政策エンゲージメント

鉄鋼業界の中での取り組み

日本鉄鋼連盟での活動

長期温暖化対策

JFEスチールは日本鉄鋼連盟の中で主体的にさまざまな活動を行っています。日本鉄鋼連盟は、2020年を目標年次とする低炭素社会実行計画(2021年度からカーボンニュートラル行動計画に改訂)の達成に向けたこれまでの取り組みに加え、2018年11月には2030年以降の「長期温暖化対策ビジョン」を策定し、公表しました。JFEスチールもこの長期ビジョンの策定に中核的な立場で参画しました。「長期温暖化対策ビジョン」は、鉄鋼製造における2℃シナリオの達成とともに、1.5℃シナリオへの超革新技術の必要性を示したもので、最終的な「ゼロカーボン・スチール」への挑戦を意味するものです。さらに、日本鉄鋼連盟では、2021年2月15日、「我が国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表し、日本鉄鋼業として早期のゼロカーボン・スチールの実現に向けて、果敢に挑戦することを宣言しました。

日本鉄鋼連盟「カーボンニュートラル行動計画」

日本鉄鋼連盟は、2021年2月に日本鉄鋼業としてカーボンニュートラルの実現に向けて果敢に挑戦することを表明し、低炭素社会実行計画を「カーボンニュートラル行動計画」と改め、フェーズⅡ目標(2030年度目標)を改訂しました。


「エコプロセス」では、既に世界最高水準にあるエネルギー効率のもとで、これまで進めてきたBATの最大導入だけでなく、冷鉄源の活用などの新たな視点を加味した高い野心度の2030年度目標を設定しました。


「エコプロダクト」による製品使用段階の削減については、特に政府グリーン成長戦略の14分野にも位置付けられている洋上風力や自動車の電動化等の推進において、高機能鋼材が果たす役割は大きいと考えられるため、従来の5品種の定量評価に加えて、こうした貢献を見える化することで、世界を俯瞰した実効的な温暖化対策を日本主導で加速させていきます。


「エコソリューション」では、今後の鉄鋼生産の拡大が見込まれるアジア地域における鉄鋼生産プロセスの脱炭素化技術移転・普及に向け、適切な技術導入が行われるための仕組みづくりも含めた活動を展開していきます。


さらに「革新的技術開発」では、COURSE50やフェロコークスに加え、グリーンイノベーション基金のもと、直接水素還元や電気炉による高機能鋼材製造技術等にもチャレンジしていきます。

「カーボンニュートラル行動計画」の全体像
【エコプロセス】

BATの導入等による省エネの推進、廃プラスチックの活用、2030年頃の実機化を目途に現在開発中の革新的技術の導入、その他CO₂削減に資する原燃料の活用等により、2030年度のエネルギー起源CO₂排出量(総量)を2013年度比30%削減する。


【エコプロダクト】

高機能鋼材の国内外への供給により、社会で最終製品として使用される段階においてCO₂削減に貢献する。定量的な削減貢献を評価している5品種の鋼材について、2030年断面における削減ポテンシャルは約4,200万t-CO₂と推定。


【エコソリューション】

日本鉄鋼業の優れた省エネ技術・設備の世界の鉄鋼業への移転・普及により、地球規模でCO₂削減に貢献する。2030年断面における日本の貢献は約8,000万t-CO₂と推定。


【革新的技術開発】

カーボンニュートラル実現に向け以下4テーマの技術開発に果敢に挑戦する。

  • 所内水素を活用した水素還元技術等の開発
  • 外部水素や高炉排ガスに含まれるCO₂を活用した低炭素技術等の開発
  • 直接水素還元技術の開発
  • 直接還元鉄を活用した電炉の不純物除去技術開発

カーボンニュートラル行動計画(フェーズⅡ)の2022年度実績評価(日本鉄鋼連盟)

2022年度のエネルギー起源CO₂排出量(総量)は、1億5,023万トンとなり、2013年度に比べて4,420万トン、22.7%減となりました。2030年度目標(2013年度比30%削減)に対する達成率は75.8%まで進捗しています。エネルギー起源CO₂排出量、エネルギー消費量ともに減少傾向にあり、その背景として省エネ努力の推進等が引き続き実施されたこと等が挙げられます。


日本鉄鋼業のエネルギー効率はすでに世界最高水準にありますが、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金による省エネルギー事業など、さらなる省エネの推進等に意欲的に取り組んでいます。

高機能鋼材の供給によるCO₂排出量削減への貢献(エコプロダクトの成果)

日本鉄鋼連盟では高機能鋼材の使用によるCO₂削減貢献を推定しています。自動車、変圧器、船舶、発電用ボイラー、電車に用いられる代表的な高機能鋼材5品種の国内外での使用※(2022年度生産量436万トン、粗鋼生産比5.0%)によるCO₂削減量は、2022年度断面で3,479万トン(国内1,089万トン、海外2,390万トン)と推定しています。

  • (一財)日本エネルギー経済研究所による試算
  • 自動車用鋼板、方向性電磁鋼板、船舶用厚板、ボイラー用鋼管、ステンレス鋼板の5品種
  • 国内は1990年度から、輸出は自動車および船舶が2003年度から、ボイラー用鋼管は1998年度から、電磁鋼板は1996年度からの評価
高機能鋼材5品種の国内外での使用によるCO₂削減量(2022年度)

関連リンク

経済界の中での取り組み

グリーン/トランジションファイナンスの取り組み

JFEホールディングスは、グリーン/トランジションファイナンス・フレームワークを策定し、2022年に、公募形式によるトランジションボンドを発行しました(経済産業省の「令和3年度クライメート・トランジション・ファイナンスモデル事業に係るモデル事例」に、国内製造業で初めて選定)。カーボンニュートラルの実現に向けては、今後長期にわたって設備投資や研究開発投資に、多額の資金が必要となってきます。トランジション・ファインナンスには引き続き取り組み、資金調達手段の多様化につなげていきます。

「トランジションファイナンス」に関する鉄鋼分野における技術ロードマップ策定

日本政府(経済産業省、以下、METI)が策定・公表した「トランジション・ファイナンス」に関する鉄鋼分野における技術ロードマップにおいては、2040年代以降、水素供給インフラやCCUS等が整備されることを前提に、革新技術の導入により脱炭素を加速させ、カーボンニュートラルを実現する道筋が描かれています。この策定にあたっては、策定検討会の専門委員メンバーとして、JFEスチール手塚専門主監が日本鉄鋼連盟エネルギー技術委員会委員長として参加しました。なお、このロードマップはパリ協定に基づき定められた国の排出量削減目標と整合しており、パリ協定とも整合するものです。

グリーン/トランジションファイナンス・フレームワーク

JFEグループが策定した本フレームワークは、国際資本市場協会(ICMA)が定める「グリーンボンド原則 2021」、ローン・マーケット・アソシエーション(LMA)、アジア太平洋ローン・マーケット・アソシエーション(APLMA)およびローン・シンジケーション&トレーディング・アソシエーション(LSTA)が定める「グリーンローン原則 2023」、環境省が定める「グリーンボンドガイドライン(2022年版)」、「グリーンローンガイドライン(2022年版)」、ICMAが定める「クライメート・トランジション・ファイナンス・ハンドブック 2023」および「金融庁・経済産業省・環境省クライメート・トランジション・ファイナンスに関する基本指針(2021年5月)」に基づき策定しました。またJFEグループの取り組みがMETIのロードマップと整合することが第三者機関から認証されていることから、JFEグループの取り組みもパリ協定と整合したものとなります。

グリーンイノベーション基金事業の採択状況

JFEグループでは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業を最大限に活用し、業界各社と協力して、カーボンニュートラルへの課題開発に向けた研究開発・技術開発を推進しています。JFEスチールは「製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト(GREINS)」、JFEエンジニアリングは「廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現」および「洋上風力発電の低コスト化」のテーマに取り組んでいます。

製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト(GREINS)

JFEスチールは日本製鉄(株)、(株)神戸製鋼所、一般財団法人金属系材料研究開発センターとともにコンソーシアムを結成し、「製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト(GREINS)」(事業規模約5,737億円※1)を共同で受託し、4社合計で約4,499億円規模※2の支援を受けて、2050年のカーボンニュートラルに向けた取り組みを推進しています。

  1. ※1出典:NEDO製鉄プロセスにおける水素活用プロジェクト(GREINS) 事業概要資料(2024年5月24日)
  2. ※2インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり
COURSE50

所内水素を活用した水素還元技術等の開発では、水素還元、高炉ガスからのCO₂分離回収により、CO₂を約30%削減。2030年頃までに1号機の実機化、2050年頃までの普及を目指しています。その中でJFEスチールでは、微粉炭・還元ガスの燃焼挙動の検討、全体プロセス評価を担当しています。

  • 事業規模:約727億円※1、支援規模:約436億円※2(4社合計額)
  1. ※1事業規模は支援規模と補助率より計算
  2. ※2インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり
カーボンリサイクル試験高炉

外部水素や高炉排ガスに含まれるCO₂を活用した低炭素化技術等の開発では、2030年までに、中規模試験高炉(実炉の1/5規模以上)において、外部水素や高炉排ガスに含まれるCO₂を活用した低炭素技術の開発に加え、バイオマスや還元鉄などを一部原料として活用するなど、あらゆる低炭素化技術を組み合わせることにより、高炉法において製鉄プロセスからCO₂排出を50%以上削減を実現する技術を実証します。その中でJFEスチールでは、カーボンリサイクル高炉操業技術開発、要素技術開発、全体プロセス評価・検討に取り組んでいます。

  • 事業規模:約2,853億円※1、支援規模:約2,386億円※2(4社合計額)
  1. ※1事業規模は支援規模と補助率より計算
  2. ※2インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり
水素直接還元小型ベンチ試験炉

直接水素還元技術の開発では、2030年までに、低品位の鉄鉱石を水素で直接還元する技術により、中規模直接還元炉(実炉の1/5規模以上)において、現行の高炉法と比較してCO₂排出を50%以上削減を達成する技術を実証します。その中でJFEスチールは新規ベンチ試験機を用いた還元炉の操業変動とメタネーション反応の広範囲な特性検証、還元粉化、クラスタリング抑制と還元率を両立するガス組成検討と高精度機器による組織観察評価、ガス組成と還元鉄脈石・加炭量の見極め、形状・成型最適化に取り組んでいます。

  • 事業規模:約1,369億円※1、支援規模:約1,141億円※2(4社合計額)
  1. ※1事業規模は支援規模と補助率より計算
  2. ※2インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり
試験電気炉

直接還元鉄を活用した電炉の不純物除去技術開発では、2030年までに、低品位の鉄鉱石の水素直接還元鉄を活用した電炉プロセスにおいて、自動車の外板等に使用可能な高級鋼を製造するため、大型電炉一貫プロセス(処理量約300トン規模)において、不純物(製品に影響を及ぼす成分)の濃度を高炉法並み(リン150ppm、窒素40ppm以下)に制御する技術を実証します。その中でJFEスチールは10トン規模の小型試験電気炉を用いた新規熱源、冷鉄源予熱の評価・検討、および3トン規模の炉外精錬炉を用いた溶鋼脱リン、脱窒素の技術開発に取り組んでいます。

  • 事業規模:約404億円※1、支援規模:約306億円※2(4社合計額)
  1. ※1事業規模は支援規模と補助率より計算
  2. ※2インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり

廃棄物・資源循環分野におけるカーボンニュートラル実現

環境省の「廃棄物・資源循環分野における2050年温室効果ガス排出実質ゼロに向けた中長期シナリオ(案)」では、複数の想定シナリオに基づいて将来のGHG排出量や廃棄物処理量の見通しが示されており、3R(リデュース、リユース、リサイクル)+熱回収を最大限促進し、廃棄物処理施設の広域化・集約化を進めたとしても、熱処理(焼却・熱分解)による相当な量の廃棄物の処理が引き続き必要であり、メタン発酵などによる生ごみの有効処理が必要であると示されています。また、資源循環の重要性の高まりを受けて、3Rや素材の転換が一層促進されることで、廃棄物はバイオマス由来が支配的となっていくことが想定されています。従来、CO₂を大気放出する焼却などが中心だった廃棄13物・資源循環分野は、同分野からのGHGの排出量を削減し、カーボンニュートラルを目指すとともに、産業界全体へのバイオマス由来炭素の主要な供給源として、処理システムを大きく変革していく必要があります。しかし、廃棄物は地域、季節、天候によって量や性状(成分、熱量、含水率など)が常に変動するため、安定的・効率的に炭素の回収・利用ができず、他分野における炭素回収の技術などをそのまま活用することが困難です。これらの課題を解決し社会実装につなげるため、本テーマの中で、JFEエンジニアリングでは、積水化学工業(株)とともに、ガス化改質と微生物を用いたエタノール製造による廃棄物ケミカルリサイクル技術の開発に取り組んでいます。

  • 事業規模:約347億円、支援規模:約237億円(2社合計額)
  • インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり

洋上風力発電の低コスト化

今後、急拡大が見込まれる洋上風力発電市場を獲得するためには、浮体式洋上風力発電設備を低コストに量産化する技術を確立することが不可欠です。このため経済産業省およびNEDOではグリーンイノベーション基金のプロジェクトとして、浮体式洋上風力発電の商用化を目的に、要素技術開発に加えて、システム全体として関連要素技術を統合した浮体式洋上風力発電実証事業を実施することとしました。本プロジェクトではNEDOから全体で約850億円※規模の支援を受け、2024年度~30年度に実行される計画です。この事業には、JFEエンジニアリングおよびジャパンマリンユナイテッドも参加し、洋上風力発電の低コスト化を実現すべく、取り組んでいます。

  • インセンティブ額を含む。今後ステージゲートで事業進捗などに応じて変更の可能性あり

GXリーグへの参画

経済産業省は、GXに積極的に取り組む企業群を募り、官・学・金で協力してGXに向けた挑戦を行い、経済社会システム全体の変革のための議論と新たな市場創造のための実践を行う場として「GXリーグ」を設立しました。JFEグループとしての気候変動問題の取り組みの方向性が「GXリーグ」の趣旨に合致するものと考え、JFEスチールは設立当初より「GXリーグ」に参画しています。


JFEスチールは、GXリーグ内の活動として、2023年3月より「グリーン商材の付加価値付け検討WG」に主体的に参加し、2023年12月に「グリーン商材の付加価値付けに関する提言書」を公表しました。本提言書では、企業が脱炭素投資を進めるにあたっては自社の取り組みにより実現した排出削減量の価値化と当該価値がグローバル市場において認知されることが極めて重要であるとの認識のもと、グリーン商材の高付加価値化の指針案と当社JGreeX®の取り組みを含む先行事例を示すとともに、商材のグリーン価値に関する計測・算定手法、効果的な配分方法、経済活用の方法などを紹介しています。


また、本提言書の考え方を踏まえて2024年3月に経済産業省より公表された「産業競争力強化及び排出削減の実現に向けた需要創出に資するGX製品市場に関する研究会 中間整理」において、新たなGX価値として「削減実績量」が提唱されました。

GX推進機構への出資

脱炭素成長型経済構造移行推進機構(以下、GX推進機構)は、経済産業省が2024年4月に設立を認可した、脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(GX推進法)に定める認可法人です。今後10年間で150兆円超のGX投資を実現するため、GX推進機構は、債務保証等の金融支援、排出量取引制度の運営、化石燃料賦課金等の徴収を行います。JFEホールディングスは、GX推進機構の設立に際し、出資を行いました。

政府への政策提言活動

第8回GX実行会議

日本政府はGX(グリーントランスフォーメーション)を通じた脱炭素、エネルギー安定供給、経済成長の3つを同時に実現するための「GX実現に向けた基本方針」を2023年2月に閣議決定し、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)を同年7月に閣議決定しました。これに基づいたGXに向けた脱炭素の取り組みである「成長志向型カーボンプライシング構想」の実現・実行が進められています。


JFEスチールの北野社長(当時日本鉄鋼連盟会長)は、2023年11月に行われた第8回のGX実行会議において、日本鉄鋼業界のカーボンニュートラルに向けた取り組みを説明し、巨額な研究開発費用や膨大な設備投資費用に対して欧米中の支援に劣後しない長期的な政府の支援措置、革新プロセスへの転換や非化石原燃料、電力などのオペレーションコストの増加に対する長期的な政府の支援措置、環境価値の高いグリーン鋼材の需要形成に向けた公共調達などの調達支援による需要喚起措置の必要性を強く訴えるとともに、産業用電力価格の国際競争力の確保、および新たなインフラとなる水素のサプライチェーン構築ならびにCCSスキーム構築への支援を訴えました。

第56回総合資源エネルギー調査会基本政策分科会

第7次エネルギー基本計画の策定に向けて2024年6月6日に開催された「第56回 総合資源エネルギー調査会基本政策分科会」において、JFEホールディングスの北野社長は、「JFEスチールの脱炭素実現に向けたエネルギー政策課題」をテーマに、グリーン鋼材の普及に向けた政策やGXに関わる事業環境の予見性を高めるためのエネルギー政策について提言を行いました。北野社長は、倉敷地区で検討を進めている革新電気炉へのプロセス転換について、政府支援を前提として今年度中に投資判断する方針を明らかにし、既存電気炉では製造し得なかった高品質グリーン鋼材の大量生産体制を構築すること、日本製造業のグリーン分野における国際競争力向上には設備投資・オペレーションコスト支援措置に加え、グリーン鋼材の普及に向けた政策が必要であること、脱炭素電源のほか、水素・アンモニアなどの非化石燃料の供給インフラの整備が課題であり、政府による積極的な政策展開が必要であること、さらに脱炭素を日本経済復活のチャンスとするためにGX国家戦略として政府主導で推進する必要があることを強調しました。

外部イニシアチブ等への参画・講演実績

TCFDコンソーシアム

TCFDコンソーシアムは、TCFD提言へ賛同する企業等が一体となって、取り組みを推進し、企業の効果的な情報開示や、開示された情報を金融機関等の適切な投資判断に繋げるための取り組みについて議論する場として設立されました。JFEホールディングスはTCFD最終報告書の趣旨に賛同するとともにこのコンソーシアムにも参画しています。

SPEED研究会

SPEED(Special Project on Eco-innovation and Eco-business for Sustainable Development)研究会は、産学官および外国との交流を通じてエコイノベーション、エコビジネスの進歩と発展を図ることを目的とした研究会です。JFEホールディングスは、この研究会に参画し、行政・大学・研究機関・各企業との情報共有や意見交換などの活動をしています。

EN 日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)

JFEエンジニアリングは日本気候リーダーズ・パートナーシップ(JCLP)に加盟しています。JCLPは、持続可能な脱炭素社会の実現には産業界が健全な危機感を持ち、積極的な行動を開始すべきであるという認識のもとに2009年に発足した、日本独自の企業グループです。脱炭素社会への移行を先導することで、社会から求められる企業となることを目指しています。JFEエンジニアリングは、JCLPが運営する企業間の知見共有と協働を促すためのプラットフォームである「脱炭素コンソーシアム」へ参加し、既に脱炭素の取り組みで先行している企業の知見を共有し、加盟企業同士のコラボレーションや新しいソリューションを生み出す活動に取り組んでいます。

SH 国連グローバルコンパクト

JFE商事は2021年、国連が提唱する世界最大のサステナビリティイニシアチブである「グローバル・コンパクト」に署名し、支持を表明いたしました。持続可能な社会の実現に向けて、グローバル・コンパクトが掲げる10原則の遵守と実践、SDGs推進に取り組んでいきます。また、当社はグローバル・コンパクトの日本のローカル・ネットワークである「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」の会員企業としても活動しています。当社はマテリアリティとして「気候変動問題解決への貢献」を掲げ、CO₂排出量の削減を進めています。当該団体の参画企業における脱炭素に向けた取り組みを参考に、JFEグループおよび社会全体のCO₂排出量削減への取り組みを推進しています。

講演実績

JFEグループの気候変動に対する取り組みを広く知ってもらうために、さまざまな場において積極的に講演活動を実施しています。

  • テーマ名 「カーボンニュートラルに向けたJFEスチールの取り組みと課題」
    イベント名 岡山県経営者協会・岡山県音楽文化協会 合同総会(主催:岡山県経営者協会)
    開催
    講演者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • テーマ名 “Chain of custody approaches in the steel sector. The role of GHG reduction certificates”
    公表サイト worldsteel ASSOCIATION(世界鉄鋼協会)、Climate action, chain of custody
    公表日
    URL https://worldsteel.org/climate-action/chain-of-custody/
  • テーマ名 カーボンニュートラルに向けたJFEスチールの取り組みと課題
    イベント名 気候変動の課題解決に取り組む学生ワークショップ(主催:気候変動の課題解決に取り組む学生ワークショップ実行委員会(実行委員長:高村ゆかり 東京大学未来ビジョン研究センター教授)、共催:環境省、東大、東工大、九大、慶大他)
    開催
    講演者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • イベント名 ラウンドテーブル“IRA and GX Strategy: U.S.-Japan Partnership for a Net-Zero World.”
    主催 The U.S. Embassy in Tokyo, the U.S. -Japan Council, and the Institute of Energy Economics, Japan
    開催
    講演者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • テーマ名 「JFE Steel Carbon Neutral Strategy briefing - JFE's Approach for Green Steel -」
    主催 Low-Carbon Transition for the Built Environment(主催:IES/IStructE Joint Committee(技術者協会)、NUS(シンガポール国立大学))
    開催
    講演者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • テーマ名 「JFEグループにおけるカーボンニュートラル戦略」
    イベント名 TECH+フォーラム製造業-脱炭素 Day 2024 Feb.(主催:(株)マイナビ TECH+セミナー事務局)
    開催
    講演者 北島誠也(JFEホールディングス常務執行役員)
  • テーマ名 「JFEグループにおけるカーボンニュートラル戦略」
    イベント名 第16785回JPI特別セミナー(主催:日本計画研究所)
    開催
    講演者 北島誠也(JFEホールディングス常務執行役員)
  • テーマ名 「カーボンニュートラルに向けたJFEスチールの取り組みと課題」
    イベント名 素材産業のカーボンニュートラルフォーラム(主催:(株)矢野経済研究所)
    開催
    講演者 鷲見郁宏(JFEスチールGX企画部地球環境チームリーダー)
  • テーマ名 「JFEグループにおけるカーボンニュートラル戦略」
    イベント名 第2回おかやまグリーン成長支援セミナー(主催:(公財)岡山産業振興財団)
    開催
    講演者 末藤典昭(JFEホールディングス企画部長)
  • テーマ名 「鉄鋼業界におけるエネルギー・環境先端技術と地球温暖化対策」
    イベント名 東京工業大学 科学技術特論 - Advanced Science and Technology in Energy and Environment
    開催
    講演者 鷲見郁宏(JFEスチールGX企画部地球環境チームリーダー)
  • テーマ名 「グリーン商材の付加価値付け検討WG」最終報告書
    会議体 GXリーグ
    公表日
    発表者 経済産業省
    URL https://gx-league.go.jp/news/2023120401/
  • テーマ名 「マスバランス方式を適用したグリーンスチールに関するガイドライン」
    公表サイト 鉄鋼業界の取組 グリーンスチール(日本鉄鋼連盟)
    公表日
    URL https://www.jisf.or.jp/business/ondanka/kouken/greensteel/documents/2023_greensteel_guideline.pdf
  • テーマ名 JFE Group Environmental Vision for 2050 - JFE's Approach for Green Steel -
    イベント名 GGX×TCFD Summit
    開催
    発表者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • 記事名 「基盤素材「鉄」のカーボンニュートラル 製造プロセス転換を本格化」(9月号掲載)
    「国内初、洋上風力発電のモノパイル製造 グループのシナジーを最大限発揮して」(11月号掲載)
    掲載誌 隔月刊地球温暖化 連載 “paint a future”(発行元:日報ビジネス株式会社)
    記事作成 日報ビジネス株式会社、聞き手:小西雅子氏(WWFジャパン)
    URL https://www.wwf.or.jp/activities/data/20230929_climate01.pdf(9月号)
    https://www.wwf.or.jp/activities/data/20231125climate01.pdf(11月号)
  • 記事名 鉄鋼材料のLCA評価とCO₂削減に向けた取り組み
    掲載誌 化学工学、Jun 2024、vol.088
    執筆者 渡壁史朗(JFEスチールGX企画部地球環境チーム)

グローバルでの業界の取り組み

世界規模での地球環境温暖化防止

WSA Climate Action data collection programme認定証

ISO14404シリーズは、日本鉄鋼連盟が国際標準化機構(ISO)に提案して国際標準化した鉄鋼CO₂排出量・原単位の計算方法です。日本鉄鋼業は、ISO14404を用いて途上国での製鉄所診断を行い、インド、アセアン地域に最適な技術カスタマイズドリストを提案することで地球規模での温暖化防止を進める活動(エコソリューション)を官民一体で進めています。また、複雑な設備構成の製鉄所にも適用可能なISO14404シリーズのガイドライン国際規格の開発を経済産業省の支援をいただきながら進めています。


JFEスチールも日印鉄鋼官民協力会合、日ASEAN鉄鋼イニシアチブ、日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会などに積極的に参加しています。また、ISO14404に基づいて計測・算出する世界鉄鋼協会(WSA:World Steel Association)のClimate Action data collection programmeのメンバーとして地球規模でのCO₂排出削減にも協力しています。

WSA Climate Action data collection programme ~鉄鋼材料のLCAの環境負荷算出に貢献~

鉄鋼材料のライフサイクルの概念図

製品が社会に及ぼす真の環境負荷を評価するためには、その対象となる製品の資源採掘や素材製造、生産からその製品の使用、廃棄までのライフサイクル全体にわたって環境負荷などを定量化、評価する必要があります。この手法としてLCA(Life Cycle Assessment)があります。


自動車や建造物などの最終製品が社会での寿命を終えた後も、それらに使われる鉄鋼材料はすべてリサイクル・再利用されるクローズド・ループ・リサイクル(鉄が何度でも何にでも再生されるリサイクル)が可能であるという優れた特長を持っています。この特徴を反映したライフサイクル全体での鉄鋼材料の環境負荷は極めて低く、他素材に比べて優れた材料であることが分かります。


鉄鋼製品の優れたリサイクル効果を取り入れた鉄鋼製品のライフサイクル環境負荷(LCI)を計算する方法であるISO20915(Life Cycle Inventory Calculation Methodology for Steel Products)、JIS Q 20915(鉄鋼製品のライフサイクルインベントリ計算方法)の日本鉄鋼連盟による開発に、JFEスチールも主要メンバーの一員として参画しました。


さらに、日本国内の高炉・電炉メーカー15社が参加して、2018年度の操業実績データに基づいた鉄鋼製品別のLCIデータの日本平均値を作成、公表しました。


JFEスチールは(一社)サステナブル経営推進機構(SuMPO)が運営するSuMPO環境ラベルプログラムの「SuMPO EPD」について、缶用鋼板3品種(ブリキ、JFEユニバーサルブライト(ラミネート鋼板)、ティンフリースチール)、建材製品5品種(H形鋼、スーパーハイスレンド®H形鋼、極厚H形鋼、建材厚板、建材コラム)、厚鋼板3品種(海洋構造物・風力用厚鋼板、造船用厚鋼板、UOE鋼管)、鋼管3品種(溶鍛接鋼管、継目無鋼管品種、建築構造用継目無角形鋼管「カクホット®」)、西日本製鉄所(倉敷地区)と仙台製造所で製造している棒鋼・線材製品8品種で取得しました。今後も「SuMPO EPD」を活用して、お客様の地球環境保全の取り組みに貢献するとともに、お客様とのコミュニケーションの発展にも役立てていきます。

世界規模での地球環境温暖化防止

第1回日韓グリーンスチール共同セミナー

2023年9月21日(木)に韓国・ソウルにて「第1回日韓グリーンスチール共同セミナー」が日本鉄鋼連盟・韓国鉄鋼協会の共催で開催されました。本セミナーには、両代表である泉山雅明 日本鉄鋼連盟地球環境委員会委員長(日本製鉄(株))、ビョン・ヨンマン 韓国鉄鋼協会副会長、また来賓として経済産業省金属課松野大輔課長、韓国産業通商資源部オ・チュンジョン産業政策室鉄鋼セラミック課長をはじめ、日韓両国の政府関係者、鉄鋼企業を中心に約100名が参加し、鉄鋼業のカーボンニュートラルに関する幅広いテーマを対象に意見交換を行いました。

日印鉄鋼官民協力会合

JFEスチールは、日本鉄鋼連盟が経済産業省の協力のもとで2011年より開催している「日印鉄鋼官民協力会合」に毎年参加しています。本会合では、世界最高水準のエネルギー効率を誇る日本の鉄鋼業の技術と経験を活かし、インド鉄鋼業界への政策提言を行うとともに、ファイナンスを含めた日本からの省エネ支援策について検討を行っています。


2023年度は11月に日本で開催し、日印両国におけるカーボンニュートラルに向けた政策、カーボンニュートラル実現に向けた日印鉄鋼企業のイニシアティブ、日本鉄鋼業によるグリーンスチールブランド等のトランジション期における取り組みなどの紹介を行いました。JFEスチールも日本側の主要メンバーとして、本会合を通じて日本の省エネ技術の移転によるインドにおけるCO₂削減に貢献していきます。

日ASEAN鉄鋼イニシアチブ

2014年5月に、日本鉄鋼連盟とアセアン鉄鋼評議会(AISC)は「環境・標準化・通商」分野における交流促進に関する覚書を締結しました。環境分野に関する取り組みとして、官民協力による「日ASEAN鉄鋼イニシアチブ」を発足し、ASEAN各国の環境・省エネ分野での協力体制を強化しています。本活動の一環として、ASEAN鉄鋼業にふさわしい高炉と電炉の省エネ・環境保全・リサイクル技術を掲載した「アセアン版技術カスタマイズドリスト(電炉)」と「アセアン版技術カスタマイズドリスト(高炉)」を策定しています。


今年度は、2024年2月に「ASEAN JAPAN Steel Initiative ウェビナー2024」がオンラインで開催され、ASEANからはACE(ASEAN Centre for Energy/アセアンエネルギーセンター)、SEAISI(South East Asia Iron and Steel Institute/東南アジア鉄鋼協会)、各国鉄鋼・省エネ関係省庁、各国鉄鋼団体および会員が、日本からは経済産業省、省エネルギーセンター、日本鉄鋼連盟および会員が出席しました。GXリーグや新興国等におけるエネルギー使用合理化等に資する事業などの日本・ASEAN鉄鋼業のカーボンニュートラルに向けた取り組みや、日本鉄鋼メーカーのCNロードマップや省エネ操業改善、エンジニアリング会社の省エネ技術やタイ・インドネシア企業によるカーボンニュートラルに向けた取り組みを紹介し議論を行いました。

日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会

日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会は、日中両国鉄鋼メーカーなどの専門技術者による環境保全・省エネルギーの分野での双方のレベルアップを目的として、2005年7月、北京にて両国鉄鋼業経営トップ層の参加のもとに行われた「日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会」において交わされた覚書に基づき実施されています。両国鉄鋼業の健全な発展に加え、資源の有効利用や環境保全を進める観点からも、近年は同交流会の重要性がますます高まっています。


2023年度は2024年1月に千葉市幕張において開催され、カーボンニュートラルに向けた革新的技術開発や炭素国境調整メカニズム(CBAM)、グリーンスチール/EPDプラットフォーム、トップレベルの省エネ・CO₂削減技術の進展等を紹介しあいました。JFEスチールからは、日本側代表として福島副社長(鉄連環境・エネルギー政策委員長)が出席した他、朝比奈専務執行役員、手塚専門主幹他が出席し、両国官民協力による世界規模の地球温暖化防止に向けた活発な議論をリードしました。

講演実績

海外においてもJFEグループの気候変動に対する取り組みを広く知ってもらうために、さまざまな場で積極的に講演活動を実施しています。

  • テーマ名 「Green steel with applying mass balance method」
    イベント名 Korea - Japan Green Steel Joint Seminar
    開催
    講演者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • テーマ名 「JFE Steel's Environmental Vision 2050」
    イベント名 The India-Japan Public and Private Collaborative Meeting on Iron and Steel Industry in FY 2023
    開催
    講演者 渡壁史朗(JFEスチールGX企画部地球環境チーム)
  • テーマ名 「トランジションファイナンスとマスバランス方式を適用したグリーンスチール」
    イベント名 第14回日中鉄鋼業省エネ・環境保全先進技術専門家交流会
    開催
    講演者 手塚宏之(JFEスチール専門主監)
  • テーマ名 「JFE Steel's Environmental Vision 2050」
    イベント名 ASEAN Japan Steel Initiative (AJSI) Webinar
    開催
    講演者 渡壁史朗(JFEスチールGX企画部地球環境チーム)