サステナビリティマネジメント

基本的な考え方

JFEグループは、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」という企業理念に基づき、今後も長期にわたって、豊かな地球の未来のための商品やサービスを提供する存在であり続けることを目指しています。


また、社会の持続的発展と人々の安全で快適な生活のために「なくてはならない」存在としての地位を確立し、社会の皆様に広く認めて頂ける企業となることが、使命であると考えています。これを具現化するために、「環境的・社会的持続性」を確かなものとして、「経済的持続性(安定した収益力)」を確立します。それにより経営基盤の強靭さ(レジリエンス)を確保し、グループの中長期的な持続的成長と企業価値の向上を実現します。

グループサステナビリティ推進体制

JFEグループの企業価値の毀損防止と向上の観点から、リスクマネジメントを含むグループ全体のサステナビリティへの取り組みを監督・指導する体制として、JFEホールディングス社長を議長とし、副社長、執行役員、常勤監査役、各事業会社社長等で構成される「グループCSR会議」(2023年4月より「グループサステナビリティ会議」に名称変更、以下「グループサステナビリティ会議」)を設置しています。「グループサステナビリティ会議」のもとに「グループコンプライアンス委員会」、「グループ環境委員会」、「グループ内部統制委員会」、「グループ情報セキュリティ委員会」、「開示検討委員会」、および「企業価値向上委員会」を設置し、グループとしての方針審議や方針の浸透状況の監督、課題や発生した問題および対処事例等についての情報共有を行い、JFEグループのサステナビリティへの取り組みを監督・指導しています。また、「グループサステナビリティ会議」における審議事項のうち、グループの基本方針、活動計画、重要施策の内容および重要事態発生時の対応等について、取締役会に定期的に報告し審議することにより、指示監督を受けています。

グループサステナビリティ会議の活動状況

「グループサステナビリティ会議」は、約3カ月に1回程度開催し、独占禁止法、公務員等に対する贈収賄を含む汚職防止に関する法令等の遵守、および人事労働、安全・防災、環境、気候変動、品質、財務報告、反社会的勢力への対応、情報セキュリティ等のESGリスクも含むリスクマネジメントや社会貢献等の多岐にわたる範囲を対象として、グループの取り組みに関する方針審議(重要案件に対する指示・指導を含む)、方針の浸透状況の監督、および課題、発生した問題への対処事例等についての情報共有、水平展開を行っています。

グループサステナビリティ会議の活動状況

各事業会社においても各々の会議体を設置しており、JFEグループの企業価値の毀損防止と向上の観点からグループ全体の取り組みを推進するため、グループサステナビリティ会議と連携して運営しています。JFEスチールでは、2005年4月にCSR室を設置したことに続き、2005年7月に「CSR会議(2023年4月より「サステナビリティ会議」に名称変更、以下「サステナビリティ会議」)」(議長:社長)を設置しました。「サステナビリティ会議」の中に、コンプライアンス、地球環境、リスクマネジメント、安全・防災、顧客満足、社会貢献などの委員会・部会を設け、対象分野ごとの積極的な活動を展開するとともに、グループ会社を含めたサステナビリティ意識の浸透を図る活動を進めています。JFEエンジニアリングおよびJFE商事においても、コンプライアンスや環境に関する委員会等を設け、サステナビリティの実現に向け取り組んでいます。

サステナビリティ推進体制図

従業員を対象とした意識調査による確認と改善

JFEグループでは、グループの企業理念・行動規範・企業行動指針の浸透・徹底を確認すること、潜在的なリスクの洗い出し等を目的として、当社および事業会社の役員・従業員を対象に「企業倫理等に関する意識調査」を定期的(3年に1回、2024年度より2年に1回に変更予定)に実施しています。2022年度に実施した調査では、多くの従業員が理念や会社の方針を認識し、コンプライアンス意識を持って業務を行っていることを確認できた一方で、今後の課題も把握しました。把握した課題についてはグループサステナビリティ会議および取締役会の監督のもと、各社での具体的な取り組みを行い改善に努めています。

JFEグループの取り組みとSDGsの関連性

JFE グループでは、グループの中長期的な持続的成長と企業価値の向上実現していくため、さまざまな取り組みを行っています。


本報告書で掲載している活動を以下に示しました。これらの多様な活動を通じてSDGsの達成への貢献を目指しています。

活動の例 関連する主なSDGs
ESG課題への取り組み
環境マネジメント
  • 環境マネジメントシステムの推進
  • 環境教育
4 12
気候変動問題への取り組み
  • 鉄鋼事業のCO₂排出量削減
  • 社会全体のCO₂削減への貢献拡大
  • TCFD推奨シナリオ分析
7 9 12 13
循環型社会の実現
  • 副産物の発生・排出抑制と有効利用
  • リサイクルの推進
  • JFEグループの資源循環ソリューション
  • 水リスクへの対応
  • 水資源の効率的利用
  • 大気への排出抑制
  • 水資源の汚染防止
  • 化学物質の管理・排出抑制
6 7 9 11 12 14
生物多様性の保全
  • 生物多様性の取り組み
  • 外部イニシアチブへの賛同・参画
  • 商品・技術(生物多様性の保全)
14 15
環境配慮型プロセス・商品の開発と提供
  • 事業別の主な環境配慮型商品・技術
7 9 12 13 14
人権
  • 人権尊重への取り組み
  • 人権デューディリジェンスの実施
10 16
良質な商品の提供とお客様満足度の向上
  • JFEグループの品質への取り組み
  • CS(お客様満足)向上
  • 商品安定供給
3 8 9 10 12 16
サプライチェーンマネジメント
  • グリーン調達の推進
  • 事業別の調達方針と取り組み
10 12 16
人的資本:労働安全衛生
  • 労働安全衛生への取り組み
  • 健康への取り組み
3
人的資本:ダイバーシティ&インクルージョン
  • 働き方改革
  • 業務改革
  • ダイバーシティ推進への取り組み
4 5 8 9 10
人的資本:人材育成の推進
  • 人材育成
4 5 8 9 10
人的資本:働きがいのある職場の実現
  • 活力のある職場づくり
4 5 8 9 10
コミュニティ
  • 地域貢献活動
  • 外部団体への支援
  • 青少年育成支援
  • 「JFE21世紀財団」による社会貢献活動
1 2 3 4 5 8 9 10 13 15 17
コンプライアンス
  • 企業倫理の徹底と法令遵守
16

グループサステナビリティ戦略

第7次中期経営計画の策定と経営上の重要課題の特定

2021年に策定した第7次中期経営計画(以下、中期計画)の対象である2021年度から2024年度は、「豊かな地球の未来のために、創立以来最大の変革に挑戦」する期間と捉えており、「環境的・社会的持続性」を確かなものとし、「経済的持続性」と両立させることで、中長期的な企業価値向上を実現することを目標としています。中期計画の方針・施策に基づいて特定した「経営上の重要課題」に対して、重要業績評価指標(KPI)を設定し、環境・社会的な課題を中心とするサステナビリティへの取り組みと、当社グループの持続的な成長に欠かせない経済面の重要課題に対する取り組みを推進しています。


特に気候変動問題への取り組みを経営の最重要課題と位置付け、これに応えるべく「JFEグループ環境経営ビジョン2050」を策定し、「鉄鋼事業のCO₂排出量削減」と「社会全体のCO₂削減への貢献」を両輪として脱炭素への道程を示すとともに、この課題への取り組みを成長の機会ととらえ、さまざまな技術開発に注力しています。当社事業の中核である「鉄」を、今後も社会の発展や私たちの生活に欠かせない素材として社会に安定的に供給するために、今後も体系的な取り組みを継続していきます。2021年に策定した第7次中期経営計画(以下、中期計画)の対象である2021年度から2024年度は、「豊かな地球の未来のために、創立以来最大の変革に挑戦」する期間と捉えており、「環境的・社会的持続性」を確かなものとし、「経済的持続性」と両立させることで、中長期的な企業価値向上を実現することを目標としています。中期計画の方針・施策に基づいて特定した「経営上の重要課題」に対して、重要業績評価指標(KPI)を設定し、環境・社会的な課題を中心とするサステナビリティへの取り組みと、当社グループの持続的な成長に欠かせない経済面の重要課題に対する取り組みを推進しています。

第7次中計経営計画に対する進捗は以下をご参照ください。

経営上の重要課題(マテリアリティ)

重要課題への取り組み

JFEグループは、さまざまなステークホルダーのニーズに対し、グループの資本をどのように投入すれば、社会に対するマイナスの影響を最小化し、当社グループならではの社会的価値創造の最大化につながるのかという観点から、重要課題の特定とKPIの設定による課題への取り組みを推進してきました。2016年には、グループ事業特性を踏まえた「社会からの期待事項」として35項目のCSR関連課題を網羅的に抽出し、①ステークホルダーからの期待度、②事業との関連性(社会への影響度)の両軸から優先順位付けを行うことにより、CSR重要課題(5分野・13項目)を特定しました。


2021年度には、第7次中期経営計画の策定において、「環境的・社会的持続性(社会課題解決への貢献)」を確かなものとし、「経済的持続性(安定した収益力)」を確立することが、JFEグループの持続的な発展のために重要であると認識し、これまでのCSR重要課題に、経済面の重要課題を加えて再編し、「経営上の重要課題」を特定しました。グループ一体となって経営上の重要課題に取り組み、「常に世界最高の技術をもって社会に貢献します。」という企業理念を実践していきます。

経営上の重要課題の特定プロセス

JFEグループでは、2016年にCSR重要課題(5分野・13項目)を特定し、取り組みを推進してきました。


2020年度までのCSR重要課題の特定については以下をご参照ください。


2021年度に特定した経営上の重要課題のプロセスは以下をご参照ください。

持続可能な開発目標(SDGs)への貢献

2015年9月に国連サミットで、持続可能な発展のために世界共通で取り組む17のゴール「持続可能な開発目標(SDGs)」が設定されました。グローバル社会の要請に対し、JFEグループは事業活動における経営上の重要課題への取り組みを通じてSDGsへの貢献を目指します。

リスク管理

JFEホールディングスが持株会社として、「内部統制体制構築の基本方針」に基づきグループの包括的なリスク管理を担っています。JFEホールディングスの社長が議長を務める「グループサステナビリティ会議」を通じてグループ横断的に情報の集約と管理の強化を行い、リスクの発生頻度や影響の低減を図っています。


気候変動問題などをはじめとするESGリスクの管理についても、担当執行役員などがリスクの認識に努め、必要に応じてグループサステナビリティ会議において確認・評価し、その対処方針を審議・決定しています。特に経営にとって重要な課題については、「グループ経営戦略会議」で審議しています。


取締役会は、気候変動問題などのESGリスクやサステナビリティに関する取り組みに係る重要事項について決議し、または報告を受けています。

ESGリスクのモニタリング方法

「グループサステナビリティ会議」、「グループ経営戦略会議」または「経営会議」は、経営に影響を及ぼす可能性のあるリスクについてモニタリングしています。モニタリング方法としては、各事業会社の環境委員会等で審議した気候関連問題について四半期に一度報告を受けており、対策を講じています。グループ環境委員会ではリスクに関する情報の集約と管理の強化を行い、リスクの発生頻度や影響の低減を図るだけでなく、機会の最大化に取り組んでいます。

経営上の重要課題に対するKPI

2023年度の実績評価および2024年度のKPI設定

2021年度に特定した経営上の重要課題に対して、2023年度のKPIの実績を評価するとともに、その評価結果や第三者の意見も踏まえて2024年度のKPIを設定しました。2023年度の実績および2024年度のKPIは、各事業会社の経営会議等での議論の後、グループ経営戦略会議および取締役会における審議を経て確定しました。今後もグループ一体となって、事業会社の特性や実態を反映したKPIを設定して、PDCAを円滑に回し、取り組みを進めていきます。

KPIの達成によるROEの向上

各重要課題に設定したKPIと財務目標は、密接に結びついています。各課題に対するKPIを達成することが、さまざまな改善ドライバーに影響を与え、財務目標(ROE10%以上)の達成にもつながり、中長期的な企業価値向上に結び付きます。このような課題への取り組みと財務目標とのつながりに関して、事業会社や現場レベルでの共有を深め、より実効性の高い取り組みへとつなげていきます。

KPI関連要素と財務目標とのつながり