会社の株式については、例外的に政策保有株式として保有します。

保有する政策保有株式については、定期的に保有意義および保有に伴う便益・リスクが資本コストに見合っているかを取締役会で確認し、保有意義が無くなった場合や株主利益の毀損リスクが発生する場合には売却します。なお、2022年度は、30銘柄の全部または一部につき、271億円(時価ベース)を売却しています。また、2022年9月の取締役会において、保有意義および投資リターンについて検証しました。

政策保有株式に係る議決権行使については、各事業会社において議案の内容を検討の上、株主利益最大化に沿った形で適切に行使します。具体的には、投資申請部署と投資管理部署による議案内容のチェックにより、当該会社株主としての利益最大化が毀損されることはないと判断した議案に対して賛成します。

なお、当社連結財務諸表において投資株式の貸借対照表計上額が最も大きいJFEスチールの投資株式のうち、保有目的が純投資以外のものは以下の通りです。

銘柄数および貸借対照表計上額

  2019年度末 2020年度末 2021年度末 2022年度末
銘柄数(銘柄) 219 171 146 138
貸借対照表計上額の合計額(億円) 1,661 960 712 590