鉄の価値

豊かな地球の未来のために、人々の安全で快適な暮らしを支える鉄の魅力

地球の質量の約30%、金属資源全体の約86%(約2,000億トン)を占める「鉄」は、その豊富な埋蔵量により、低いコストで大量生産が可能です。ほかの素材に比べ製造時の環境負荷が圧倒的に低く、リサイクル性にも優れています。「鉄」は、低い環境負荷で何度でも何にでも生まれ変わり(クローズド・ループ・リサイクル)、私たちの社会の持続的発展に貢献しています。

鉄のLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)

「鉄」は、その優れたリサイクル性から、「つくる」、「つかう」、「リサイクル」という高度なバリューチェーンを構築し、何度でも何にでも生まれ変わります。鉄鋼製品のリサイクル率は93.7%に達しており、その環境価値を適切に評価するためには、製造時だけでなく、使用からリサイクルまでを含めたライフサイクル全体で評価することが重要です。また、世界の鋼材需要は17.5億トン/年(2024年)から2050年には21.3億トン/年へと拡大し、粗鋼生産量は18.8億トン/年から26.8億トン/年へ、スクラップ利用量も6.3億トン/年から15.5億トン/年へ増加すると見込まれています。こうした動向を背景に、社会に蓄積される鉄鋼量は約300億トン(1人あたり約4トン)から約700億トン(1人あたり約7トン)へ増加すると予測されており、資源循環のさらなる高度化が期待されています。


こうした「鉄」の環境価値を適切に評価するため、JFEスチールは、日本鉄鋼連盟が主導した鉄鋼製品のライフサイクル環境負荷を定量化する活動に主要メンバーとして参画し、この計算方法のISO/JIS規格※を開発しました。この規格を用いると、地球温暖化などの環境影響はリサイクル性に優れた素材ほど小さくなることが分かります。


JFEスチールなど日本国内の高炉・電炉メーカー14社は、鉄鋼製品別の2022年度LCIデータの日本平均値を作成し、公表しています。


  • ※ISO 20915:Life Cycle Inventory Calculation Methodology for Steel Products(2018.11)
    JIS Q 20915 :鉄鋼製品のライフサイクルインベントリ計算方法(2019.6)

「日本鉄鋼連盟:長期温暖化対策ビジョン」をもとに加工して作成

【つくる】高い経済性と低い環境負荷

鉄は安定して大量に生産することにより、私たちの暮らしや社会を支えています。また、鉄の製造時のCO2排出量は他の素材と比べて圧倒的に少なく、環境にやさしい素材です。鉄は社会の持続的発展と人々の安全で快適な生活のために「なくてはならない」素材なのです。

地球は鉄の惑星(豊富な資源)

地球の金属資源の実に86%(約2,000億t)は鉄鉱石。

世界の鉄鉱石の可採埋蔵量
出典:Mineral Commodity Summaries(2026)

低コストで大量生産が可能

鉄は、豊富な埋蔵量と長年の技術開発により、リーズナブルな価格で、安定的に大量供給され、社会の持続的な発展に貢献します。

世界需要(2024年)
当社調べ
価格※
当社調べ
  • ※単位重量あたりの価格を鉄を1として他素材と比較

ほかの素材に比べ圧倒的に低い製造時の環境負荷

等価機能※あたりの鉄鋼製品の温室効果ガス(GHG)排出量は、アルミニウムや炭素繊維の4から5分の1程度です。

素材製造時のCO2排出量(等価機能あたり)
〔㎏-CO2/鉄鋼100㎏相当部品〕
出典:WorldAutoSteel および 日本鉄鋼連盟の公表データより作成
  • ※同一の役割・性能を満たすこと

日本の鉄鋼業はエネルギー効率No.1

省エネルギー技術の開発・普及をはじめとする長年の環境保全の取り組みにより、日本の鉄鋼業(転炉鋼)は世界の主要国のなかで最も低い環境負荷で鉄鋼を生産することができます。

日本を100としたエネルギー効率(2019年)
出典:(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)

【つかう】暮らしと社会を支える基盤

鉄は私たちの暮らしの中で、環境負荷の低減に貢献しています。例えば、強度を保ちながら板の厚みを薄くしたハイテン材(高張力鋼板)を自動車に使用することで、車体の衝突性能を維持したまま大きな軽量化効果が得られ、社会全体のGHG排出量の削減に貢献しています。

グローバルベースでの成長可能性

一人当たりの鉄鋼年間消費量は全世界平均で約215㎏程度であり、今後、新興国の経済成長に伴い、長期的には世界全体の鉄鋼需要は今後も成長を続けると考えられます。

国別一人当たり鉄鋼年間消費量の推移(㎏/人・年)
出典:World Steel Association

進化の可能性を秘める

鉄は、同じ硬さのアルミニウムと比べて2~3倍の伸び、同じ伸びなら3~5倍の強度になり、東京スカイツリーなど、時代とともに数多くの世界一の構造物の実現に寄与してきました。鉄には、まだまだ進化のポテンシャルがあり、社会の新たなニーズが鉄を進化させ、豊かな未来を支えます。

鋼・アルミ・炭素繊維の強度・伸びの比較
当社調べ

【リサイクル】循環経済への移行に貢献

鉄は磁力による分離・回収が可能など、リサイクル性の優れた素材です。社会での使命を終えた後も、高効率な分離・回収により、高品質・高機能な製品に何度でも生まれ変わります(クローズド・ループ・リサイクル)。

鉄のクローズド・ループ・リサイクル

鉄という材料の持つ本来の性質を保ったまま、同じ鉄鋼製品の原料として何度でもリサイクルが可能です。新たに投入される天然資源消費量の削減、さらに環境負荷物質排出量の低減、廃棄物の削減が図られることから、他の材料リサイクルであるオープン・ループ・リサイクル※よりも持続可能性(サステナビリティ)の点で優れています。

  • ※オープン・ループ・リサイクル(サーマル・リサイクル、カスケード・リサイクル):材料の焼却による熱の利用や、材料の劣化・変化を伴うマテリアル・リサイクルで、有限のリサイクル
クローズド・ループ・リサイクルのイメージ図
出典:日本鉄鋼連盟