気候変動問題への取り組み

基本的な考え方

JFEグループにとって、気候変動問題は事業継続の観点から極めて重要な経営課題です。グループのCO₂排出量の99.9%を占める鉄鋼事業では、これまでにさまざまな省エネルギー・CO₂排出削減技術を開発し、製鉄プロセスに適用することにより、低いレベルのCO₂排出原単位で生産を行っています。


また、JFEグループは、お客様の使用段階で省エネルギーに寄与する高機能鋼材、再生可能エネルギーによる発電など、多数の環境配慮型商品や技術を開発・保有しています。


今後さらにこれらのプロセスおよび商品の技術開発・普及を進めるとともに、これまで培ってきたさまざまな技術のグローバルな展開を当社にとっての機会と捉え、気候変動問題の解決に貢献していきます。


2019年5月、TCFD提言への賛同を表明し、TCFDが提言している「シナリオ分析」を用いて気候変動問題に対する課題を特定するとともに、持続的な成長に向けた戦略策定を進めてきました。2020年9月には、グループのCO₂排出量の大部分を占める鉄鋼事業において、2030年度のCO₂排出量の削減目標を設定し、また、政府のカーボンニュートラル宣言に先駆けて2050年に向けてカーボンニュートラル実現を目指すことを発表しました。


さらに2022年2月に、鉄鋼事業におけるカーボンニュートラルに向けた取り組みや外部環境の整備が進展していることを踏まえ、2030年度のCO₂排出量の削減目標を上方修正し、2013年度比で30%以上を目標とすることを決定しました。


これらの目標達成に向け、JFEグループはCO₂排出量およびエネルギー使用量の削減に取り組んでいきます。

JFEグループ環境経営ビジョン2050

JFEグループは、主に鉄鋼事業を取り巻く環境変化に対応すべく事業構造改革を実施していく中で、地球規模の気候変動問題の解決を通じた持続可能性の向上を目指していきます。そして、2020年を気候変動問題へのさらなる対応強化の節目の年と位置付け、CO₂排出量削減に向けた取り組みを積極的に推進しています。


2021年、JFEグループは気候変動問題への取り組みを第7次中期経営計画の最重要課題とし、2050年カーボンニュートラルの実現を目指した「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を策定しました。


「JFEグループ環境経営ビジョン2050」では、TCFDの理念を経営戦略に反映することで、気候変動問題の解決に向けて体系的に取り組んでいきます。鉄鋼事業においては、2024年度末のCO₂排出量を2013年度比で18%削減します。また2030年度のCO₂排出量を2013年度比で30%以上削減することを目標としています。2050年カーボンニュートラルの実現に向けては、当社独自技術であるカーボンリサイクル高炉をはじめとする超革新技術に挑戦するとともに、さまざまな技術開発を複線的に進めるなど、あらゆる可能性を模索しながら取り組みを推進していきます。また、エンジニアリング事業の再生可能エネルギー発電やカーボンリサイクル技術の拡大・開発、高機能鉄鋼製品の供給等による社会でのCO₂削減貢献を拡大していきます。さらに、グループ全体で洋上風力発電ビジネスの事業化を推進していきます。

JFEグループ環境経営ビジョン2050

  • 気候変動問題を極めて重要な経営課題ととらえ、2050年カーボンニュートラルの実現を目指します。
  • 新技術の研究開発を加速し、超革新技術に挑戦します。
  • 社会全体のCO₂削減に貢献し、それを事業機会ととらえ、企業価値の向上を図ります。
  • TCFDの理念を経営戦略に反映し、気候変動問題解決に向けて体系的に取り組みます。
2024年CO₂排出量削減目標(第7次中期経営計画における取り組み)
  • 2024年度末のCO₂排出量を2013年度比で18%削減(鉄鋼事業)
2030年CO₂排出量削減目標
  • 2030年度のCO₂排出量を2013年度比で30%以上削減(鉄鋼事業)
2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み
  1. 鉄鋼事業のCO₂排出量削減
    • カーボンリサイクル高炉+CCUを軸とした超革新技術開発への挑戦
    • 水素製鉄(直接還元)の技術開発
    • 業界トップクラスの電気炉技術を最大活用した高品質・高機能鋼材製造技術の開発、高効率化等の推進
    • トランジション技術の複線的な開発推進
      (フェロコークス、転炉スクラップ利用拡大、低炭素エネルギー転換等)
  2. 社会全体のCO₂削減への貢献拡大
    • JFEエンジニアリング:再生可能エネルギー発電、カーボンリサイクル技術の拡大・開発
      (CO₂削減貢献量目標 2024年度1,200万トン、2030年度2,500万トン)
    • JFEスチール:エコプロダクトやエコソリューションの開発・提供
    • JFE商事:バイオマス燃料や鉄スクラップ等の取引拡大、エコプロダクトのSCM(流通加工体制)強化等
  3. 洋上風力発電ビジネスへの取り組み(グループ全体で洋上風力発電事業化を推進)
    • JFEエンジニアリング:着床式基礎(モノパイル、ジャケット等)の製造
    • JFEスチール:倉敷地区の新連鋳機を活用した大単重厚板の製造
    • JFE商事:鋼材、加工品のSCM構築
    • ジャパンマリンユナイテッド:洋上風力発電浮体の製作および作業船の建造
    • グループ全体:リソースを最大限活用したオペレーション&メンテナンス
  1. ※1カーボンリサイクル高炉:高炉から排出されるCO₂をメタン化し、還元材として高炉に吹き込む技術
  2. ※2CCU:Carbon dioxide Capture and Utilization(CO₂回収・利用)
  3. ※3トランジション技術:カーボンニュートラル社会への移行を進める技術
  4. ※4フェロコークス:鉄鉱石の還元効率を改善し、高炉からのCO₂発生量を削減する革新的な高炉原料

CO₂を排出することなく、高品質・高機能な鉄を大量に生産できるプロセスの開発は、今後の社会の持続的な発展のためには避けて通ることのできない取り組みです。カーボンニュートラルの実現に向けたさまざまな施策を実行する上で、研究開発や新規開発設備への更新に多額のコストが発生することは避けられず、社会全体でのコスト負担のあり方の検討や政府等による支援が必要と考えています。

高い目標である「2050年カーボンニュートラルの実現」に向けて、脱炭素インフラの整備とグローバルなイコールフッティングの実現を前提としつつ、世界の競合他社に先んじて、必要な脱炭素技術を可能な限り早い時期に確立することを目指します。

JFEグループのカーボンニュートラルに向けた取り組み

TCFDに基づく情報開示

JFEホールディングスは、2019年5月27日、TCFD最終報告書の趣旨に対する賛同を表明しました。

  • G20財務大臣および中央銀行総裁の意向を受け、金融安定理事会(FSB)が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」。

気候関連のリスクと機会は中長期的に企業の財務に大きな影響を与えます。TCFDは、金融市場が不安定化するリスクを低減するために、G20からの要請で金融安定理事会が立ち上げたタスクフォースです。TCFDは、金融市場が気候関連のリスクと機会を適切に評価できるような情報開示方法を検討し、最終報告書として公表しています。


投資家等が財務上の意思決定を行うに際し、気候関連のリスクと機会が投資先の財務状況にどのような影響を及ぼすかを的確に把握していることが重要であるとの考えに基づき、組織運営における4つの中核的要素である「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」に関する情報を開示することを推奨しています。


TCFD対照表は以下をご参照ください。

ガバナンス(体制:JFEグループ)

JFEグループは、「JFEグループ企業行動指針」の中で、地球環境との共存を図るとともに、快適なくらしやすい社会の構築に向けて主体的に行動することを定めており、環境保全活動の強化や気候変動問題への対応等の「地球環境保全」は持続可能な社会を実現する上で非常に重要な課題として認識しています。


従来から取り組んできた製鉄プロセスにおけるCO₂削減や環境配慮型商品の開発と提供等の取り組みについて、円滑にPDCAを回し適切にマネジメントを推進するために、2016年度に「地球温暖化防止」をCSR重要課題(マテリアリティ)として特定しました。2021年には、重要課題に経済的な観点の項目を加えるとともに、より重要度の高い項目を選定することで、経営上の重要課題として新たに取り組みを開始しました。その中で、課題の分野に気候変動問題解決への貢献(2050年カーボンニュートラル実現に向けた取り組み)を設定し、「JFEグループのCO₂排出量削減」および「社会全体のCO₂削減への貢献」の2項目を重要課題として特定しました。


これらの取り組みについては、JFEホールディングスの社長が議長を務める「グループサステナビリティ会議」のもと、グループを横断する「グループ環境委員会」を設置し、目標の設定、達成状況のチェック、グループ全体のパフォーマンスの向上等について議論することにより、監督・指導しています。


特に気候変動問題など、経営にとって重要なテーマについては、グループ経営戦略会議で審議し、さらに取締役会への報告を行っています。取締役会は気候変動問題等の環境課題について議論することを通じ、監督しています。

取締役会で決議、または報告された気候変動問題に関する事案の例

  • TCFD最終報告書の趣旨に対する賛同表明
  • TCFD提言に沿った情報開示(シナリオ分析など)
  • 第7次中期経営計画「JFEグループ環境経営ビジョン2050」の策定
  • 2030年度のCO₂削減目標の見直しについて
  • 気候変動に関する指標の役員報酬への導入について

JFEグループの気候変動戦略

気候変動問題に関わるさまざまなリスク・機会は、JFEグループの事業戦略に以下のように統合されています。JFEグループは、2021~2024年度の事業運営の方針となる「JFEグループ第7次中期経営計画」を策定し、グループの中長期的な持続成長と企業価値の向上を実現するために、気候変動問題への取り組みを経営の最重要課題と位置付けています。そして、「環境的・社会的持続性の確保」を主要施策の一つとして掲げ、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を策定することで、気候変動問題への取り組みを事業戦略に組み込むとともに、TCFDの理念を経営戦略に反映し、気候変動問題解決に向けて体系的に取り組んでいます。シナリオ分析をはじめとするTCFD提言に沿った情報開示を進めると同時に事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、特定したリスクと機会、評価を経営戦略に反映しています。


シナリオ分析結果およびJFEグループ環境経営ビジョン2050については以下をご参照ください。


「JFEグループ環境経営ビジョン2050」では、カーボンニュートラルの実現に向けて、「鉄鋼事業のCO₂排出量削減」「社会全体のCO₂削減への貢献拡大」「洋上風力発電ビジネスへの取り組み」という3つの戦略を軸に企業活動を行っていくことを掲げています。製鉄プロセスにおいては、CO₂排出削減に向けた取り組みとともに、水資源・エネルギーの再利用に加え、環境に配慮した商品・プロセス技術の開発や資源循環ソリューションの提供を通じて積極的に環境負荷低減を推進していきます。

鉄鋼事業におけるカーボンニュートラル推進体制

ガバナンス(体制:JFEスチール)

JFEスチールが持続的に成長していくためには、グリーントランスフォーメーション(GX)の実現に向けた中長期的な戦略を立案、実行していくことが重要であり、カーボンニュートラルに関する技術開発や投資の実行・管理等に加え、グリーン鋼材の販売拡大に向けた市場形成や行政との連携強化などの諸課題に対応する必要があります。そこで、グリーントランスフォーメーションの実現に向けて全社一体となって戦略を立案、推進していくため、2024年4月にGX戦略本部を新設しました。同本部は新設するGX企画部と、技術開発を担うカーボンリサイクル開発部、新還元プロセス開発部、新溶解プロセス開発部、GXインフラ開発部で構成されます。GX企画部は、グリーントランスフォーメーションの実現に向けた中長期的な戦略やグリーン鋼材の市場形成・販売に関する戦略の立案、関連技術の総括、社内外連携および各種施策の企画推進を担っています。

JFEスチールのカーボンニュートラル推進体制

鉄鋼事業のCO₂排出量削減戦略

JFEグループは、2050年カーボンニュートラル実現に向け超革新技術の開発を含む複線的な取り組みを進めており、鉄鋼事業において、2024年度末18%、2030年度30%以上(2013年度比)のCO₂削減目標を定めています。2030年までをトランジション期、それ以降をイノベーション期と定義し、トランジション期においては、「減らす」取り組みを中心とした低炭素技術の適用拡大により2030年度のCO₂削減目標達成に向けた計画を確実に実行します。また、イノベーション期への移行準備として超革新技術の研究・開発を加速します。イノベーション期においては、当社独自技術であるカーボンリサイクル技術を適用したカーボンリサイクル高炉や直接還元製鉄法の早期実装、CCUの適用拡大等による「賢く使う」取り組みを進めます。また、地域社会やコンビナート各社と一体となった、カーボンニュートラル社会の構築に向けてCCSによる「固定化」にも取り組み、これら3つの取り組みによりカーボンニュートラルを実現します。

低炭素鉄鋼プロセスへのトランジション

当社は、2050年カーボンニュートラル実現に向け、超革新技術の開発を含む複線的な取り組みを進めています。鉄鋼事業においては、2030年までをトランジション期、それ以降をイノベーション期と定義し、トランジション期においては、既存プロセスの省エネルギー・高効率化および電気炉技術の活用等の取り組みを進めています。2030年度のCO₂削減目標達成に向けては、1兆円規模の投融資が必要な可能性を想定しており、2023年度までに約3,000億円の認可を行いました。引き続き、削減目標達成に向け、必要な投融資の認可と実行を着実に推進していきます。

JFEにおける電気炉プロセス技術の開発

JFEグループが取り組む、カーボンニュートラルに向けた既存製鉄技術の開発として電気炉プロセス技術があります。電気炉プロセスは、鉄スクラップや直接還元鉄を溶解して鉄鋼製品を製造するプロセスで、現状でもCO₂発生量は高炉-転炉法に比べ1/4程度となっています。JFEグループでは将来的に原料として水素還元鉄の利用や非化石電力を利用することにより電気炉プロセスでのCO₂発生量をゼロにすることを進めています。


このようにCO₂発生量の削減にアドバンテージを持つ電気炉プロセスですが、高炉-転炉法に比べ大きく課題となる点が2点あります。それは、一般的な電気炉の生産性は高炉-転炉法に比べ30%程度低くなる点と、原料としてスクラップを使用することから不純物濃度が不可避的に増加し高品質・高機能鋼材の製造に制約があるという点です。JFEグループではこれらの点についても技術開発を進め、かつトランジションファイナンスの活用も視野にいれ、電気炉プ ロセスにおいても高生産性でかつ高品質・高機能鋼材を生産可能な技術の確立を目指しています。超革新技術のうち、早期に実装可能な革新電炉を2027年度に改修時期を迎える倉敷高炉の代替として、いち早く実装すべく、政府支援を前提として2024年度内の投資判断、2027年度中の稼働を目指しています。


電気炉によるスクラップ利用拡大

JFEスチールは、仙台製造所の電気炉の強靭化、DX化等による能力増強対応および荷役設備増強によって、2024年度に仙台の電気炉製造能力を約14万トン/年増強することを計画しています。これにより、約10万トン/年のCO₂排出量の削減を目指します。


また、千葉地区のステンレス製造プロセスにおける電気炉の導入も決定しました。高炉溶銑の一部をスクラップに代替することで、CO₂排出量を削減することができます。スクラップの溶解能力は従来比最大約6倍になり、CO₂排出量削減効果は最大約45万トン/年を見込んでいます。


さらに、2027~2030年に改修タイミングを迎える倉敷地区の高炉を1基休止し、高効率・大型電気炉へのプロセス転換を検討しています。


還元鉄確保に向けた事業化検討

2030年までのトランジション期において、不足することが想定される国内スクラップを補い、電気炉での高品質鋼製造や、高炉法でのCO₂排出量削減のためには直接還元鉄の活用が有効と考えられます。


JFEスチールは、アラブ首長国連邦(UAE)鉄鋼最大手のEMSTEEL、伊藤忠商事(株)(以下、伊藤忠商事)との間で低炭素還元鉄のサプライチェーン構築に向けた詳細な事業化調査を実施することで合意しました。UAEに設立する合弁会社のもと2025年度下期からのUAEの立地特性を活かしたCCUSを活用(EOR)した低炭素直接還元鉄の生産を目指します。

  • EOR:Enhanced oil recovery: 原油増進回収

低炭素還元鉄のサプライチェーン確立に向けた協業体制の構築

JFEスチールは、還元鉄の活用をCO₂排出削減に向けた重要な取り組みと位置付け、伊藤忠商事、EMSTEELとともに低炭素還元鉄のサプライチェーン構築についてコアメンバーとして参画し、プロジェクト候補地をアブダビとする詳細な事業化調査を共同で推進しています。


2023年7月17日に開催された日本・UAEビジネスフォーラムの場で、岸田内閣総理大臣立ち合いのもと、伊藤忠商事、EMSTEELとAbu Dhabi Ports Group(以下、「ADPG」)とともに、低炭素還元鉄のサプライチェーン確立に向けた協業体制の構築に関する覚書を締結し、4社間で覚書の交換を行いました。


プロジェクト候補地であるアブダビの港湾管理および土地開発事業者であるADPGは10の港湾、550km2の経済・工業エリアを保有しています。今回、本プロジェクトの港湾開発および操業、土地のリース・サービス、関連のインフラ整備について、ADPGが本格的に参画することで合意しました。ADPGとの協業により、プロジェクトエリアの確保、原材料購入・製品出荷における安定的な物流体制の構築など、サプライチェーンの確立を目指していきます。

●EMSTEEL概要
会社名:EMSTEEL
代表者:HE Engineer Saeed Ghumran Al Remeithi(Group CEO)
事業内容:鉄鋼業

●ADPG概要
会社名:Abu Dhabi Ports Group
代表者:Captain Mohamed Juma Al Shamisi
事業内容:港湾運営、海運・物流事業、経済特区開発



電気炉プロセスの生産性向上対策

JFEグループでは、電気炉プロセスの生産性向上対策として環境調和型高効率電気炉「ECOARC®」を開発しグループ各社に導入しています。本技術では電気炉上部にシャフト部を設け、そこに原料であるスクラップを連続投入することにより電気炉の高温排ガスで効率的に予熱し、後段の電気炉内での高効率・高速溶解を可能としたものです。これにより電気炉での高生産性とともに、溶解エネルギー(電力)の低減を達成しています。

JFEグループではこれらの技術により業界トップクラスの生産性、溶解エネルギー(電力)の低減を達成していますが、さらなる高生産性を追求した技術開発を進めています。

実証試験の概要

電気炉の溶解電力低減および冷鉄源(スクラップや還元鉄)の高速溶解を実現するプロセスを開発します。実証試験では以下の項目を検証します。

  • 還元鉄の予熱・投入適正化方法
  • 熱付与バーナーの使用方法
  • 溶鋼撹拌の適正化方法
電気炉での研究開発項目について
電気炉プロセス製品の品質向上対策

電気炉プロセスでは、スクラップや還元鉄を原料として溶解し製品を製造します。スクラップ等から混入する銅などの不純物が増加するため、自動車用鋼板では表面欠陥や加工性の低下、電磁鋼板では特性の悪化など、材質が劣化してしまう欠点があります。そのため、JFEグループでは、混入する不純物を除去する技術と不純物による悪影響を無害化する技術の両面から、電気炉プロセス製品においても自動車用鋼板や電磁鋼板といった高品質鋼材を製造可能な技術の開発を進めています。

東日本製鉄所(千葉地区)のステンレス製造における電気炉プロセスの導入

JFEスチールは、2025年度下期(予定)に、東日本製鉄所(千葉地区)第4製鋼工場に新たにアーク式電気炉を導入することを決定しました。スクラップ溶解能力は従来比最大約6倍の約30万トン/年(予定)になり、CO₂排出量削減効果は最大約45万トン/年を見込んでいます。当社は2030年までをカーボンニュートラルに向けたトランジション期と位置付け、電気炉プロセスは有効な手段と考えて、今後も超革新技術の開発を複線的に進めてカーボンニュートラル実現に向けた着実な取り組みを推進していきます。

製鋼プロセスでのスクラップ拡大利用

JFEスチールは、環境調和型転炉溶銑予備処理プロセス「DRP®」(Double-slag Refining Process、以下、「DRP」)の導入を推進し、2021年に全地区で設備実装を完了させ、転炉でのスクラップ利用量拡大によるCO₂排出量の削減を実現しました。

「DRP」では、溶銑中の珪素(Si)を熱源として最大限活用することで、転炉でのスクラップ投入量を拡大することが可能となります。当技術の導入により溶銑配合率を従来プロセスの90%から82%に低減することができます。

当社は「DRP」を全地区に導入し、転炉でのスクラップ利用量拡大を図ったことにより、2022年度実績で、約60万トン/年のCO₂排出量削減を達成しています。今後のさらなるスクラップ利用拡大のための熱余裕拡大技術開発、および設備増強投資等を推進し、2030年度に約200万トン/年のCO₂排出量削減を目指していきます。

環境調和型転炉溶銑予備処理プロセス
「DRP®」:Double-slag Refining Process
グリーン鋼材「JGreeX®」の供給開始について
名称の由来:JFE + Green + GX

社内の関連部署から広く公募し、「JFEスチールが提供するグリーン鋼材である」と伝わりやすいことから、この名称に決定しました。


ロゴのデザインについて:

「X」の文字に矢印を組み合わせ、「カーボンニュートラル実現に向け前進していく」という意思を表現しています。

JFEスチールは、鉄鋼製造プロセスにおけるCO₂排出量を従来の製品より大幅に削減したグリーン鋼材「JGreeX®」の供給を2023年度上期から開始しました。現行技術では、直ちにCO₂排出量を大幅に低下あるいはゼロとしたグリーン鋼材の供給は難しいことから、当社のCO₂排出削減技術により創出した削減量を、「マスバランス方式※1」を適用して任意の鋼材に割り当ててグリーン鋼材として供給します。CO₂排出削減量および各製品の排出原単位については、認 証機関である日本海事協会から2022年度実績として60万トンのCO₂削減量の第三者認証を取得しています。


2023年10月に住友商事が開発するオフィスビル「(仮称)水道橋PREX」に採用されました(写真1)。本件は不動産・建築業界におけるグリーン鋼材初採用事例となりました。同年10月、欧州で製造される変圧器に採用されました。鋼材品種は方向性電磁鋼板です。「JGreeX®」初の海外受注、電磁鋼板での初採用となります。


造船向けでは採用が拡大しています。2023年12月、川崎汽船(株)が今治造船(株)にて竣工予定のウルトラマックス級ドライバルク船※2に採用が決定しました(写真2)。今回建造に使用する鋼材※3はすべて「JGreeX®」であり、グリーン鋼材のみを使用した船舶としては世界最大サイズとなります。2024年から7千トンの供給を見込み、2026年に就航予定です。また、第一中央汽船(株)が檜垣造船(株)にて竣工予定の近海船級のドライバルク船2隻にも採用が決定し、前述の川崎汽船と同じく2024年から2026年にかけて合計7千トン納入予定です。上記2件を含め、ドライバルク船への「JGreeX®」採用は合計5社、9隻に拡大し、納入数量は合計36千トン程度となる見通しです。2024年6月には、「JGreeX®」を全量使用したドライバルク船の1船目が進水しました(写真3)。檜垣造船(株)の本社工場にて命名・進水式が行われ、「BRIGHT QUEEN」と命名されました。グリーン鋼材のみを使用した船舶は世界初となります。当船は、海運会社である NYK バルク・プロジェクト(株)が、檜垣造船に建造を発注し、2023年6月に採用を決定していたドライバルク船2隻のうちの1隻目となります。また、当船は(一社)日本海事協会「環境ガイドライン※4」に従い、グリーン鋼材使用を示す記号「a-EA(GRS)※5」が船級符号として世界で初めて付記される予定です。


2024年1月には、(株)モノファクトリーの缶バッジ(写真4)に採用され、「JGreeX®」の一般消費財用途での初採用、ブリキ鋼板での初採用となります。また同年2月、シンガポール鋼材問屋のHock Seng Hoe社に「JGreeX®」販売が決まりました。同社は東南アジアで造船・建築・海洋構造物分野向けに厚鋼板を販売するシンガポール大手の鋼材問屋であり、東南アジア向け初の販売となります。同年6月、米国のITデータセンター用変圧器を製造する世界トップクラスの変圧器メーカーであるEaton Corporationに「JGreeX®」が納入されることが決定しました。米国では初採用となります。同年7月、資源循環型コンテナー(写真5:LOOPOX(ルーポックス))や物流倉庫向け(写真6: (仮称)新晴海倉庫)にも採用され、用途もますます拡大しつつあります。


サプライチェーン全体でのCO₂削減が急速に進む中、さまざまな低炭素化技術や省エネ・高効率化技術の適用拡大によりCO₂排出量のさらなる削減を実現するとともに、「JGreeX®」の供給能力拡大により社会全体の脱炭素化に貢献していきます。

  1. ※1製品製造プロセス全体のCO₂排出量の削減における環境価値を一部の鉄鋼製品に集約し、CO₂排出原単位の低い鉄鋼製品とみなすこと
  2. ※2乾貨物を大量に輸送する貨物船
  3. ※3造船会社が直接購入する鋼材
  4. ※4(一社)日本海事協会の「環境ガイドライン」
  5. ※5Advanced Environmental Awareness(GRS)の略、本年9月ごろの就航時に取得予定
写真1
写真2
写真3
写真4
写真5
写真6
ドライバルク船「JGreeX®」採用状況
海運会社 状況 関連プレスリリース
1 NYKバルク・プロジェクト 2024年6月進水 【2023年6月20日】
グリーン鋼材「JGreeX™」のドライバルク船への一斉採用決定について
2 NYKバルク・プロジェクト -
3 商船三井ドライバルク -
4 東興海運 -
5 川崎汽船 - 【2023年12月20日】
大型バルク船等へのグリーン鋼材「JGreeX®」採用決定について~海運各社とのCO2削減価値の社会分配モデルの拡大~
6 第一中央 -
7 第一中央 -
8 NYKバルク・プロジェクト -
9 NYKバルク・プロジェクト -
JGreeX®供給概要
供給開始時期 2023年度上期
2023年度以降供給可能数
対象商品
認証機関 一般財団法人 日本海事協会
鉄鋼マスバランス方式の概要
STEP.1

本方法を適用する任意の鋼材の排出原単位を算定

STEP.2

追加性ある排出削減プロジェクトを特定し、その排出削減量を確定

STEP.3

確定した削減量を財源に削減証書を発行し、証書を付与し鋼材を供給

  1. 本証明書および本証明書記載のGHG排出削減量はカーボンクレジットを表すものではなく、第三者に譲渡および販売することはできません
  2. GHG排出量算定範囲についてはScope1,Scope2,Scope3の範囲内
  3. 削減量の割り当てについては、Scope1,Scope2の範囲内

カーボンニュートラルへのイノベーション

JFEグループでは、「JFEグループ環境経営ビジョン2050」で公表した2050年カーボンニュートラルの実現を目指し、カーボンリサイクル高炉(CR高炉)、水素製鉄(直接還元)、電気炉法(高効率・大型電気炉)の開発に複線的に取り組んでいきます。なかでも、CR高炉とCCUを組み合わせることにより、高効率に大量の高品質・高機能鋼材を製造する事が可能な高炉法でCO₂が再利用でき、余剰のCO₂についても、メタノールなどの基礎化学品を製造するなどにより実質CO₂排出ゼロを目指すことができます。

カーボンニュートラルの実現に向けたNEDO製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト(GREINS)に関する実証試験

JFEスチールは日本製鉄(株)、(株)神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターとともにコンソーシアムを結成し、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)から公募された「グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト(GREINS)」を共同で受託し、2050年のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進しています。

JFEスチールは、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けた超革新技術の開発を推進すべく、カーボンリサイクル高炉をはじめとした本プロジェクトに関する実証試験の各種設備を東日本製鉄所(千葉地区)に集中して建設し、効率的な開発を推進することで、コンソーシアムメンバーと共同で超革新技術の開発を加速させます。


実証試験の実施計画内容
  • カーボンリサイクル試験高炉 (内容積 150㎥)
    2023年現地工事開始、2025年4月稼働、2026年までに実証試験完了予定
  • 水素直接還元小型ベンチ試験炉
    2023年現地工事開始、2024年下期稼働、2026年までに実証試験完了予定
  • 試験電気炉(10t 試験炉)
    2023年現地工事開始、2024年下期稼働、2025年までに実証試験完了予定

それぞれの詳細内容は、以下に紹介します。

CR高炉の技術的な特徴

CR高炉は、高炉から発生するCO₂をメタネーション技術によりカーボンニュートラルメタンに変換し、これを高炉の還元材として繰り返し利用する超革新的な高炉技術です。CR高炉およびその他の手段を用いて、通常高炉に対して50%のCO₂を削減し、CCU/CCUSを活用することによりカーボンニュートラルを目指すものです。さらに、通常高炉で吹き込んでいた空気を純酸素に換えることにより、空気に含まれる窒素の加熱に使っていたエネルギーをメタン加熱に使い、プロセスの熱効率を高めていきます。また、窒素が無くなることでCO₂の分離が容易になり、メタネーション向けにCO₂を分離する設備が小型化・効率化でき、CCUSでの効率的なガス利用が可能となります。


実証試験の概要

高炉から発生するガスに含まれるCO₂を、水素を用いてメタンに変換し、還元材として高炉で利用することでカーボンを繰り返し利用し、CO₂を削減するプロセスを開発します。実証試験では以下の項目を検証します。

  • 多量のメタンを酸素とともに吹込む操業方法
  • 循環ガスを使用する加熱バーナーの活用方法
  • 高炉ガスに含まれるCO₂をメタンに変換するメタネーション設備の連動操業方法
直接水素還元技術の開発(カーボンリサイクル直接還元プロセスの開発)

JFEグループが取り組むカーボンニュートラルに資するもう一つの製鉄技術として水素還元製鉄技術があります。水素還元製鉄技術は、現在実用化されている直接還元製鉄で用いられている天然ガスを水素に100%置き換えることによって、鉄鉱石を還元する時にCO₂を排出させないことを目指したものです。

新たな原料処理技術の開発

直接還元製鉄の原料には高品位鉱石しか使えないという問題点があります。高品位鉱石は生産量が少なく、今後世界的に直接還元製鉄が拡大していく局面では入手が困難になると予想されています。

この問題に対し、JFEスチールは鉄鉱石のサプライヤーの一つであるBHP社との協業により、生産量が大きく、現在高炉用原料として使われている低・中品位鉱石の新たな原料処理技術を開発する計画です。これにより低・中品位鉱石を直接還元製鉄用原料として戦力化し、原料ソースの拡大を目指します。

原料の予熱、水素の加熱技術の開発

水素還元の課題の一つに、水素による鉄鉱石の還元が吸熱反応であること、すなわち反応が進むためには熱を外部から与える必要があることが挙げられます。熱が不足した状態では、還元反応が十分に行われない可能性があるため、原料や水素ガスを加熱する技術を開発する必要があります。

実証試験の概要

直接還元炉から排出されるCO₂をメタネーションにより水素を用いてメタンに変換し、還元材として直接還元炉で利用することでカーボンを繰り返し利用し、CO₂を削減するプロセスを開発します。実証試験では以下の項目を検証します。

  • 排ガス中のCO₂をメタネーションによりリサイクルする最適な方法
  • 低品位鉱石の使用方法
カーボンリサイクル直接還元プロセスについて
CO₂有効利用・貯留技術の実用化

JFEスチールは、(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)と共同で、「CO₂を用いたメタノール合成における最適システム開発」の研究開発を推進しています(図1)。西日本製鉄所福山地区において2022年度より試験設備建設の現地工事を開始し、2023年度稼働、2025年度末までに一貫での実用化試験を完了予定です。低コスト型のCO₂分離と高効率メタノール合成を柱に最適な全体システムの構築を図ります。当研究開発により、カーボンリサイクル高炉などの製鉄プロセスと組み合わせた大規模CCUプロセスの実用化を目指していきます。


また、JFEスチールは、国立大学法人愛媛大学と共同で、「製鋼スラグの高速多量炭酸化による革新的CO₂固定技術の研究開発」も推進しています(図2)。東日本製鉄所千葉地区において2023年度より実用化試験設備の建設を予定しています。2022年度までにプロセス原理を確認し、2024~2025年度に試験操業を実施予定です。当研究開発により、カーボンリサイクル高炉などの製鉄プロセスや近隣の火力発電所などから発生するCO₂をスラグに固定し、CO₂固定化後のガスの熱回収技術および道路の路盤材等として利用する技術を検証していきます。


石油資源開発(株)(以下「JAPEX」)、日揮ホールディングス(株)(以下「日揮HD」)、川崎汽船(株)(以下「川崎汽船」)、中国電力(株)(以下「中国電力」)と日本ガスライン(株)(以下「NGL」)、JFEスチールは、マレーシアにおけるCCS※1の事業化に向けた、日本を起点とするCCSバリューチェーン構築を目指す共同検討(以下「本共同検討」)の覚書を締結しました。検討6社は、事業化検討と連携し、JFEスチールおよび中国電力グループが保有する日本国内の製鉄所や発電所で排出されるCO₂の分離・回収、液化CO₂のマレーシアまでの海上輸送(瀬戸内エリアでの内航輸送を含む)と受け入れ、貯留までの一連のバリューチェーン構築について、必要な設備やコストなどに係る検討を行っていきます。


JAPEX、日揮HD、川崎汽船、JFEスチール、中国電力ならびにNGLの6社は、早期のCCS事業実現に向けた本共同検討の推進を通じ、「アジア・エネルギー・トランジション・イニシアティブ(Asia Energy Transition Initiative:AETI(エイティ))※2」が目指すアジア地域の脱炭素社会の実現をはじめとする、2050年カーボンニュートラル社会の実現に貢献していきます。


また、水素調達に向けた取り組みとして、ENEOS(株)とJFEスチールは、水島コンビナート(岡山県倉敷市)におけるCO₂フリー水素の利活用に関する共同検討を開始しました。

図1
図2
  1. ※1 CCS(Carbon dioxide Capture and Storage)とは、排ガスからCO₂を回収し、地中等に貯留する技術
  2. ※2 2021年5月に日本政府が発表したアジアの持続的な経済成長とカーボンニュートラルの同時達成に向けたイニシアティブ

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CO₂有効利用・貯留技術 CCSバリューチェーン構築 マレーシアCCS共同スタディと連携した日本起点のCCSバリューチェーン構築共同検討実施にJFEスチールと合意
関西電力とJFEスチールによるCCS事業の共同検討・調査に関する覚書締結
マレーシアCCS事業化に向けた日本起点のCCSバリューチェーン構築共同検討に中国電力と日本ガスラインが新たに参加

2050年カーボンニュートラルに向けたロードマップ
出典:2022年5月6日JFEグループインベスターズ・ミーティング資料より

社会全体のCO₂削減への貢献拡大

JFEグループでは、CO₂削減に貢献するさまざまな取り組みを、エンジニアリング事業を中心に推進しています。さらに電磁鋼板など需要が拡大している分野については、各事業会社などと連携し、その効果を最大限発揮できるようグループ一丸となって取り組んでいます。

エンジニアリング事業でのCO₂削減貢献

炭素を排出しない再生可能エネルギーを利用した発電プラントの需要は今後ますます増加すると考えられます。JFEグループでは、エンジニアリング領域において、バイオマス・地熱・太陽光・陸上風力発電などの設計・調達・建設・運営を事業として展開しています。さらに、資源循環と有効活用の観点から、廃棄物処理施設でも発電量増加への取り組みを進めています。


加えて、これら再生可能エネルギーをメイン電源とした電力の小売事業、ならびに再生可能エネルギーを活用したエネルギーの地産地消に焦点を当てた「地域新電力」の設立・運営の支援や、同一企業グループ内の電力を全国の事業所・関連会社で融通する「多拠点一括エネルギーネットワークサービス(JFE-METS)」の拡大にも積極的に取り組んでいます。


カーボンニュートラルに向けた新たな取り組みとして、水素・アンモニア・CO₂等を安全かつ効率的に大量に輸送する技術や、廃棄物処理施設の排ガスからCO₂を分離・回収して利用するプロセスの実証にも取り組んでいます。


マテリアルリサイクル分野では新たに、回収したPETボトルを再生してボトルの原料とするボトルtoボトル(BtoB)や、経年劣化により廃棄される太陽光パネルの再資源化に取り組んでいます。


これらの取り組みにより、2024年度に1,200万トン/年、 2030年度に2,500万トン/年の社会全体のCO₂削減に貢献していきます。


2023年度のCO₂削減貢献に寄与する主な取り組みは、以下の通りです。

【大型バイオマス発電】
国内最大級112,000kWの木質バイオマス専焼発電所 「田原バイオマス発電所」の工事着手

JFEエンジニアリング、中部電力(株)、東邦ガス(株)、東京センチュリー(株)が共同で出資する田原バイオマスパワー合同会社は、田原バイオマス発電所の建設工事に着手しました。本発電所は、愛知県田原市に建設する、国内最大級となる発電出力112,000kWの木質バイオマス専焼発電所で、2025年9月の運転開始を予定しています。

【食品廃棄物発電】
福岡県福岡市に食品リサイクル・バイオガス発電施設を新設 ~J&T環境が食品リサイクル事業で九州地区へ初進出~

JFEエンジニアリングのグループ会社であるJ&T環境と、環境エイジェンシーの2社は、福岡バイオフードリサイクル(株)を設立し、福岡市においてバイオガス化による食品リサイクル・バイオガス発電事業を行います。本事業用に新設される工場は、一日最大100トンの食品廃棄物を受け入れ、微生物発酵により生産されるメタンガスを燃料にして発電(出力1,560kW、年間想定発電量約12,000MWh)を行うとともに、処理過程で生じた発酵汚泥や消化液を近隣農地などで二次活用を目指します。


このほかにも、2022年5月に稼働した仙台市の東北バイオフードリサイクルにおける食品リサイクル発電や、札幌市の札幌バイオフードリサイクルの能力増強に伴う新工場建設など、日本全国で食品廃棄物発電事業の拡大を行っています。

【多拠点一括エネルギーネットワークサービス(JFE-METS)】
ハウス食品グループ8社18拠点に電力融通
「多拠点一括エネルギーネットワークサービス」実施に合意~CO₂削減を推進!~

JFEエンジニアリングは、ハウス食品グループ本社(株)とJFE-METSの実施について基本合意しました。当社は、ハウス食品静岡工場にガスコジェネレーションシステムを設置するとともに、JFE-METSを用いて余剰電力と当社グループ保有電力をハウス食品グループの全国8社18拠点に供給します。本サービスにより対象拠点のCO₂排出量を約16.3%(2022年度比)、エネルギー使用量を約21.5%削減(2020年度比)できる見込みで、2024年4月に運用を開始しました。

【CCUS】
CO₂液化・貯蔵・荷役設備建設工事を受注
~CCUS社会実装に向けた長距離・大量輸送と低コスト化につながる 液化CO₂輸送システム~

JFEエンジニアリングは、日本CCS調査(株)より「CO₂液化・貯蔵・荷役設備建設工事(EPC)」を受注しました。本工事は、NEDO事業「CCUS研究開発・実証関連事業/苫小牧における CCUS 大規模実証試験/CO₂輸送に関する実証試験」で使用する設備の一部を建設するもので、関西電力(株)舞鶴発電所より供給される、石炭火力燃焼ガスから分離回収された年間1万トン規模のCO₂を液化、貯蔵し、船舶へ払い出すことができる陸上設備の設計から建設までを一貫して担います。

【PETボトルリサイクル(ボトルtoボトル)】
協栄J&T環境(株)西日本PETボトルMRセンター 全面的な商業運転開始

JFEエンジニアリングのグループ会社である協栄J&T環境は、三重県津市のPETボトルリサイクル原料製造工場(西日本PETボトルMRセンター)において2021年10月のフレーク工場の稼働に続き、2022年4月にペレット製造ラインが竣工し全面的な商業運転を開始しました。処理能力は年間60千トン(1日当たり約1,000万本)で、日本全国の総出荷本数の約10%を処理できます。

使用済みPETボトルよりフレークやペレットを製造してボトルメーカーに提供することで、再生原料100%のボトル製造に貢献し、原油由来のペレット製造と比べて約63%のCO₂削減効果が期待されます。

グループ連携によるCO₂削減貢献

JFEグループでは、各事業会社の強みを活かし、各プロジェクトを連携させることでそのシナジー効果を最大限発揮できるよう進めています。主に後述する3つのプロジェクト、①電磁鋼板の戦略に関する取り組み、②京浜臨海部における取り組み、③洋上風力発電ビジネスへの取り組みを実行中です。各社の技術、ノウハウなどを融合させたプロジェクト展開によりCO₂削減・カーボンニュートラルの実現に貢献します。

電磁鋼板の戦略

電磁鋼板はモータや変圧器等の電気機器の鉄心材料として広く用いられており、電気機器の性能を左右するキーマテリアルです。JFEスチールでは、高性能な電磁鋼板を供給することで世界的なCO₂排出削減に材料の側面から貢献しています。


【無方向性電磁鋼板 西日本製鉄所(倉敷地区)電磁鋼板製造設備の追加増強について】

カーボンニュートラル社会の実現には、これまでの化石燃料をエネルギー源とする社会から、カーボンフリー電力を主力エネルギーとする社会構造への大転換が必要です。電気自動車(EV)がモビリティの中心となり、ゼロエミッション電源が主力となる未来社会の構築には、高効率のモータが必須であり、そのキー材料として高性能の無方向性電磁鋼板が欠かせません。


当社の高級無方向性電磁鋼板は、優れた低鉄損磁気特性による高効率化と高磁束密度による小型化において、EV用駆動モータの高性能化に寄与します。この性能が評価され、多くの自動車メーカーに採用されています。今後もこのような高級無方向性電磁鋼板の需要が急速に拡大すると想定され、これに対応するため、西日本製鉄所(倉敷地区)においてその製造能力を2024年度上期に現行比2倍に増強する投資(約490億円)を実行しています。


さらに、自動車の電動化に向けた動きの加速に伴って、EVの駆動モータに不可欠な高級無方向性電磁鋼板に対する需要に一層の急伸が見込まれることから、西日本製鉄所(倉敷地区)の電磁鋼板製造能力のさらなる増強を進めています。約460億円の追加投資により、2026年度中にEV主機モータ用トップグレード無方向性電磁鋼板の製造能力を現行比3倍に増強(既投資分含む)することを目指します。

高級無方向性電磁鋼板の需要予測(当社試算、20年実績を1.0とした相対値)

【方向性電磁鋼板 JSWとの合弁会社設立】

今後も世界的な電力需要の増加と再生可能エネルギーの導入拡大が進むことで、変圧器に使用される方向性電磁鋼板の需要が増大していくと予測されており、特にインドでの方向性電磁鋼板の需要は2030年時点で2019年実績比1.8倍に増加すると想定しています。

そのため、JFEスチールとJSW Steel Limited(以下、JSW)は、インドにおける方向性電磁鋼板の合弁会社JSWJFE Electrical Steel Private Limited の設立について、2023年8月に合弁契約を締結しました。これにより、インド国内においてJSWと方向性電磁鋼板の一貫製造体制を構築し、JFEスチールが長年培ってきた、エネルギー効率に優れた方向性電磁鋼板を、高級グレードを中心としたフルラインナップにて現地で製造することで、よりグリーンな送配電インフラの整備に寄与し、インド経済の著しい成長に寄与していきます。

総投資額は両社で670百万ドルを計画し、2027年度のフル生産開始を目指して取り組みを進めていきます。

方向性電磁鋼板のインド需要予測(当社試算、19年実績を1.0とした相対値)
方向性電磁鋼板の契約締結

【電磁鋼板におけるグローバルサプライチェーンのさらなる拡大(JFE商事)】

CO₂排出の削減をはじめとした気候変動問題への取り組みにおいては、発電された電力をいかにロスなく利用するかが重要なポイントとなります。全世界の電力消費量のうち、発電所や工場、家庭などさまざまな場所で使用されているモータによる電力消費量は40~50%、日本においては約55%を占めています。仮に日本において、モータの効率を1%改善すると、50万kWクラスの大型発電1基分に相当する省エネルギーになるといわれています。脱炭素社会実現へ向けて今後普及が見込まれる電動車向けモータや、工場などの自動化に必須となる産業用モータは、さらなる高効率化および小型化による軽量化が期待されています。また、発電した電力を工場や家庭に届ける際に必要な変圧器は送配電におけるエネルギーロスを最小限にするために、さらなる高効率化を求められています。


JFE商事は、モータや変圧器の高効率化に貢献する高品質な電磁鋼板をJFEスチールや他の鉄鋼メーカーから仕入れ、お客様のニーズに合わせた加工を行った上で安定的に供給するサプライチェーンの体制を整えています。高品質な電磁鋼板を必要とするモータメーカーや変圧器メーカーなどの需要家は、グローバルに製造拠点を展開していることから、当社も日本・米州・中国・アセアンを中心に電磁鋼板のサプライチェーンを拡大しており、新たに25年度稼働開始を目指してセルビアに電磁鋼板加工拠点を設立しました。引続き、高品質な電磁鋼板の世界No.1グローバル流通加工体制の構築に向け、国内外の拠点においてプレス加工設備を増強するなど、需要を捕捉するための取り組みを着実に進めています。さらなるサプライチェーンの拡大や加工機能の深化、アライアンス企業との協業拡大などを通じて、お客様のニーズにきめ細やかに対応し、電磁鋼板加工流通分野における体制構築を充実させていきます。


関連する商品・技術一覧
社会全体のCO₂削減への貢献拡大
エンジニアリング事業でのCO₂削減貢献 大型バイオマス発電 「国内最大級112,000kWの木質バイオマス専焼発電所 「田原バイオマス発電所」の工事着手」
地域新電力 「官民連携の地域エネルギー事業への取り組み地域新電力事業の展開」(CSR報告書2022 P.116)
多拠点一括エネルギーネットワークサービス 「ハウス食品グループ8社17拠点に電力融通~CO₂削減を推進」
食品廃棄物リサイクル 「食品廃棄物リサイクル事業の取り組み」(CSR報告書2022 P.115)
「福岡県福岡市に食品リサイクル・バイオガス発電施設を新設」
カーボンニュートラル社会 「水素、CO₂輸送によるカーボンニュートラル社会実現への貢献」(CSR報告書2022 P.114)
「CO₂液化・貯蔵・荷役設備建設工事(EPC)を受注 ~CCUS社会実装に向けた長距離・大量輸送と低コスト化につながる 液化CO₂輸送システム~」
PETボトルリサイクル 「協栄J&T環境(株) 西日本PETボトルMRセンター 全面的な商業運転開始」
電磁鋼板 JNRF™ 「高速モータ用Si傾斜磁性材料 『JNRF™』を開発~高周波低鉄損と高磁束密度を両立した電磁鋼板~」
設備増強 「西日本製鉄所(倉敷地区)電磁鋼板製造設備の増強について」
「西日本製鉄所(倉敷地区)電磁鋼板製造設備の追加増強の決定について」
電磁鋼板ビジネスのサプライチェーン 「インドでの方向性電磁鋼板製造販売会社設立に関するFSの実施について」
「印JSWと方向性電磁鋼板製造販売会社設立に関する基本合意について」
「印JSWとの方向性電磁鋼板製造販売会社設立に関する合弁契約締結について」
「電磁鋼板ビジネスでのグローバルサプライチェーン構築」
自動車用高張力鋼板(ハイテン) 自動車用高張力鋼板の開発 ティッセン・クルップ・スチール・ヨーロッパ社と共同で新商品開発~自動車向け冷間加工用の新ハイテンをグローバルに提案~
冷間プレス用1.5GPa級高張力冷延鋼板が自動車の車体骨格部品に初採用

京浜臨海部におけるカーボンニュートラル化に向けた取り組み

東日本製鉄所京浜地区の高炉等休止後の土地利用転換について、JFEホールディングスは川崎市の土地利用方針に則ったJFE グループの土地利用構想を「OHGISHIMA2050」として取りまとめました。土地利用転換のコンセプトとして、カーボンニュートラルとイノベーションを実現する先進的な取り組みに挑戦するフィールドを創出することを掲げており、国の重点課題の解決に資する公共・公益性の高い土地利用への転換を図るとともに、次の100年を担う新たな産業の立地や雇用の創出を通じて、地域・社会の持続的発展に貢献する方針です。

土地利用転換後の扇島地区イメージ(2050年想定)
扇島土地利用ゾーニング
【カーボンニュートラルエネルギーゾーンにおける水素供給拠点の形成に向けた取り組み】

扇島地区先導エリアの港湾機能を活かした水素供給拠点等の導入とアクセスの飛躍的な向上をトリガーに、地区全体のカーボンニュートラル化とイノベーションを促進するゾーニング「カーボンニュートラルエネルギーゾーン」を設定しています。

JFEホールディングスは、扇島地区の大水深岸壁および後背地の活用を視野に、ENEOS(株)、(株)JERAと、水素・アンモニア等の受け入れ・供給拠点整備に向けた協業検討を2022年4月より進めています。2023年3月には、NEDOのグリーンイノベーション基金事業「大規模水素サプライチェーンの構築プロジェクト」の一環として、日本水素エネルギー(株)、ENEOS(株)が共同で取り組む「液化水素サプライチェーンの商用化実証」の液化水素受入候補地として川崎臨海部が選定され、事業者との積極的な情報交換を進めてきました。2024年7月にはJFEスチールと日本水素エネルギー(株)との間で土地利用の賃貸契約を締結し、28年度の商用実証運転の開始に向けた準備が本格的に開始されることとなりました。

JFEグループは、扇島を起点に水素等脱炭素燃料の安定的かつ経済的なサプライチェーン構築の一翼を担うことを目指し、京浜臨海部をはじめ、社会全体のカーボンニュートラル実現に貢献します。

日本水素エネルギー(株)との土地賃貸契約締結
【水江地区におけるリサイクル拠点の形成に向けた取り組み】

JFEグループでは京浜臨海部の持続的な発展につながるまちづくりを進めるべく、「売却」「賃貸」に加えて、「事業利用」を適切に組み合わせた総合的な土地マネジメントに取り組んでいます。水江地区では川崎市と連携し、首都圏における一大リサイクル拠点としての拡張整備に向けた取り組みを推進しており、その先駆けとなる事業として、JFEエンジニアリングのグループ会社J&T環境は、JR東日本等と(株)Jサーキュラーシステムを設立し、2024年4月には首都圏最大級となるプラスチックリサイクル施設「Jサーキュラーシステム川崎スーパーソーティングセンター」の建設を開始しました。施設は2025年4月からの本格稼働を予定しています。

京浜臨海部の土地マネジメントエリア

洋上風力発電ビジネスへの取り組み

日本政府が2050年までのカーボンニュートラル実現に向けた「グリーン成長戦略」の柱の一つとして位置付けた洋上風力発電について、エンジニアリング事業を主体として、JFEグループの総合力を活かして事業化に取り組んでいます。具体的には、洋上風力発電の着床式基礎(モノパイル式、ジャケット式)の製造、さらにはO&M事業を事業化し素材から基礎製造・O&Mまでグループ一貫でサプライチェーンを構築していきます。これにより、JFEグループのカーボンニュートラルに向けた取り組みの推進、さらには政府目標であるカーボンニュートラル実現に大きく貢献していきます。

  • Operation and Maintenance

EN モノパイル製造拠点の竣工

JFEエンジニアリングでは、岡山県笠岡市で洋上風力発電の基礎構造部材であるモノパイルの製造工場を製造する拠点として笠岡モノパイル製作所を完成させ、2024年4月に稼働を開始しました。モノパイルは、直径約10m、鋼板板厚100mm前後、長さ100mに及ぶ超大型鋼構造物であり、国内唯一の製作所となります。当製作所は、広大な敷地と直接出荷可能な岸壁を持つとともに、大口径用の曲げ加工機械や極厚板用の溶接機械等の最新設備の導入、津製作所での大型鋼構造物製造経験を踏まえた効率的な製造プロセスにより、生産効率を追求しました。フル稼働時は、年間最大10万トンの生産量を予定しており、洋上風力分野における国内サプライチェーンの構築、そしてカーボンニュートラル実現に大きく貢献するものと考えています。

モノパイル製造工場(笠岡製作所)の概要
建設地 岡山県笠岡市
(JFEスチール西日本製鉄所福山地区内)
投資規模 400億円程度(工場建屋、機械設備、岸壁整備等)
  • 津製作所の設備増強費含む
建設開始 敷地面積 約20ha(保管エリア含む)
生産開始 生産能力 年産8〜10万トン程度(約50セット)
出荷岸壁長 200m(岸壁全長400m) 岸壁水深 -11m
モノパイル工場建設工事の様子(2023年5月現在)

ST 洋上風力発電用大単重鋼板

JFEスチール西日本製鉄所(倉敷地区)の第7連続鋳造機で製造する大単重鋼板「J-TerraPlate®(ジェイテラプレート)」が、洋上風力発電用の基礎構造物(モノパイル)に初採用されました。


近年、洋上風力用風車の大型化とともに、それを支える基礎構造物も巨大になっています。これらの基礎構造物は極厚の厚鋼板を溶接して製造するため、溶接作業負荷が高く作業効率の向上が課題となっています。この課題解決に向けて、従来よりも大きなサイズの厚鋼板を使用することで溶接作業回数を削減することができ、作業効率の向上および製造コストの削減に貢献できます。


そのため、最新鋭の第7連続鋳造機で製造する大単重のスラブを使って、最大37トン/枚(従来は20~28トン/枚程度)のアジア最大級かつ洋上の厳しい環境で長期にわたって風車を支える高品質な「大単重鋼板」を大量に供給できるよう、厚板工場などへの設備投資を進めてきました。その結果として今回の初採用に至ったものです。

洋上風力発電用大単重鋼板の製造プロセス
モノパイル製造における大単重材のメリット
洋上⾵⼒発電ビジネスの事業化推進
  • 基礎構造物(モノパイル)製造を事業化することにより、洋上風力発電事業における先行者となり、基礎製造・O&M※1など、グループ全体でサプライチェーンを構築
  • JFEエンジニアリングを主体として、JFEグループの総合力(シナジー)を活かし、再生可能エネルギー分野での事業拡大を目指す
JFEグループ各社の技術
カテゴリー 会社 内容
基礎構造 JFEエンジニアリング 着床式基礎(モノパイル、ジャケットなど)
ジャパンマリンユナイテッド 浮体式基礎(セミサブ型)
JFEスチール 高品質・大単重厚鋼板、高強度鋼(HBLシリーズによる軽量化)
施工 ジャパンマリンユナイテッド SEP船(作業船)
JFEエンジニアリング JFE-RAPID(ケーブル敷設工法)
JFE-電力貯蔵用蓄電池システム
ジェコス 大型鋼構造物用架台
JFEスチール 天然石代替材(鉄鋼スラグ活用)
O&M
(運用および保守点検)
JFEエンジニアリング 遠隔監視・操作技術
JFEアドバンテック 振動計測機器・システム、海洋モニタリング機器(水質・海況)
ジャパン マリンユナイテッド オフショア支援船(作業船)
JFEプラントエンジ 風力発電機メンテナンス(診断・補修)
JFEテクノス 陸上風車の計画・建設・運用保守技術
JFEテクノリサーチ 腐食、疲労、振動等設備の評価解析、余寿命診断
大型構造物 強度・耐久性試験、評価技術
サプライチェーン JFE商事 洋上風力プロジェクトの案件遂行の最適化に貢献

SH 洋上風力発電向けのサプライチェーン構築

世界共通の課題である気候変動問題に対し、各国でカーボンニュートラルへの取り組みが拡大しており、日本では2050年カーボンニュートラル達成に向け2021年に策定された第6次エネルギー計画において、野心的な目標として、2030年度の温室効果ガス46%削減、電源構成の再エネ比率36〜38%、風力発電比率は2019年度の0.9%(設備容量4.5GW)に対し、5%程度(同23.6GW)という目標を掲げています。


洋上風力発電においては、2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWの案件形成を導入目標とされており、案件形成が進んでいます。また、GI基金による浮体式洋上風力発電の実証事業が選定されるなど国際競争力ある技術の大量導入に向けた取り組みも進んでいます。


JFE商事では、洋上風力発電産業が先行する台湾において、風車基礎設備を製造する現地企業と協業し、基礎設備向け鋼材サプライチェーンでの実績を積み重ねています。今後は、その知見を活かし、日本の洋上風力発電産業においても、国産化・地域経済に貢献するサプライチェーンを構築し、お客様の需要に対応することで、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

気候変動への「適応」(レジリエント社会への貢献)

防災・減災対策、国土強靭化への貢献

JFEグループは、CO₂排出量削減(気候変動の「緩和」)を目指すだけでなく、気候変動の影響に適応したレジリエントな社会にも貢献します。

ハイブリッド防潮堤や鋼製透過型砂防堰堤等で、国民の生活・経済活動に欠かせない重要インフラ等の防災・減災、強靭化に貢献していきます。


【ハイブリッド防潮堤】

ハイブリッド防潮堤は、鋼材とコンクリートのハイブリッド構造の部材によって、工期短縮・省スペースの両面で貢献します。


ハイブリッド防潮堤の特徴は、現地における防潮堤の基礎鋼管杭施工中に、JFEグループの工場で堤体ブロックを製作することにより、現地工期を約6割削減できるところです。また、施工現場で大量の資機材や人手を調達する必要がないため、他の工事を妨げることもありません。これに加え、従来の盛土構造の防潮堤と比べ、土地占有面積が約8割削減でき、省スペース化も実現しています。今後も技術を応用・発展させ、地域の防災に貢献していきます。

断面図
ハイブリッド防潮堤

【鋼製透過型砂防堰堤】

鋼製透過型砂防堰堤は、土石流をせき止めるために渓流に設置する、鋼管構造の砂防構造物です。


強固な鋼管を組み合わせることで流木や巨礫の衝撃に耐える一方、流水や土砂の通り道となる開口部を大きくしているため、洪水時に水位の上昇が上流に及ぶ「せき上げ」が発生しにくく、土石流の先頭部を確実に捕捉することができます。また、ダムのように河の流れをせき止めることもないため、河床の勾配に合わせた形状にすることにより生態系への配慮も可能です。JFEグループでは、構造の工夫などにより設置コスト削減と工期短縮化を図ることで、鋼製透過型砂防堰堤の普及拡大を進めています。

鋼製透過型砂防堰提
【テールアルメ工法】

テールアルメ工法(フランス語でテールは「土」、アルメは「補強」)は、日本に「補強土」という技術を広めたパイオニアであり、導入約半世紀で高速道路などの道路構造物や、空港・学校・防衛施設等の造成工事等、国内のインフラ整備を中心にさまざまな場面で使用されている補強土壁工法です。盛土内に鋼製の補強材を層状に敷設することで、鋼材と土との摩擦効果により垂直で強靭な構造となり、優れた耐震性を示すのが大きな特徴です。


JFE商事のグループ会社であるJFE商事テールワン(株)は、テールアルメ工法をさらに安全・安心な社会づくりに活かすべく、巨大地震などの不測の力が作用した場合の構造物の健全性を可視化するFS(フェイルセーフ)機能を開発しました。補強盛土の内部異常を可視化することで、インフラの安全性を見極め、メンテナンス時期を知らせることができます。


テールアルメ工法の普及と、防災・減災・国土強靭化に寄与するテールアルメ工法以外の商材拡販により、災害に強い道路や街づくりに貢献していきます。

国道3号線(熊本県)での施工実績
フェイルセンサー作動時
(赤色の変状サインで内部異常を可視化)

JFEグループの戦略とパリ協定との整合性

JFEグループは「JFEグループ環境経営ビジョン2050」において、カーボンニュートラル実現に向けたロードマップを策定し、短期・中期・長期のCO₂削減目標を設定しました。当社グループは、2030年までは既存の技術を最大限活用することによって脱炭素を進めるとともに、カーボンニュートラル実現に必要な超革新技術の開発を推進します。その上で、社会的インフラも整ってくる2030年代から2040年代にかけて、超革新技術を実装することで、脱炭素を加速させ、2050年のカーボンニュートラルを目指します。


日本政府(経済産業省、以下、METI)が策定・公表した「トランジション・ファイナンス」に関する鉄鋼分野における技術ロードマップにおいても、2040年代以降、水素供給インフラやCCUS等が整備されることを前提に、革新技術の導入により脱炭素を加速させ、カーボンニュートラルを実現する道筋が描かれています。なお、このロードマップは、パリ協定に基づき定められた国の排出量削減目標と整合しており、パリ協定とも整合するものです。


2022年に、当社グループは公募形式によるトランジションボンドを発行(経済産業省の「令和3年度クライメート・トランジション・ファイナンスモデル事業に係るモデル事例」に、国内製造業で初めて選定)しましたが、その評価過程で、当社グループの取り組みがMETIのロードマップと整合することが第三者機関から認証されていることから、当社グループの取り組みはパリ協定と整合したものと考えられます。

リスク管理(気候変動問題)

JFEホールディングスが持株会社として、「内部統制体制構築の基本方針」に基づきグループの包括的なリスク管理を担っています。JFEホールディングスの社長が議長を務める「グループサステナビリティ会議」を通じてグループ横断的に情報の集約と管理の強化を行い、リスクの発生頻度や影響の低減を図っています。


気候変動問題などをはじめとするESGリスクの管理についても、担当執行役員などがリスクの認識に努め、必要に応じてグループサステナビリティ会議において確認・評価し、その対処方針を審議・決定しています。特に経営にとって重要な課題については、「グループ経営戦略会議」で審議しています。


取締役会は、気候変動問題などのESGリスクやサステナビリティに関する取り組みに係る重要事項について決議し、または報告を受けています。


気候関連リスクの企業レベルでの特定・評価については、2017年にTCFDから提言されたフレームワークに従いシナリオ分析を踏まえて行っています。事業に影響を及ぼす重要な要因を選定し、より詳細な影響を分析することによって第7次中期経営計画などの事業戦略策定に活用しています。

気候変動関連リスクのモニタリング方法

「グループサステナビリティ会議」、「グループ経営戦略会議」または「経営会議」は、経営に影響を及ぼす可能性のあるリスクについてモニタリングしています。モニタリング方法としては、各事業会社の環境委員会等で審議した気候関連問題について四半期に一度報告を受けており、対策を講じています。グループ環境委員会ではリスクに関する情報の集約と管理の強化を行い、リスクの発生頻度や影響の低減を図るだけでなく、機会の最大化に取り組んでいます。

モニタリングをもとにした対策

  1. グループとしての方針審議
  2. 方針の浸透状況の監督
  3. 議題や発生した問題への対処事例などの情報共有

詳細は以下をご参照ください。

指標と目標(中長期の目標と2023年度の実績)

JFEグループは、鉄鋼事業会社であるJFEスチールが所属する日本鉄鋼連盟にて策定された、3つのエコと革新的製鉄プロセス開発を柱とする低炭素社会実行計画を推進しています。この計画では、日本鉄鋼連盟として、2030年度までに900万t-CO₂削減を目標としてきました。2020年に低炭素社会実行計画のフェーズⅠが終了し、「カーボンニュートラル行動計画」と改め、フェーズⅡ目標として2030年度のエネルギー起源CO₂排出量を2013年度比30%削減へと改訂されました。JFEスチールもこの計画の目標達成に向けて積極的な活動を推進しています。


日本鉄鋼連盟は、これらの取り組みに加え、最終的な「ゼロカーボン・スチール」の実現を目指した2030年以降の「長期温暖化対策ビジョン」を策定し公表しました。JFEスチールもこの長期ビジョンの策定に中核的な立場で参画しました。さらに、2021年に「我が国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表し、日本鉄鋼業として早期のゼロカーボン・スチールの実現に向けて、果敢に挑戦することを宣言しました。


また、JFEグループは、鉄鋼事業を取り巻く環境変化に対応すべく事業構造改革を実施していく中で、地球規模の気候変動問題の解決を通じた持続可能性の向上を目指しています。2020年を気候変動問題へのさらなる対応強化の節目の年と位置付け、「2030年度のCO₂排出量を2013年度比で20%以上削減、2050年のカーボンニュートラル実現を目指す」という鉄鋼事業におけるCO₂削減目標を掲げました。


2021年5月、JFEグループは気候変動問題への取り組みを経営の最重要課題と位置付け、「第7次中期経営計画」において2050年カーボンニュートラルの実現に向けた「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を策定し、新たなCO₂削減目標を公表しました。加えて、2022年2月には、2030年度の鉄鋼事業におけるCO₂削減目標を上方修正し、「2013年度比で30%以上の削減」を目標としました。さらに、JFEスチールの国内の主要グループ会社においてもJFEスチールと同レベルのCO₂削減目標を策定しました。国内外のグループが一丸となって気候変動問題への取り組みを事業戦略に組み込むとともに、TCFDの理念を経営戦略に反映し、CO₂排出量削減に向けた取り組みを体系的に推進していきます。

JFEグループのCO₂削減目標

第7次中期経営計画における取り組み

  • 2024年度末のCO₂排出量を2013年度比で18%削減(鉄鋼事業)
    さらに、JFEスチールの主要グループ会社においても2024年度の個別のCO₂削減目標を策定し、この確実な達成に向けて取り組むこととしました。これにより、JFEスチールグループ全体のCO₂排出量の99%以上をカバーしています。
  • 2030年度のCO₂排出量の削減目標:2013年度比で30%以上(鉄鋼事業)

2050年カーボンニュートラルに向けた取り組み

  • 鉄鋼事業のCO₂排出量削減
    • カーボンリサイクル高炉+CCUを軸とした超革新技術開発への挑戦
    • 水素製鉄(直接還元)の技術開発
    • 電気炉プロセス技術の開発
  • エンジニアリング事業の社会全体のCO₂削減への貢献拡大
    • CO₂削減貢献量目標2024年度1,200万トン、2030年度2,500万トン
  • 洋上風力発電ビジネスへの取り組み
    • 洋上風力発電事業についてグループ全体で事業化を推進

JFEグループのCO₂排出量

JFEグループのCO₂排出量推移

  • ※集計範囲:JFEスチール、国内外主要子会社26社
    JFEエンジニアリング、国内外主要子会社11社
    JFE商事、国内外主要子会社35社
    総計75社
  • JFEスチールの非エネルギー起源CO₂排出量を含む
  • 2018年度からJFEスチール子会社およびJFEエンジニアリング子会社の非エネルギー起源CO₂も含む
  • 2013年度は、JFE条鋼 仙台製造所のデータを加えて算出
  • 2021年度より、JFEスチール、JFEエンジニアリング、JFE商事の主要子会社の集計範囲を拡充

JFEグループのScope3排出量(2023年度)

  • ※集計範囲:〈カテゴリー1,2,3,4,5〉JFEスチール、JFEスチール国内主要子会社21社、JFEエンジニアリング、JFEエンジニアリング主要子会社1社、JFE商事
    〈カテゴリー6,7〉JFEスチール、JFEスチール国内主要子会社21社、JFEエンジニアリング、JFEエンジニアリング国内外主要子会社12社、JFE商事
    〈カテゴリー15〉 ジャパンマリンユナイテッド、JFEスチールの持分法適用会社10社(国内7社、海外3社)
  • ※出典:環境省グリーン・バリューチェーンプラットフォーム等

CO₂排出関連の定量データは以下をご参照ください。

ST 省エネルギーとCO₂削減への取り組み

JFEスチールでは、従来から⾼効率設備の導⼊などを中⼼に、エネルギー使⽤量およびCO₂排出量の削減に向けた活動を積極的に推進してきました。

ST 2023年度の省エネルギーとCO₂排出量実績

JFEスチールの粗鋼生産量推移

  • 2013年度は、JFE条鋼 仙台製造所のデータを加えて算出

JFEスチールのエネルギー消費量・原単位推移

  • 2013年度は、JFE条鋼 仙台製造所のデータを加えて算出

JFEスチールのエネルギー起源CO₂排出量・原単位推移

  • 2023年度の購入電力のCO₂排出係数:日本鉄鋼連盟のカーボンニュートラル行動計画における2022年度購入電力のCO₂排出係数
  • 日本鉄鋼連盟のカーボンニュートラル行動計画における2022年度購入電力のCO₂排出係数を適用しているため、2022年度数値を更新
  • 2013年度は、JFE条鋼 仙台製造所のデータを加えて算出

EN 事業を通じたCO₂排出削減への取り組み

JFEエンジニアリングでは、再生可能エネルギー発電の拡大、プラスチックや食品リサイクルの建設・運営など、事業を通じた社会全体のCO₂排出削減への貢献を進めており、2023年度は1,153万t-CO₂のCO₂排出削減(2022年度比3%貢献拡大)に貢献しました。今後もさらに事業拡大を進め、2024年度に1,200万トン、2030年度に2,500万トンのCO₂排出削減に貢献することを目指しています。


また、2021年度より順次、横浜本社へのオンサイト型太陽光PPAおよびゼロエミプラン電源の導入、津製作所へのCO₂低排出電力の導入などを行い、2023年度は自社CO₂排出量を28%削減(2013年比)しました。あわせて、製作所およびオフィスにおける省エネルギー活動や廃棄物発生削減の取り組みを推進しています。今後も、使用電力への再エネ電源の活用などを含め、省資源・環境に配慮した事業活動に取り組んでいきます。

JFEエンジニアリングのCO₂削減貢献相当量(2023年度)

  1. ※1 集計範囲:JFEエンジニアリング
  2. ※2 集計範囲:JFEエンジニアリング、ドイツの子会社スタンダードケッセル・バウムガルテ(SBG)
  3. ※3 集計範囲:J&T環境、JFEアーバンリサイクル
  4. ※4 その他:消化ガス、地熱、太陽光、風力、廃熱回収、燃料転換、エネルギーサービス、ロジスティクス商品

JFEエンジニアリンググループのエネルギー起源CO₂排出量推移

  • ※集計範囲:JFEエンジニアリング、国内外主要子会社11社
  • 2021年度より、JFEエンジニアリングの主要子会社の集計範囲を拡充

SH 環境方針に基づくエネルギー削減の取り組み

JFE商事では、2001年に策定した環境方針のもと、エネルギー削減の一環として紙使用量の削減、電力使用量の削減、廃棄物の分別管理の徹底等の取り組みを継続的に実施しています。


紙使用量の削減については、再生紙の利用継続、モノクロ印刷や両面印刷の徹底、会議資料のペーパーレス化の推進等により、従業員一人あたりの紙使用量は減少傾向にあります。電力使用量の削減については、オフィスリニューアルによる人感センサー照明・省エネ機器の導入や、定時退社デーの実施、RPA化等の推進による業務効率化等により環境負荷の低減を図っています。


また、国内事業会社では、太陽光パネルの設置や再エネ由来の電力調達によるCO₂排出量削減を目標として設定しており、2023年2月より発電開始したJFE商事コイルセンター静岡事業所に加えて、2023年10月より厚板加工グループ会社である栃木シャーリングにおいても太陽光パネルの設置による再エネ電力の調達を開始しました。この取り組みに加え、使用する電力の低減に継続して取り組んだことにより、2023年度は国内事業会社のCO₂排出量を20.7%削減(2019年度比)しました。

  • 当社調べ

JFE商事の電力使用量推移

JFE商事グループのCO₂排出量(2023年度)

  • ※集計範囲:JFE商事、国内外鋼材加工会社35社の電力使用によるCO₂排出量