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鉄鋼業界の取り組み

取り組み

日本鉄鋼連盟での活動

長期温暖化対策

日本鉄鋼連盟は、2020年を目標年次とする低炭素社会実行計画(2021年度からカーボンニュートラル行動計画に改訂)の達成に向けたこれまでの取り組みに加え、2018年11月には2030年以降の「長期温暖化対策ビジョン」を策定し、公表しました。JFEスチールもこの長期ビジョンの策定に中核的な立場で参画しました。「長期温暖化対策ビジョン」は、鉄鋼製造における2℃シナリオの達成とともに、1.5℃シナリオへの超革新技術の必要性を示したもので、最終的な「ゼロカーボン・スチール」への挑戦を意味するものです。さらに、日本鉄鋼連盟では、2021年2月15日、「我が国の2050年カーボンニュートラルに関する日本鉄鋼業の基本方針」を発表し、日本鉄鋼業として早期のゼロカーボン・スチールの実現に向けて、果敢に挑戦することを宣言しました。

日本鉄鋼連盟「長期温暖化対策ビジョン」との整合性

日本鉄鋼連盟「カーボンニュートラル行動計画」

日本鉄鋼連盟は、2021年2月に日本鉄鋼業としてカーボンニュートラルの実現に向けて果敢に挑戦することを表明し、低炭素社会実行計画を「カーボンニュートラル行動計画」と改め、フェーズⅡ目標(2030年度目標)を改訂しました。

「エコプロセス」では、既に世界最高水準にあるエネルギー効率のもとで、これまで進めてきたBATの最大導入だけでなく、冷鉄源の活用などの新たな視点を加味した高い野心度の2030年度目標を設定しました。

「エコプロダクト」による製品使用段階の削減については、特に政府グリーン成長戦略の14分野にも位置付けられている洋上風力や自動車の電動化等の推進において、高機能鋼材が果たす役割は大きいと考えられるため、従来の5品種の定量評価に加えて、こうした貢献を見える化することで、世界を俯瞰した実効的な温暖化対策を日本主導で加速させていきます。

「エコソリューション」では、今後の鉄鋼生産の拡大が見込まれるアジア地域における鉄鋼生産プロセスの脱炭素化技術移転・普及に向け、適切な技術導入が行われるための仕組みづくりも含めた活動を展開していきます。

さらに「革新的技術開発」では、COURSE50やフェロコークスに加え、グリーンイノベーション基金のもと、直接水素還元や電気炉による高機能鋼材製造技術等にもチャレンジしていきます。

「カーボンニュートラル行動計画」の全体像

【エコプロセス】

BATの導入等による省エネの推進、廃プラスチックの活用、2030年頃の実機化を目途に現在開発中の革新的技術の導入、その他CO2削減に資する原燃料の活用等により、2030年度のエネルギー起源CO2排出量(総量)を2013年度比30%削減する。

【エコプロダクト】

高機能鋼材の国内外への供給により、社会で最終製品として使用される段階においてCO2削減に貢献する。定量的な削減貢献を評価している5品種の鋼材について、2030年断面における削減ポテンシャルは約4,200万t-CO2と推定。

【エコソリューション】

日本鉄鋼業の優れた省エネ技術・設備の世界の鉄鋼業への移転・普及により、地球規模でCO2削減に貢献する。2030年断面における日本の貢献は約8,000万t-CO2と推定。

【革新的技術開発】

カーボンニュートラル実現に向け以下4テーマの技術開発に果敢に挑戦する。

・所内水素を活用した水素還元技術等の開発

・外部水素や高炉排ガスに含まれるCO2を活用した低炭素技術等の開発

・直接水素還元技術の開発

・直接還元鉄を活用した電炉の不純物除去技術開発

カーボンニュートラル 行動計画(フェーズⅡ)の2021年度実績評価(日本鉄鋼連盟)

2021年度のエネルギー起源CO2排出量(総量)は、1億6,309万トンとなり、2013年度に比べて3,134万トン、16.1%減となりました。2030年度目標(2013年度比30%削減)に対する達成率は53.7%まで進捗しています。エネルギー起源CO2排出量、エネルギー消費量ともに減少傾向にあり、その背景として省エネ努力の推進等が引き続き実施されたこと等が挙げられます。

日本鉄鋼業のエネルギー効率はすでに世界最高水準にありますが、省エネルギー投資促進に向けた支援補助金による省エネルギー事業など、さらなる省エネの推進等に意欲的に取り組んでいます。

革新的製鉄プロセスの開発

COURSE50

水素還元、高炉ガスからのCO2分離回収により、CO2を約30%削減。2030年頃までに1号機の実機化、2050年頃までの普及を目指します。

フェロコークス

フェロコークスは、低品位の石炭や鉄鉱石から製造される画期的な高炉原料です。内部の金属鉄の触媒作用により、高炉で使用するコークス量を削減することで、製銑プロセスのCO2発生量を大幅に削減することができる省エネルギー技術です。

高機能鋼材の供給によるCO2排出量削減への貢献(エコプロダクトの成果)

日本鉄鋼連盟では高機能鋼材の使用によるCO2削減貢献を推定しています。自動車、変圧器、船舶、発電用ボイラー、電車に用いられる代表的な高機能鋼材5品種の国内外での使用(2021年度生産量669万トン、粗鋼生産比7.3%)によるCO2削減量は、2021年度断面で3,369万トン(国内1,056万トン、海外2,312万トン)と推定しています。

(一財)日本エネルギー経済研究所による試算

自動車用鋼板、方向性電磁鋼板、船舶用厚板、ボイラー用鋼管、ステンレス鋼板の5品種

国内は1990年度から、輸出は自動車および船舶が2003年度から、ボイラー用鋼管は1998年度から、電磁鋼板は1996年度からの評価

高機能鋼材5品種の国内外での使用によるCO2削減量(2021年度)

高機能鋼材5品種の国内外での使用によるCO2削減量(2021年度)

グローバルでの業界の取り組み

世界規模での地球環境温暖化防止

ISO14404シリーズは、日本鉄鋼連盟が国際標準化機構(ISO)に提案して国際標準化した鉄鋼CO2排出量・原単位の計算方法です。日本鉄鋼業は、ISO14404を用いて途上国での製鉄所診断を行い、インド、アセアン地域に最適な技術カスタマイズドリストを提案することで地球規模での温暖化防止を進める活動(エコソリューション)を官民一体で進めています。また、複雑な設備構成の製鉄所にも適用可能なISO14404シリーズのガイドライン国際規格の開発を経済産業省の支援をいただきながら進めています。

JFEスチールも日印鉄鋼官民協力会合、日ASEAN鉄鋼イニシアチブ、日中鉄鋼業環境保全・省エネ先進技術交流会などに積極的に参加しています。また、ISO14404に基づいて計測・算出する世界鉄鋼協会(WSA:World Steel Association)のClimate Action data collection programmeのメンバーとして地球規模でのCO2排出削減にも協力しています。

WSA Climate Action data collection programme

WSA Climate Action data collection programme認定証

WSA Climate Action data collection programme認定証
JFEスチール

鉄鋼材料のLCAの環境負荷算出に貢献

製品が社会に及ぼす真の環境負荷を評価するためには、その対象となる製品の資源採掘や素材製造、生産からその製品の使用、廃棄までのライフサイクル全体にわたって環境負荷などを定量化、評価する必要があります。この手法としてLCA(Life Cycle Assessment)があります。

自動車や建造物などの最終製品が社会での寿命を終えた後も、それらに使われる鉄鋼材料はすべてリサイクル・再利用されるクローズド・ループ・リサイクル(鉄が何度でも何にでも再生されるリサイクル)が可能であるという優れた特長を持っています。この特徴を反映したライフサイクル全体での鉄鋼材料の環境負荷は極めて低く、他素材に比べて優れた材料であることが分かります。

鉄鋼製品の優れたリサイクル効果を取り入れた鉄鋼製品のライフサイクル環境負荷(LCI)を計算する方法であるISO 20915(Life Cycle Inventory Calculation Methodology for Steel Products)、JIS Q 20915(鉄鋼製品のライフサイクルインベントリ計算方法)の日本鉄鋼連盟による開発に、JFEスチールも主要メンバーの一員として参画しました。

さらに、日本国内の高炉・電炉メーカー15社が参加して、2018年度の操業実績データに基づいた鉄鋼製品別のLCIデータの日本平均値を作成、公表しました。

JFEスチールは(一社)サステナブル経営推進機構(SuMPO)が認証するSuMPO環境ラベルプログラムの「エコリーフ」について、缶用鋼板3品種(ブリキ、JFEユニバーサルブライト(ラミネート鋼板)、ティンフリースチール)、建材製品5品種(H形鋼、スーパーハイスレンド®H形鋼、極厚H形鋼、建材厚板、建材コラム)、厚鋼板3品種(海洋構造物・風力用厚鋼板、造船用厚鋼板、UOE鋼管)で取得しました。今後も「エコリーフ」を活用して、お客様の地球環境保全の取り組みに貢献するとともに、お客様とのコミュニケーションの発展にも役立てていきます。

鉄の価値

鉄鋼材料のライフサイクルの概念図

鉄鋼材料のライフサイクルの概念図

関連リンク

一般社団法人日本鉄鋼連盟:地球温暖化対策

一般社団法人日本鉄鋼連盟:鉄鋼製品のLCA

一般社団法人日本鉄鋼連盟:ISO 20915の発行について

一般社団法人日本鉄鋼連盟:JIS Q 20915の発行について

SuMPO環境ラベルプログラム