コンプライアンス
基本的な考え方
JFEグループは、幅広く国内外でビジネスを展開していく上で、お客様をはじめ、株主・地域社会などすべてのステークホルダーとの信頼関係が重要であり、「コンプライアンスの徹底」は、その信頼関係の基盤であると考えています。コンプライアンス違反に起因する不正や不祥事は、長期にわたり築きあげた信頼関係を一瞬にして損なうものです。こういったことから、JFEグループでは、組織を構成する全員がコンプライアンスの知識や認識を深め、日々実践していくことが重要だと考え、eラーニングやコンプライアンスガイドブックの作成・読み合わせなどを通じて独占禁止法、下請法、公務員等への贈賄などの腐敗行為の防止等に関する教育を行っています。
コンプライアンス体制
コンプライアンスに関わるグループの基本方針や重要事項の審議、実践状況の監督を目的として、JFEホールディングス代表取締役社長(CEO)を委員長とする「グループコンプライアンス委員会」を設置し、年4回程度開催しています。各事業会社でも同様の会議体を設置し、コンプライアンスに沿った事業活動を推進・監督する体制を整備しています。さらに、当社グループではコンプライアンスに関わる重要情報が現場から経営トップに直接伝わる制度として「企業倫理ホットライン」を導入しています。
「JFEグループ企業行動指針」の詳細は、以下をご参照ください。
目標と実績
企業理念・行動規範に基づいた企業活動を実践するための指針として、「JFEグループ企業行動指針」を制定し、企業倫理の徹底について、JFEグループ役員・従業員に対する周知を図っており、その実現のため、経営上の重要課題として「企業倫理の徹底と法令遵守」を掲げ、KPIを設定することで取り組みを推進しています。
取り組み
企業倫理の徹底と法令遵守
コンプライアンス教育
JFEグループは、コンプライアンスの意識強化の取り組みの一環として、企業活動における各種法令や社内ルールの遵守のための正しい対応や違反事例(カルテルや入札談合、国内外の公務員への贈賄やインサイダー取引、ハラスメント、環境関連法令や労働基準・安全衛生に関する法令への違反等)をまとめた「コンプライアンスガイドブック」を作成し、役員・従業員に配付(国内・海外)・読み合わせ等を行うことによりルールの周知徹底を図っています。このガイドブックは、法令や社内ルールを守り、社会常識に則って行動するための具体的な基準を、100以上のケーススタディ形式で平易に解説したものです。
日々の業務の中で疑問を感じたり、判断に迷ったりしがちな状況や事例をまとめ、各担当部署による解説を付記しており、それらの内容は弁護士によるチェックを受けています。なお、法令やルール改正にあわせて定期的に内容を見直すとともに、ケースの追加・改廃などを行い、内容の充実を図っています。
また、定期的に独占禁止法、インサイダー取引防止、安全保障貿易管理、建設業法、公務員への贈賄を含む腐敗行為防止などのテーマ別にコンプライアンス研修を実施しています。
内部通報制度の整備
内部通報制度

JFEグループは、企業倫理、法令遵守、腐敗行為、人権侵害の未然防止を目的として、JFEグループの役員、従業員等(従業員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員またはそれらの退任・退職者)、ならびに取引事業者の役員、従業員等が利用できる「企業倫理ホットライン」を設置しています。通報・相談の具体的な方法として、電子メール・専用電話・親書(郵送)によって通報・相談(匿名による通報・相談も可)を受け付ける環境を整えており、社外窓口として独立した弁護士事務所にも同様の窓口を整備しています。
「企業倫理ホットライン」の運用にあたっては、通報・相談に関わる秘密保持の徹底や通報者・相談者への報復行為の防止などの通報者保護に関する規程・ルールを定め、積極的な情報提供を促進しています。通報・相談された事項に関する事実関係の調査を行う場合は通報者と相談の上、通報者のプライバシー保護に配慮しながら調査を進めるとともに、通報者の希望により、調査結果のフィードバックも実施しています。
また、独占禁止法違反や腐敗・贈賄をはじめとする法令違反等コンプライアンスに関する行為から、職場の不正やハラスメント等の人権侵害にあたる行為まで幅広い内容の相談・通報を受け付けることにより、不正行為の未然防止、早期発見および早期是正を図っています。なお、法令違反等が明らかになった場合には対象組織等において必要な是正措置ならびに救済措置を講じます。「企業倫理ホットライン」に通報・相談があった場合は、その内容を定期的に常勤監査役(常勤監査等委員および常勤監査役)へ報告するとともに、取締役会において運用状況を報告し、監督を受けています。
また、外部のステークホルダーからのコンプライアンス等に関する問い合わせをWebサイト上のお問い合わせフォーム(匿名での通報・連絡可)にて受け付けており、内容については秘密情報として取り扱った上、適切に対応しています。
法令違反等が発生した場合の対応プロセスは以下の通りです。
- JFEホールディングスならびに各事業会社のコンプライアンス担当部門は、違反等が発生した部門やグループ会社に対して、初期対応および事実確認、原因調査、再発防止策の策定等を指示し、必要な対応を実施します。
- 各社のコンプライアンス担当部門は、確認した事実や原因、再発防止策を、各社に設定するコンプライアンス委員会等に報告し、原因の確認と再発防止策の実効性および関係者の責任等を評価します。
- 重大な違反等についてはグループコンプライアンス委員会に報告し、グループ全体で共有するとともに、再発防止策等を水平展開することによりグループにおける同様の違反等の発生を防止します。
腐敗(贈賄)行為の防止の徹底
JFEグループは、「企業行動指針」の中で法令を遵守し、公正で自由な競争を心がけ、適法な事業活動を行うことや政治や行政との健全かつ正常な関係の維持・構築に努めることを定めています。不適切な利益供与、過剰接待、便宜供与などの贈収賄や業務上の地位を利用した私的横領、利益相反行為等の腐敗行為を明確に禁じ、就業規則においてもこれらの法令違反行為は懲戒の対象とする旨を定め、腐敗行為防止の徹底を図っています。
近年、世界的な反汚職意識の高まりや関係当局による摘発強化から、公務員等への贈賄は大きなビジネスリスクとなっています。JFEグループは国内外の公務員等への金銭その他の利益の供与など贈賄を含むあらゆる犯罪行為を一切容認せず、これらの違法行為によって利益を得ることや問題を解決することはしないとの考えに基づき、「公務員等贈賄防止に関するグループ基本方針」を制定し、事業会社をはじめグループ内に展開しています。特に、公務員等との接点を有する可能性のあるエージェント・コンサルタント等の社外関係者を起用する場合には第三者起用チェックリストによる確認や贈賄防止確認書の締結を行うことに努めることを規定するなど、贈賄防止に関する体制整備に取り組んでいます。
また、JFEグループでは、リスク評価の結果に基づき、毎年、従業員に対して、公務員への贈賄防止に関する研修やeラーニング等を行っています。
贈賄防止関連の方針は、以下をご参照ください。
税の透明性
JFEグループは、JFEグループ企業行動指針に基づき、世界各国の税法および経済協力開発機構(OECD)などの国際機関が公表している租税に関するガイドラインをはじめとする国際的なルール、それらの精神を遵守し、事業活動を行っている各国へ適時に適正かつ公正な納税を実施します。
また、租税回避を意図した税務プランニングやタックスヘイブンの使用を行わず、透明性を高めることで各国税務当局との信頼関係を築いていきます。
反社会的勢力の排除
JFEグループは、企業行動指針において反社会的勢力との一切の関係を遮断することを宣言し、「反社会的勢力への対応方針」・「企業対象暴力対応規程」を制定した上で企業対象暴力への初期対応マニュアルを含む反社会的勢力に対する対応基準を明確化しています。
「JFEグループ反社会的勢力への対応方針」については取締役会において決議しており、本方針に基づきグループのコンプライアンス体制の中で組織的・統一的な対応を進めていくことにより、健全な会社運営の確立を図っています。具体的には、反社会的勢力との関係を一切遮断することを目的とし、反社会的勢力への対応を所管する部署を各社の総務・法務担当部署と定めるとともに、事案発生時の報告および対応に係る規程等の整備を行い、反社会的勢力には警察等関連機関とも連携し毅然と対応していくこととしています。
また、eラーニングの実施およびコンプライアンスガイドブックの配布等を通じ、全役員・従業員に対し「JFEグループ反社会的勢力への対応方針」および具体的な対応基準等の周知徹底を図っています。
独占禁止法の遵守
JFEグループは、「企業行動指針」の中で法令を遵守し、公正で自由な競争を心がけ、適法な事業活動を行うとともに、健全な商慣習に則り、誠実に行動することを定めています。JFEグループは、過去の独占禁止法違反を深く受け止め、独占禁止法を含む法令違反行為は一切認めず、これに反する事態には厳正に対処するとの考えに基づき、「独占禁止法等遵守に関するグループ基本方針」を制定しています。本方針に基づき、競争事業者との接触に関するルールの整備・運用、社内研修、内部監査等の独占禁止法遵守のための取り組みを行っており、これらの取り組みについては定期的にグループコンプライアンス委員会において報告することにより、取り組みの推進・監督を行っています。
独占禁止法等遵守に関するグループ基本方針は、以下をご参照ください。
従業員を対象とした企業倫理意識調査による確認と改善
JFEグループでは、グループの企業理念・行動規範・企業行動指針の浸透・徹底を確認すること、潜在的なリスクの洗い出し等を目的として、当社および事業会社の役員・従業員を対象に「企業倫理等に関する意識調査」を定期的(2年に1回)に実施しています。2024年度に実施した調査では、多くの従業員がグループ理念・グループ行動規範や自己の業務に関する法令・規程類を十分に理解し、また、職場において「公務員等贈賄防止に関するグループ基本方針」、「贈答・接待ガイドライン」を遵守していることを確認するなど、高いコンプライアンス意識を持って業務を行っていることを確認できた一方で、今後の課題も把握しました。企業倫理等に関する意識調査の結果やその対応方針については、2025年度にグループサステナビリティ会議および取締役会で報告しています。引き続き、把握した課題についてはグループサステナビリティ会議および取締役会の監督のもと、各社での具体的な取り組みを行い改善に努めていきます。
なお、グループ理念および行動規範については、第8中期経営計画策定時にJFEグループ全体の求心力として、創業以来22年を経て今後も不変の理念であることを、JFEホールディングス取締役会で改めて確認しました。
JFEグループのコンプライアンス事案について
JFEグループ社員の起訴について
JFEエンジニアリング(株)が2017年6月および2020年6月に沖縄県竹富町と契約した海底送水管更新工事に関して、入札談合等関与行為防止法違反および公契約関係競売入札妨害罪により同社元社員が有罪判決を受けたことから、建設業法に基づき、本年5月に国土交通省より全国における水道施設工事業に関する営業のうち公共工事に係るものについて、営業停止命令を受けました。
このような事態に至りましたことは誠に遺憾であり、多くの関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
本事案を厳粛かつ真摯に受け止め、特定した発生原因を踏まえた再発防止策を実行することにより、早期の信頼回復に努めてまいります。
JFE商事のバイオマス燃料取引における不適切行為について
JFE商事(株)が手掛けるバイオマス燃料取引において、納入先のお客様に対する不適切行為※が発生致しました。
このような事態に至りましたことは誠に遺憾であり、多くの関係者の皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
本事案を極めて重大に受け止め、再発防止策に徹底して取り組むとともに、グループ一丸となって早期の信頼回復に努めてまいります。
※バイオマス発電所に納入しているヤシ殻・木質ペレットについて、同社のバイオマス燃料部が、お客様との間で取り決めていた契約以上の品代、海上運賃などをお客様に請求し、過剰な利益を得ていたもの。
再発防止策を含む詳細は、以下をご参照ください。